すでに終わっていますが、あまりに面白かったので記事として残しておきたく・・・。
上野の東京都美術館で、2013年7月23日から9月29日まで2カ月に渡って開催されていたこの美術展、
美術コレクターの知人宅で図録を見せてもらい、学芸員に知人の多い友人が、「ルーブル美術館展」が物足りなかったので、お口直し(笑)にたまたま見たらとても面白かった、などと聞き及んで、是非、会期中に・・・と思っていたのですが、訪れたのは9月27日と終了直前で^^;
それでも、間に合って良かった!と思える充実した内容でした。
福田美蘭氏(50歳)の父親はグラフィックデザイナーの福田繁雄氏。
ウィットとユーモアに溢れた洒脱な作品が思い浮かびますが、血は争えないと言いますかなんと申しましょうか・・・。
写実の圧倒的な技量に加えて、あらゆる角度から自分の心の赴くままに、現在過去未来を行き来して、アイデアをどんどん形にしていく力技と軽やかなフットワークに感嘆。
これは、震災後の海底をアサリの気持ちで描いた・・・という連作の一つ。
アサリにとってもストレスは多大だったろう・・・というミクロの視点から全体を想起させますね。
9.11のテロで失われたツインタワービルの窓の明かりを、夜空の星としてちりばめた「ニューヨークの星」。東日本大震災を報じる紙面を、心象を加えて描いた「春―翌日の朝刊一面」。赤飯の包装紙に描かれた南天を、イラク攻撃に使われた兵器に見立てた「日本もクラスター爆弾を持っているらしい」など、時事問題を捉えた作品も秀逸ながら、古典作品を捻ってその先やその背景を想像した作品群も。
黒田清輝が孫を膝に抱いて、その肖像画を描いている様子とか、見られすぎて疲れたのか、横になってくつろぐモナリザとか・・・^^;
美術作品のあたりまえをくつがえす発想の転換シリーズも。
これは、足で踏んでも良い作品。
後ろはちょうつがいで留められて、開けなければ見られない作品。
他にも冷蔵庫を開けると内部が重厚な油絵の歴史画になっていたり、天井の隅に収まるように作られた油絵作品と重厚な額、などなど。
パロディ的な意味でわたくしが一番面白く思ったのは、こちら。
群馬県立美術館蔵の2000年作品「リンゴとオレンジ」
美大受験の塾や通信教育で、添削を受けたセザンヌ・・・という発想がなんともウィットに富んでおり、「テーブルの位置が不安定」「リンゴの表現が甘い」などと駄目押しをして評価Bをつけているという大胆さ。
東京藝大出身の静物画家にとって、セザンヌは一つの理想形であり、そのコンポジションなどにアカデミックな議論を戦わせることが多いことを含んでみるとなんともシニカルで思わずニヤリとさせられてしまいます
それにしても、アイデアが豊富でしかもそれをサラサラっと走り書きのデッサンで表現するのではなく、スーパーリアリズムで古典作品から銭湯画まで再現してしまう画力をもって大作に仕立ててしまう・・・というのが彼女のエネルギーのただならぬものを感じさせて圧巻。
今回のような充実した回顧展はなかなかないと思いますが、これからも注目したい作家です
上野の東京都美術館で、2013年7月23日から9月29日まで2カ月に渡って開催されていたこの美術展、
美術コレクターの知人宅で図録を見せてもらい、学芸員に知人の多い友人が、「ルーブル美術館展」が物足りなかったので、お口直し(笑)にたまたま見たらとても面白かった、などと聞き及んで、是非、会期中に・・・と思っていたのですが、訪れたのは9月27日と終了直前で^^;
それでも、間に合って良かった!と思える充実した内容でした。
福田美蘭氏(50歳)の父親はグラフィックデザイナーの福田繁雄氏。
ウィットとユーモアに溢れた洒脱な作品が思い浮かびますが、血は争えないと言いますかなんと申しましょうか・・・。
写実の圧倒的な技量に加えて、あらゆる角度から自分の心の赴くままに、現在過去未来を行き来して、アイデアをどんどん形にしていく力技と軽やかなフットワークに感嘆。
これは、震災後の海底をアサリの気持ちで描いた・・・という連作の一つ。
アサリにとってもストレスは多大だったろう・・・というミクロの視点から全体を想起させますね。
9.11のテロで失われたツインタワービルの窓の明かりを、夜空の星としてちりばめた「ニューヨークの星」。東日本大震災を報じる紙面を、心象を加えて描いた「春―翌日の朝刊一面」。赤飯の包装紙に描かれた南天を、イラク攻撃に使われた兵器に見立てた「日本もクラスター爆弾を持っているらしい」など、時事問題を捉えた作品も秀逸ながら、古典作品を捻ってその先やその背景を想像した作品群も。
黒田清輝が孫を膝に抱いて、その肖像画を描いている様子とか、見られすぎて疲れたのか、横になってくつろぐモナリザとか・・・^^;
美術作品のあたりまえをくつがえす発想の転換シリーズも。
これは、足で踏んでも良い作品。
後ろはちょうつがいで留められて、開けなければ見られない作品。
他にも冷蔵庫を開けると内部が重厚な油絵の歴史画になっていたり、天井の隅に収まるように作られた油絵作品と重厚な額、などなど。
パロディ的な意味でわたくしが一番面白く思ったのは、こちら。
群馬県立美術館蔵の2000年作品「リンゴとオレンジ」
美大受験の塾や通信教育で、添削を受けたセザンヌ・・・という発想がなんともウィットに富んでおり、「テーブルの位置が不安定」「リンゴの表現が甘い」などと駄目押しをして評価Bをつけているという大胆さ。
東京藝大出身の静物画家にとって、セザンヌは一つの理想形であり、そのコンポジションなどにアカデミックな議論を戦わせることが多いことを含んでみるとなんともシニカルで思わずニヤリとさせられてしまいます
それにしても、アイデアが豊富でしかもそれをサラサラっと走り書きのデッサンで表現するのではなく、スーパーリアリズムで古典作品から銭湯画まで再現してしまう画力をもって大作に仕立ててしまう・・・というのが彼女のエネルギーのただならぬものを感じさせて圧巻。
今回のような充実した回顧展はなかなかないと思いますが、これからも注目したい作家です
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