他のソリストは・・・。
松岡さんは、顔立ち、スタイルともに大変美しく、技術的なこともクリアしているのですが、見ているとだんだんと気持ちが遠のいていってしまう・・・。
都さんがどんどん引き込んでいくのでやはりここはダンサーとしての格の違いと言っては気の毒でしょうか。
楽天的で、パシャに買い上げられてメドゥーラと生き別れになっても、それはそれで贅沢な暮らしをエンジョイするちゃっかりタイプのギュリナーラもいますが、松岡さんはパシャに呼ばれてハーレムで踊るときも常に嫌悪と恐れの表情での役作り。そのせいで、上半身が伸びやかに使い辛かったということもあるのかもしれませんが・・・。
輪島さんのランケダムはただの悪モノみたい。
ABTの映像で見るマラーホフのランケダムだと商売っ気や愛嬌や如才なさ、人あしらいの上手さが出て、ランケダムの造形が面白いのですが、そういった役作りのレベルまでは残念ながら到達していないように見受けられました。
熊川の演出意図として、海賊と商人の権力争いと、海賊団内部でのビルバントの裏切りによってさらに複雑化するパワーゲームも見所、とされていましたが、そのような演出意図を浮き彫りにできるほどのソリスト陣の成熟をまだ待つ必要がありそうです。
Kバレエの魅力=熊川、都さんという傑出した世界レベルのアーティストが主役を踊ること。美術に予算を割いて、ヴィジュアルの美しさで完成された舞台を演出。コールドの女性に美人が多い。
Kバレエの欠点=コールドの完成度の低さ、ソリストとTOPのレベルの乖離。コールドの振付が単調で魅力に乏しいところ。(これは振付の欠点なのか、技術レベルの未熟さによるものなのか不明)
豪華な舞台装置、華と個性に恵まれたトップ、そのトップダンサーとは個性の違いこそあれ、技術・演技力で見劣りしないレヴェルのソリスト、美しく揃った良く鍛錬されたコールド。
全てに恵まれることは難しいとはいえ、折角多くの支持を得て、日本一の観客動員力を誇るKバレエ、もう少し全体のレベルの底上げができればと、つい思ってしまうのでした。