新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

The Ritz-Carlton Osaka

2013-10-29 08:25:31 | コラム
偽装か誤表示かの問題を起こしたとは:

問題の阪急阪神ホテルズの社長が辞任を表明したと報道された。それは兎も角、かのリッツ・カールトン大阪がこの件に関連していたことと、阪急阪神ホテルズの傘下にあったのには驚いている。

何故かと言えば、W社在職中にシカゴのウオータータワー・プレースにあるリッツ・カールトンに4回ほど1週間滞在した経験があり、そのサーヴィス等々の質の高さからアメリカでも最高のホテルの一つであると、十分に認識させられていたからである。当時は、同様な高級ホテルであるFour Seasonsと同系列であると聞かされていた。

しかし、数年前にそれらより下位にあると認識していた、良いホテルチェーンではあるMarriottが系列内に収めたと聞かされて驚いていた。しかも、残念ながら最早そういう高級ホテルには縁がなくなった生活であるので、リッツ・カールトンが日本国内の何処にあるのかも関心など無くなっていた。

ここで、何を基準にして「良いと言うか、優れたホテルと言うか」に触れておこう。最初に転進したM社に仕事上世界中を旅して歩いていたマネージャーと、この件を1972年に語り合ったことがあった。彼の判定基準は「宿泊して何事も不満か不平を感じることが起きないこと」であり、そういうホテルは全世界でも数少ないと指摘した。私は極めて尤もだと思い、それ以降そういう視点でホテルを見ている。

この基準に従えば、リッツ・カールトンとフォア・シーズンズに泊まった際には全く何の不満も事故なく、穏やかに過ごせたのだった。特に、シカゴのリッツ・カールトン等は、ご案内していた日本からの団体の方が是非部屋を見せてくれと言われてごお見せしたことすらあった。しかし、このホテルでは朝食のみで、昼と夜はほとんどお客様のご案内か社内の打ち合わせで、メニューすら見る機会がなかったのは残念だった。

それほどの優れたホテルのチェーンで、今回のような食材で偽装か誤表示かで釈明会見を開くなどとは、考えられないどころかそういうことを起こすホテルとは思っても見なかったので、何ということをしたのか、何とも遺憾と言うか何と言うか、そんな程度だったのかとでも批判すべき言葉がない。

なお、アメリカの会社では贅沢をしていたではないかとのご指摘がありそうだから、一言解説を。先ずはアメリカの旅費制度では全て領収証を添付しての実費精算で、宿泊費や食事代や日当というものがない。必要経費は事業部か個人の予算の範囲内で処理する仕掛けだ。それに、嘗てはトリプルAの格付けだったW社のマネージャーやそれ以上の役職者が出張して、謂わば我が国のビジネス・ホテルのようなところに泊まっては会社の格が疑われるというか沽券に関わるのである。

故に、おそらく上場企業の場合には全米のこれという大都市の、これというホテルとは"corporate rate"と言われる年間一定量の出張者の宿泊を保証する条件で特別のレートが提供されている。そういう事情で、私如きが自分の判断で自分の好き勝手でリッツ・カールトンを選んでいた訳ではないのだ。シアトル市内のフォア・シーズンズ(現在は経営体が変わってしまったが)にしても同様な根拠で泊まっていた。謂わば、有り難い経験だった。