新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何故イスラエルとパレスチナは争うのか

2014-07-19 16:45:29 | コラム
この世界には我が国の常識とは異なる意見も見解もあるものだ:

以下は畏友尾形美明氏のご意見をあるサイトで知って触発され、参考までに述べてみる次第です。

イスラエル対パレスチナの問題ですが、我が友人の「商社マン」と彼の言わば上級生だった豪腕で慣らした商社マンは中近東駐在経験者です。彼等が語る「中近東情勢というかそこでの問題点」は我が国のマスコミ情報や専門家が述べることとは明らかに一線を画していると思っていました。

一度はW社の車で16号線沿いの神奈川県下の客先の工場を訪問すべく、上記の豪腕氏と共に走っていた際に、話題が第一次湾岸戦争になり、全く一般の理解と異なる解説が聞けました。その日は道路も空いていて約束の時刻よりも早く到着しそうでした。すると、車が突然左に曲がって喫茶店の駐車場に入っていきました。

ドライバーに「何をする気か」と尋ねると「その話しが余りに面白いので、このまま先方に行く前にここで話しの続きを是非とも聞かせて頂きたいと思って。コーヒー代は私が負担しますので宜しく」と切り出しました。流石に豪腕氏も笑い出して「「喜んで語ろうじゃないですか。コーヒー代は我が社が負担します」ということになりました。

その話とは、中近東での常識では「あの戦争で如何にも被害者の如くに扱われたクエートこそ非難されるべきで、イラクには瑕疵はない」というものでした。彼によれば、中近東では "Q80" (キューエイティ-」とも呼ばれるクエートがイラクの油田を巧みに奪い取ったので、イラクはそれの奪還を目指したと認識されている」というものでした。私は伝聞を紹介しているのであって、真偽のほどを保証するだけの知識はありません。

この辺りに異議をお持ちのかたがおられましたら豪腕氏にお伝えしたいのですが、彼は最早子会社の役員を追えて故郷に帰られ連絡出来ないと危惧します。

また、「商社マン」には「イスラエル対パレスチナの争いが解決し、中東に平和が来ることがあるのか」と尋ねたことがありました。彼はサダムフセインが人間の盾として使った人質を経験した、言うなれば筋金入りの中近東通でした。彼は言いました「2,000年前に奪い取られた我らが聖地を奪い返すのが我々の聖戦である。今までに2,000年も過ぎているのだから、仮令これから先2,000年かかっても取り返すだけだというのがパレスチナ人の主張」と。

彼はさらに言葉を継いで「だから我々は和平などはあり得ないと認識させられたし、懸命に和平の仲介しているアメリカがこの辺りの事情を知らないはずはないでしょう。世界史を良く学ばれれば今の貴方のようなご質問にはならないでしょう」とまで言いました。この辺りも一寸衝撃的な解説でした。私はここでも伝聞を述べているだけで、異論をお持ちであればその旨彼にお伝えします。

我がマスコミの報道の姿勢は悉くパスチナよりでイスラエルを非難している感があります。そういう姿勢は彼等の常套手段でしょうが、世界には異なる意見も見解もあるものだと報じても罰は当たらないかと思うのですが。

最後に逃げを打つことをお許し願えば、私は世界史をキチンと勉強してこなかったので、中近東駐在経験者の解説を謹聴する以外出来ませんでした。

マレーシア航空機撃墜問題に思う

2014-07-19 08:17:21 | コラム
謝罪の文化がない国々が如何に対応するのか:

この度のマレーシア航空機がウクライナの上空で不幸にも撃ち落とされた事件は誠に傷ましく、犠牲者のご冥福を心からお祈りする次第だ。このような国際的に非常に微妙な要素が多い事件がウクライナの上空で発生したと聞いた時に、鈍感な私でさえ「何でそのようなところを飛んだのか」と耳を疑った。1992年にスキポールから東京に帰ってきた経験があるので、ロシアの上を飛んだのだが、まさかこの時期に飛ばしたのかとの疑問である。

私は実はこの件は「文化」のジャンルに入れても良いかと一瞬迷ってしまったほどの複雑さがあると思う。

この件に関する報道が輻輳しているし、私には何が真相かなど知る由もない。だが、全ての状況を把握しているはずだと推定しているアメリカでは、オバマ大統領はロシア側の地域からミサイルが発射されたと明言したと報じられた。当然ながらこの件の責任の所在についてウクライナとロシアの主張は正反対である。

私はこの時期に何とまた解決が極めて面倒な問題を起こしたものかと思っている。私の長年の主張である「謝罪の文化」を持ち合わせない西欧の諸国が関連した想定されるこの案件である。しかもアメリカは当事者ではないが、簡単に仲裁に動くとは私には到底考えられない。

謝罪の文化は我が国独特の潔さを示すもので、自らの過ちなり罪を綺麗に認めて謝罪することから補償等の事後処理の話し合いなり交渉に入っていく。そこには「水に落ちた犬は撃たない」という精神がある。恐らくこのような美しい文化があるのは我が国だけだと思っている。経験的に言えることは「欧米諸国と我が国の北にある国々にはこのような文化も思考体系も存在しない」とは知らぬ人が我が国には未だにおられるのだ。

我田引水を承知で言えば、長年対日輸出に携わってきた間に最も克服が困難だったことの一つに、アメリカ側の「謝罪をしない文化」で育ってきた人たちに事件発生の際には「先ず謝罪から入れ」と理解させることだった。私は「我が国との交渉では謝罪をしても一切の責任を負うと告白したことにはならない。非は我が方にあると自覚している場合には、先ず "We regret." 程度のお座なりな表現ではなく "We admit ~." かまたは潔く "We are sorry we made such a mistake." とでも言っても全責任を負うと言ったことにならない」と説得してきた。

拙著「アメリカ人は英語がうまい」には「海の向こうの誤らない人たち」と題した章がある。そこで強調した点はアメリカの航空会社の地上勤務の責任者が最後まで絶対と言って良いほど「自らの過ちを認めて譲歩する姿勢どころか、謝罪すらしなかったこと」だった。私は彼等が謝らないことを承知で何度も「謝れば譲歩してやる」と言ったのだが、過ちが彼等の側にあったのは明白だと承知していた様子でも謝罪は拒否したのだった。

この度の事故がオバマ大統領が指摘した通りだったとしよう。そこに発生するだろう最大の問題は、目下世界最強のリーダーだろうと私が認識しているプーチン大統領が如何なる姿勢で対応するかだと思う。いや、何処までロシア側の非を認めるかだと思っている。いや、認めないだろう。しかも交渉すべき相手先がウクライナだとすれば、世界最強の大統領が如何なる姿勢で事に当たるかは非常に興味深い。

私はもしもロシアかウクライナの親ロシア派か、ないしはウクライナ側が万が一にも責任を認めることがあるとすれば、それは22世紀にでもなった頃かも知れず、ましてやオランダ、マレーシア他の犠牲者に謝罪する可能性は低いと思っている。しかし、これは当事者または責任者であった側が犠牲者に対する補償に応じるだろうこととは別個の問題ではないかと考えている。

何れにせよ、世界最強のはずだったプーチン大統領はウクライナ問題の処理に加えて、今回の撃墜問題が加わった極めて難しい局面に如何に対処していくかは、これから先の世界の情勢ないしは平和に重大な影響をもたらすことだろうと考えている。また、その輝きを失いつつあったアメリカとオバマ大統領にとっては、その威光と力を見せられる場面が来るだろうとも見ている。

換言すれば、オバマ大統領がプーチン大統領に押され気味で、中国のやや安定性が欠けるかに見える指導者・習近平にも軽視されているのではないかと危惧されていた劣勢から、ここで外交面での手腕を発揮して一気に脱出する好機が来たるかも知れないとも考えている。同時に、外交面で着実に実績を積み重ねてきた我らが安倍総理が如何なる態勢でこの局面に対処するかにも関心がある。