新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

野球用語の解説

2015-05-05 08:32:44 | コラム
タグ・プレーかタッチ・プレーか:

昨日の巨人対広島の責任審判・丹波は「タグ・プレー」と言っていた。これは貴重な発言だと思った。「タッチ・プレー」は和製語のカタカナ語なのだから。

これは4日に広島で行われた巨人対広島のサヨナラゲームで起こった珍現象を、審判が場内の観客に向けて説明した言葉からとったものだ。ご覧になった方もおられるだろうが、インフィールド・フライを三塁手の村田と錯綜して捕り損なった新入りの外人・フランシスコが走者にタグ(正確にはtagであって「タッチ」ではない)せずに本塁を踏んでしまったことで、巨人が負けてしまったあの出来事だ。

フランシスコが野球のルールを心得ていなかったのが敗因だったのだが、その後に長い間審判に食い下がっていた原監督も頂けなかった、広島勢は「勝った、勝った」と喜んで引き上げた後なのに。そこで、丹波審判はマイクを使って観衆に事態を解説したのだった。彼はその中で「あれはタグ・プレーであったので、本塁を踏んだだけでは3塁走者はアウトにならないので得点になった」と説明したと聞こえた。

私の聞き違いでなければ明瞭に「タグ・プレー」と言ったのが印象的だった。彼の経歴を見るとアメリカのフロリダ州キシミー(Kissimmee)というところで開催される”Jim Evans Academy of Professional Baseball”に参加したとある。そこから推察すると、彼は我が国で普及している「打者や走者をアウトにするためにボールをつけること」を「タッチ」としているが、英語では”tag”であると承知しているようだ。

私は今までに我が国で「タッチ」ではなく「タグ」というか書かれたのを見たことも聞いたこともなかったので、非常に新鮮に感じた。ただそれだけのことだが、非常に珍しかった。私は常に野球のカタカナ語は99%は和製語であると言ってきた。だが、今やそれで遍く天下に広まっているのだから、敢えて異を唱える気もないし、ご自由にお使い下さいと広い心で?鷹揚に構えている。

しかし、あの丹波審判のように「タグ・プレー」等といっても誰も気が付かないだろうし、疑問にも思うまい。しかも「タグ」(tag)の場合実際に走者なり何なりにボールをつけるのだから、”touch”を使いたかった先人の気持ちは解らないでもない。余計な講釈だが、”touch”は主に「触れる」という動作を表しているので、「付ける」という意味の”tag”の方が適切なように思う。「タッチアウト」は”tagged out”となる、念のため。