新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月26日 その2 カルロス・ゴーン氏はどれほどの資産を築いたのか

2018-12-26 15:02:37 | コラム
カルロス・ゴーン氏の案件に関するマスコミ報道への疑問:

本26日もジムのストレッチ用のマットレスで博学多識の60歳台の論客Q氏と語り合う機会があった。我がジムにはこのように論客が多いのであるから、老いたりといえども、当方も事前に多少は勉強しておかない事には迂闊に議論に入っていけないksと危惧している次第。

本日の話題は他ならぬカルロス・ゴーン氏に関する事だった。Q氏が採り上げられた論点は「彼は一体どれほどの資産を日産自動車の19年間で築き上げたのかは一向に報じられていない。更に、今回新たに発生した16億円の損失付け替えの件でも、損失の総額が16億円だけだったのかまたは仮に100億円を投じたとして16億円の損失になったかも明らかではない。ご存じの方がおられたら教えて欲しいくらいだ」というところだった。

私もマスコミの報道は検察側が追いかけている容疑と、それを真っ向から否定してかかっているとゴーン氏と(保釈されたケリー氏)の供述であるとか、保釈があるのないという類いの今回の事案の本質ではない点ばかりに集中し過ぎていて、恰も芸能のゴシップニュースの如きであるかのように感じていると感じている。勿論、マスコミとてフランス政府の言わば介入にも等しい姿勢と同国のマスコミ論調、ルノーの出方等も扱ってはいる。

だが、私は「何時になるか読むことなど予想などは不可能だろうが、我が国の裁判所の判断次第では、国際的にも非常に難しい問題になりかねない一件だと思っている」と言われる方々は多いだろうと思っている。その辺りに多くの専門家が検察が総力を上げて取り組んでいる案件であるということが、イヤというほど解ってくる。

以前にも回顧したが、私はW社在職中から既にマスコミのほんの片隅に片足の爪先程度を突っ込んで来た経験があるので「マスコミが抱えている難題の如きものについても多少のことは解ると思っている。即ち、経済部の日産自動車担当記者や、社会部になるのだろうが今回のゴーン氏の金商法違反の細目やゴーン氏の私生活等々に関しても相当以上細部にわたった情報は掴んだ上での報道の仕方かと思っている。いや、彼らは大袈裟に言えば「裏も表も承知しているはず」と見ている。だが「裏」を採り上げる訳には行かないのだろうとだけいっておく。

ではあっても、彼らはQ氏が疑問視しておられたゴーン氏が築き上げられたであろう総資産額や16億円の損失の実態等は、仮令実態を承知していても書いたり語ったりすることは先ずしないだろうと思っている。勿論、そこにはマスメディアが得意とする「個人情報」に属するだろう微妙な点が多々あると思うが、日産自動車自体はゴーン氏問題が発生した後でも、何事もなかったようにテレビCMは打っているというスポンサーなのである。その大スポンサーを傷つけるような報道は出来ないのだろうと考えて見ている。

私がもしマスコミに対して何か言うことがあるとすれば「もっとより良く法律的且つ経済的と国際的な視点から、この案件を誰にでも解るように徹底的に解説する報道の仕方をすべきではないのか」となる。即ち、換言すれば「ゴーン氏が保釈されるかも知れない」といって東京拘置所の前にカメラが群がる絵を見せていては、芸人たちが覚醒剤容疑で逮捕され保釈されることを報じているのと変わらない軽佻浮薄になりかねないニュースにしてしまうだけだと思うのだ。

これまでの報道姿勢では「連日連夜、無料で(?)日産自動車の広報宣伝活動」の代行をしているかの如き軽さだと思う。ゴーン氏もケリー氏も会社経営者として拘留されたのであって、芸人と同様の扱いをするのはおかしいのではないと指摘しておきたいのだ。



トランプ政権の成果を考えると

2018-12-26 08:01:24 | コラム
トランプ政権の功罪は1期4年を終えてから判断すれば:

私は色々と毀誉褒貶相半ばしているかの感が無きにしも非ずのトランプ大統領の(時には?独断専行もある)「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」政治の評価は、「最初の任期である4年を経てからで良いだろう」との説を述べてあった。トランプ大統領独特のあけすけな語り口でプーアホワイト以下の支持層に語りかけて、彼らにも解りやすいような公約を次々に実践して成果を挙げてきた手法の当否を、現時点で論じるのは余り意味がないかと考えていた。

ところが、トランプ大統領は年来の持論であった中国や我が国の他にもNAFTAの締結先との間に生じている貿易赤字を一掃を図られた辺りまでは未だ穏当だったが、中国に貿易戦争を仕掛け、更に5G絡みで「国家の安全保障」の見地から華為とZTEの締め出しに着手されたことで、事態がより難しいというか険悪になってきた。それに加えて、自らが信じて任命したはずの重要閣僚が続々と辞任または解任されていったかと思うと、今度は利上げを巡っての発言ではFRB議長の不信任にまで及んでいる。

流石に事がここまで来ると、株式市場には「トランプ政権下での先行き不安感」が出てきたのか、アメリカだけではなく、その影響を受ける我が国は言うに及ばず、上海その他のアジア市場でも株価の下落が始まったのである。私は株式市場には疎いので2万円割れした相場が何処まで深刻であり、何処までアメリカの政治と経済の先行き不安感の影響下にあるのかどうかなどは論じられない。第一、トランプ大統領が中国を相手にして徹底的に叩きに出て行かれたことが、そこまでの不安感の材料になるのかなと疑問に感じて見ている程度だ。

私には現在の言わば世界同時株安的な様子を見て、トランプ大統領が大きく方向転換を図られるか否かなど読みようがないと思う。だが、何らかの事態を平穏に持って行ける策は講じて貰いたいとは思っている。だが、マテイス国防長官の辞任の前倒しや、補佐官等々の辞任が相次ぐ中で、大統領が世界全体の情勢と株式市場への対策を誰と相談乃至は話し合って決めて行かれるのかには、何となく不安感を禁じ得ない。

私は何れはプラスだけではなく負の成果も出てくるだろうとの予感を持って眺めていたトランプ政権の強引さと危うさの結果が、案外早い時点で出て来た模様だとも考えている。私はやや負の面が出てきた事態にトランプ大統領が如何にして即刻対処して行かれるかを見守っていきたいと考えている。まさか、トランプ大統領が2年近く運営してこられた自らの政権の政策の「コインの裏側」を予め予見していなかったとは思いたくないのだ。即ち、contingency plan は用意されていたと希望的に考えている。