新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月16日 その2 「そーですねー」と「まー、あのー」

2021-04-16 14:16:43 | コラム
口癖の研究:

昨15日の夜は、8時からのPrime Newsに櫻井よしこさんが何時ものように単独で出られると承知していた。そこで、それまでの間はNHKのBSで中継される宮本慎也が解説する阪神対広島の試合を見ている事にした。同時に凄い新人・佐藤輝明の打撃が、何処までプロの投手に対応できるようになっているかにも興味があった。というのも、先日もこのカードでは宮本の解説で「こことここを改善すれば」と指摘してあったので、佐藤君がそれを聞いてい訳ではないだろうが、もしかして幾らかでも修正できているのかも知れないと期待していた。

修正できていたか否かの前に、これまでに散々聞いてきた宮本の解説だったが、彼の語りには「これまで気が付いていなかったのか」と思うような口癖があった事を発見したのだった。それは、アナウンサーに語りかけられると、90%以上の確率で「そーですねー」から入っていく事だった。そう気が付くと「また来るかな」と予期してしまう状態になってしまった。私が知る限りでは、多くの人にはこのような癖があるのだ。同じNHKで解説している元中日の和田一浩は、殆どの場合に「まー、あのー」から始まるのだ。

この「まー、あのー」はかなり一般的に普及していて、ここから語り始める人は多いのだ。「まさか」と思う方は、その気になって注意して見て頂きたい。昔の事になるが、某有名私立大学の強豪サッカー部の監督さんは話が長くて、しかも必ずと言って良いほど「まー、あのー」から語り始められるのだったそうだ。部員たちは長い訓話(お説教?)に飽きてしまい、誰言うとなく「まー、あのー」を数え始める事で退屈を凌いでいたのだそうだ。そして訓話が終わってから「今日は何回だったか」と有志で数合わせをしていたとか。宮本慎也の解説は非常に優れているので、何時も頼りにして聞いているが、「そーですねー」の連発でこんな昔の事を思いだしていた。

そこで、野球であり、佐藤輝明君だ。宮本慎也の解説では「三振を怖れずに何でも振りに行くのは良いとしても、ボール球に手を出さないようにすること。そうすればカウントも打者有利になることもある」という事と「狙い球を決めておいて、打ってもヒットにならないコースは捨てる」というような極めて簡単なような点だった。だが、これらを完全に出来る打者は何人もいないと思うのだ。宮本は「佐藤は素材として素晴らしく、打席に入ってくる度にどんな打撃を見せてくれるのかとゾクゾクするほど期待している」と語っていた。だが、かれはコーチとしては非常に厳しくて選手たちの人気がなかったと聞いている。その彼がこれほど褒めるのは、如何に佐藤輝明が逸材であるかの証しだと思って聞いていた。

その佐藤輝明は苦手だったはずの左投げの床田のアウトサイド寄りと見た真っ直ぐを、何とバックスクリーに打ち込むホームランにしてしまった。報道では、そこに打ち込んだ場合の賞金100万円を獲得したとの事だった。そのホームランは長い腕を伸ばして見事に振り切っており、そのスウイングを見ただけでホームランと解る凄い当たりだった。宮本は「キャンプで見た時には新人とは思えない体格だったので、ホームランは20本くらいは打てるかと予想したが、17試合で5本では予想を訂正せねばなるまい」と語っていたが、この件で「そうですねー」から入っていたかどうかどうかは聞き漏らした。

ところで、折角の櫻井よしこさんの独演会だったが、何時もの通りで穏やかな口調で、言うべき事を厳しく語っておられた。昨夜は「アッ」と驚くような新たな情報の提供はなかったと思うが、文在寅大統領が菅首相が福島のトリチウムを含む水を2020年から海洋に放出する決定をされた事を非難したのは「良くそんな事が言えるものだ。韓国にせよ中国にせよ、自分の國の原発から放出している水に含まれるトリチウムは、我が国の予定量の数倍数十倍であるのだから」と指摘された上で、反町が提示した数値の表(「フリップ」は言葉の誤用だ)を引用して、「我が政府はこの数値を基にして、我が国の行為の正当性を世界に向けて発信すべきだった」と極めて当然の意見を表明された。言いたくはないが、この辺りは私の持論と同じだ。

だが、恐るべき事に、たった今見たニュースでは「UNが憂慮を表明」とあった。「だから言ったじゃないか」なのだ。我が国は世界に向かっての正当に出しておくべき情報の発信量が少なすぎるのだ。そうしなかったから、文在寅大統領如きに勿怪の幸いと揚げ足を取らせ、中国の報道官にも悪し様に言われるのだ。それは事前に発信しておいても、彼らは何のかんのと言う事などは分かりきっている。でも事前に言ってあれば「貴国は自分が言っている事をお解りですか」くらいの反論が出来るではないか。本当に歯痒い思いだ。口癖の話がここまで飛び火してしまった。尤も、我が国を悪者の如きに言うのは、中国と韓国の口癖だろうが。


東芝のファンドによるTOBの問題

2021-04-16 09:32:31 | コラム
東芝はCVCキャピタル・パートナーズの提案を拒否すると発表した:

私はこの東芝の意思表明は極めて尤もな事だと思っている。この東芝の件で某銀行で支店長や海外勤務を経験し、製造業の大手会社にも出向して異業種も内側から見てきた昭和20年の中学入学からの級友と語りあってみた。中々興味深い1時間弱の電話会談だった。この中で教えられたのが、我々と同期の元キャノンの副社長だった田中宏君が先月亡くなっていたとの訃報だった。既に近親者のみの葬儀で終わっていたので、同期の間でも殆ど知られていないとかだった。黙祷だ。

先ず、私の方から語りかけた事は、社長を辞任された車谷氏が三井住友銀行の出身者だったという辺りからだった。それは「紙パルプ産業界とその関連業界において見聞してきた事で、銀行から社長乃至は経営再建の責任者が派遣された会社は立ち直る事は多いのだが、往々にして不振の事業部門が整理されて経営の規模が縮小されるか、安全第一を旨とする経営になってしまう。そのような変貌振りを外部から見ていて推理すれば、銀行から派遣されて来る人は会社を建て直して自行の債権を確保するのが狙いであって、それ以外の何か多くの事を期待すべきではないと感じていたのが、単なる邪推か」だった。

級友からの反応は意外でも何でもなく「概ねその通りだろうよ」と否定はしなかったのだった。私の見方は「車谷氏が直前はCVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長だったにせよ、三井住友銀行出身であれば、車谷氏は社長兼CEOとして東芝の経営を安定させ、出身母体の銀行にも問題が生じない事を意図されたのではないか」という気がしたのだった。級友は車谷氏が銀行出身者だと承知していたし「銀行と製造会社では全く業務も何も異なるので、銀行から乗り込んでも上手く行くかどうかは保証の限りではあるまい」とも回顧していた。

ましてや、投資ファンドであれば、買収して内容を改善してから高額で売却しての売買差益を獲得するのが狙いだから、当然のことで建て直した後に売却は考えているだろうし、物言う株主になるのも不思議ではあるまいと思う。現に我がウエアーハウザーは2007年頃に7%ほどの株式を取得した某ファンドに物を言われて、紙パ部門で最大の事業部を「先行き不安」として売却を迫られてしまったのだそうだ。我が社は2005年には印刷媒体関連の紙部門の将来を見切って撤退を始めていたのだった。だが、ファンドからは未だ将来性ありと温存して置こうとした部門の処理を言い出されて抵抗できなかったと、昔の同僚から聞かされたのだった。

級友と語り合った多くの事の中には「アメリカやヨーロッパのファンドとはそういう集団であるようなのだが、マスコミは東芝がそういうファンドの株主に物を言われた事がどれだけ大変かを認識して報道しているのだろうか。まさかその実態を知らずにTOBだと言う事だけで騒いでいるのではあるまいな」という点もあった。

更に意見が一致した事は「ICT化が急速に進み、世の中が大きく変わった事の影響を被っている電気産業界はさぞかし大変なんだろうな」だった。その表れかどうかは解らないが、松下電器産業は「電器」が入っていないパナソニックになってしまったし、ソニーも「今や電機会社でないことは確かだ」と指摘されているではないか。この業界は時代の変化に追い付くだけでも大変なようなのである。と言うよりも、今更GAFAMに変身する訳にも行かないのだろう。先日もPrime Newsで「半導体の需給が逼迫している時に、文在寅大統領はサムソンの実質的経営者の李氏を投獄してどうする気なのか」と、真田教授だったか鈴置氏だったかが指摘したのが印象的だった。