新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

読売ジャイアンツ嫌いがジャイアンツを評価すれば

2024-05-10 07:43:57 | コラム
阿部慎之助監督の下に端倪すべからざる存在では:

ここ数日、ネットのニュースで「阿部監督が不振を極める捕手の大城卓三の登録を抹消した」と出てくる。打撃不振だから落としたのか、捕手として宜しくないからの処置なのかまでには触れられていない。だが、私は「阿部新監督は中々やるじゃないか」と評価した。そう言う根拠は「大城は高校と大学の先輩である原前監督に重用されていたし、優れた打撃の才能を活かして見事なホームランを打つ事があったから」にある。

だが、捕手は打撃面で才能を発揮してティームの勝利に貢献するかとして起用するポジションなのだろうか。某解説者は「大城のリードは偏りすぎている。何時でもアウトサイド寄りに座って、そこに投げるようなシグナルを出しているようだ。あれでは打者に読まれてしまう」と酷評に近い事を言っていた。事実、原前監督が大城を正捕手に起用するようになってからジャイアンツは優勝を逃し続けてきた。「捕手を打撃面で評価するべきではない」という教訓ではないのか。

そして、今シーズンから一部のマスコミから二軍監督しては「鬼軍曹」的に揶揄される事もあった阿部慎之助という打撃面で輝かしい実績を挙げてきたスター選手が監督に就任した。私は阿部二軍監督が失敗をした選手に罰走を課したとの報道で、矢張り長嶋名誉監督の薫陶を受けてきた為に「自分が歩んできた道と同じような厳しい指導法に拘泥する指導者では」との懸念を表明して見せてあった。

ところが、である。新監督は前任者が踏み切れなかった重要な課題だった「世代交代」を大胆に実行し、新人を一本目でシーズン開始からいきなり使ってみせるし、補欠や二軍で燻っていた人材を果敢に起用して、それなりの実績を挙げさせているし、タイガースと首位争いも演じている。私が注目している点は捕手には干されていた小林誠司を使い、岸田行倫まで効果的に起用して見せた辺りだ。明らかに効果を発揮している布陣だ。

もっと意外だったのは、私が慶応大学出身者は(過去においては高橋由伸のような監督にまでなった成功例はあるが)プロ野球の世界には不向きではないかとすら評価してきた、2年目の萩尾匡也もほぼ外野に定着させている。そして、一方では私が「早くお払い箱にすべきでは」と批判してきた高齢の部類に入る丸、梶谷、長野、坂本の熟練者も上手に使っている。中田翔は自ら外れたが、伸び悩みの秋広は二軍に落とした。

投手陣でも、昨シーズンには4勝しか出来ずに「終わった」と思わせた菅野智之が寧ろ外していく投手として偶には150kmも投げるという形に変身して立ち直ってきているし、戸郷翔征は育ったし、山崎伊織は立派に立ち直っているし、ソフトバンクが手放した高橋礼も伸び伸びと投げている状態である。そこに加えて外国人投手も揃ったし、タイガースにもひけを取らない布陣だが、大勢の故障は痛いかも知れない。

私はここまでの他に「残念ながら守備だけでもリーグ屈指の二塁手だ」と高く評価してきた吉川尚輝をどうやら正二塁手に定着させたようだし、1年目に原監督が抜擢して育った門脇などは10年もプロでやっているようなショートストップに成長している。私は「岡本和真はホームランを沢山打つ能力は評価するが、安定した打者ではない」と辛い点を付けている。要するに「ジャイアンツは何処と言って問題点がないティーム」なのである。

私は「タイガースが3、4、5番の打者が低打率に沈んでいるので、近本と中野しか頼れる打者がいなくても首位にいられるのは、人材が揃った投手陣のお陰以外の何ものもない」と見ている。大山、佐藤、森下、ノイジーが持っているのかも知れない力を発揮出来ずにいれば、ジャイアンツに何時追い落とされても不思議ではないと思っている。

ジャイアンツは阿部監督の采配に大きな過誤を生じない限り、タイガースを苦境に追い込むと評価している。これだけ言ってもジャイアンツ嫌いなのですが。