新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私の英語勉強法・応用編

2019-12-16 14:41:28 | コラム
音読・暗記・暗唱の先に:

アメリカ人の世界に入ってからの英語の勉強法は色々とあったが、その中では最も簡単なようで記憶力が必要なもので「兎に角、彼らが言うのを聞いていて『なるほど、こう言いたい時にはこう言うのか』と感じ入った表現を覚えて置いて、その時が来た場合に記憶から引き出して利用すること」と言うやり方があった。これは換言すれば「native speakerたちの真似をすること」なのである。この方式を彼らは“to be mimic”というような表現をしていた。

思い当たるままに例文を上げておけば,「我が社もその域にまで達してみせる」は如何にも難しそうな響きだが、“We will be sure to get there.”であって拍子抜けするくらいに易しい言葉だけで表現できてしまうのだった。「その仕事を必ずやり遂げて見せます」は“I’ll be sure to get the job done.”で決意表明になるのだった。その他にはこれまでに何度か採り上げたのが「世の中とはそういうものだ」は“That’s the way things happen.“で良いのであり、ここで重要な点は「日本語との発想の違い」を把握しておくことだろう。

次は読書である。実際には良く本を読んでいう本部の秘書さんたちが推薦してくれる「今、こういう本がベストセラー的に売れているから読みなさい」を基にして買い入れ、飛行機に中などで読みまくっていた。この方法が有効だったのは「小説には会話体が多いので、native speakerたちがその意志と意向をどういう言葉遣いで表現するかを知る上に大いに役に立ったし、日常的にも応用できた(真似をすると言う意味)点だった。もう一つ例文を上げておくと“That’s more than we need.”があるが、「日本語ではどうなるか」をお考え願いたい。

そういう目的で読みまくった本にはJohn Grisham(ジョン・グリシャム)のThe Firm、The Pelican Brief, The Testament等々。ビジネス関連の小説が多いArthur Hailey(アーサー・ヘイリー)ではほとんど全ての著作を読んだと思うので、幾つか例を挙げておけ、ばAirport、Wheels、The Money Changers、Energy等々があった。他にもKen Folletも読んだが、特にOn Wings of Eaglesは凄い読み物だった。他にはLee Iacoccaの自叙伝などは興奮を抑えながら読んだものだった。

勿論、出張中には辞書などを持ち歩いてはいないので、知らない言葉にぶつかった時には前後の文脈で察しをつけて理解して進んでいくと言う乱暴な読書の仕方で、手当たり次第に読みまくっていた。特に飛行機に中では、ある程度読み進むと眠くなってくるので、休憩も出来るという有難味もあった。この長所は矢張り色々な表現を覚えられること。乱暴に言えば、読んでおけば何時かは自分の頭の中に入っていくだろうという考え方。速読法は単語の形を見てどういう言葉かが解るようになれば、音読せずとも黙読で理解して進行できるようになった。


読書はW社ジャパンにいたワシントン大学のMBAである日系人に「英語の本を読み切るのは大変な作業であり忍耐力を要するが、兎に角小説一冊の原書を読み切ることから入りなさい」とかなり強引に助言されて始めた。最初に渡されたのが“007”シリーズの(ダブル・オウ・セヴンだが)の著者 Ian Flemingの本だったが、彼が言った通り難しくて苦労したが、そこを突破すると後はそう負担にはならないようになった。読書を通じて色々な作家の表現の仕方や、言葉の使い方に接すると語彙が広まるし、表現能力が向上したのは間違いなかった。

このような勉強法も参考にして本部での会議では事前に副社長から自分に割り当てられた課題の“narrative”(「発表の原稿」とでも訳そうか)を練り上げたし、presentationの原稿等をそれほど苦労もせずに書き上げていけるようになったのだった。換言すれば「日本の学校教育的な英語ではなく、彼らアメリカ人たちにそのままで理解され納得させられるような英文が出来るようになった」という意味である。偉そうに言えば、ここか大事な点なのである。

だが、読書による英語力の向上というか表現力の改善(カタカナ語でいう「レベルアップ」)は、ある程度以上の基礎が固められていて実際の英語の世界で暮らすか、これからそこに入って行こうという人が心掛けるべき勉強法だと考えている。万人向きではあるまい。そうかと言って、大学まで来ている人たちは難しい原書講読だけはなく、時には俗っぽい小説等の中でアメリカ人やUKの人たちが日常的にどのような表現で語り合い、且つ文章を書いているかを知る絶好の機会になると思って薦めたい。“You know when you get there.”という題名の曲をハービー・ハンコックは作っている。



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