混乱させられている:
私には理解しにくいカタカナ表記が多いのだし、中途半端なカタカナ語が多いと思わせられるし、アメリカ式と英連邦式との混乱も散見される。そこで、幾つか例を挙げてみよう。「またこんな話か」とっしゃらずにお付き合い願います。
キャリヤーハイ:
先日、大谷君が三振を沢山獲った投球をしていた試合を見ていた。すると、アナウンサーが「もう一つ獲るとキャリヤーハイの12個になります」と言ったのだ。随分洒落た英語の表現を知っているなと感心していた。だが、現地で制作されたと聞いた画面を見ると、何の事はない下の方に英語で“career high”と表示されていたのだった。この表現も自分では使えた記憶はないのだが、厳密に言えば「生涯で最高の記録」というか「その業界でも競技でも良いが、始めてから最高の記録」のことであり、カタカナ語にはチャンと「自己ベスと」というのがある。
もしかしてアナウンサーさんは「キャリヤーハイ」と聞こえた音声をそのままカタカナ語にしたのであり、咄嗟に「自己ベスと」は思いつかなかったのかと察することにした。そもそも、自己ベストは「自己最高記録」と言うべきものだと思うが、それを英語にすれば“career high”のようになるのだった。いっそのこと自己ベストは廃版にして「キャリヤーハイ」にしたら如何か。
ロサンゼルス・エンゼルス:
殆どのテレビ局も新聞もLos Angeles Angelsをこのように表記し、カタカナ語化してしまっている。またGeneral Electric Companyも「ゼネラルエレクトリック」だし、富士通ゼネラルはFujitsu Generalなのだ。ここで言いたい事は、英語の正規の発音を正確にカタカナ表記すれば「ロスアンジェレスまたはロスアンジェリーズ」だし、Angelesは「エインジェルス」なのだ。何故かカタカナで表記する場合に“ge”を「ジェ」ではなく「ゼ」にしてしまったのだろう。
カタカナ語を製造する際に“a”や“o”を飽くまでもローマ字式にしたのは分かるとしても、何で“ge”を「ゼ」としたのかは理解不能だ。話は少し飛ぶが、Los Angelesは我が国では広く「ロス」とカタカナ語化されていて、それが通用しているのも面白い。アメリカでは通用しないのだ。アメリカには他にもLosが付いている都市はLos A-la・mos(ロスアラモス)だってあるのに。カリフォルニア州は嘗てスペイン領だったので、その名残でLosが付いているのだ。
英連邦式:
DPRKがミサイルを撃ち込んだのがEEZで、これはExclusive economic zone即ち「排他的経済水域」の略語だ。これが我が国では遍く「イー・イー・ゼット」とZがUK式の読み方に近くなっている。揚げ足取り風に言えば「ゼド」か「ゼッド」が正確なUK式だ。
我が国の同盟国アメリカ式は「ズイー」か「ズイ」なのだ。トランプ様の耳にでも入れば「怪しからん。直ちに訂正させろ」とでも言われたかも知れない。他にも「マジンガーゼット」というのがある。思うに、カタカナ語にする時に「ズイー」は発音しにくいのではと配慮したのだろうが、「ゼッド」も発音が難しいのではないのか。
厚生労働省:
このお役所の英語表記は“Ministry of Health , Labour and Welfare”となっている。こう入力しただけでLabourの下に赤線が自動的に入ってくる。即ち、Microsoftはアメリカの会社なので、このようなQueen’s Englishの綴りは認めないのだ。アメリカ式ならばLaborだから。私が奇異に感じているのは「何故この中央官庁はアメリカ式の釣りを採用しなかったのか」という点だ。ワクチンだって輸入しているのはPfizerとModernaというアメリカの会社なのに。そう言えば「何でモデルナなというおかしなカタカナにしたのかな」と言って締めておこう。
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