昨日(15日)は静岡県NPO情報誌ぱれっとコミュニケーションの取材で、久しぶりに熱海を訪れました。ポカポカ陽気の日曜日、しかも熱海梅園の見頃のピークとあって、大勢の人で賑わっていました。これまで熱海に取材に来ても平日やオフシーズンだったせいか、街中は閑散としていて、観光不況の代名詞みたいな空気に包まれていたのですが、昨日はホント、久しぶりに活気のある観光都市熱海の“象徴”に出会うことができました。それは、ひとりの“男前”の女性でした。
お会いしたのは“スポーツを通して熱海を元気にしよう!”と活動するNPO法人熱海人倶楽部(あたみんちゅくらぶ)理事長の杉山ちなみさん。日本でも数少ない、全米アスレティックトレーナー協会(NATA)と全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)の2団体の公認資格を持つスポーツトレーナーのスペシャリストです。
JOC日本オリンピック委員会本部のメディカルスタッフとして、釜山アジア大会(02年)、アテネ五輪(04年)、ドーハアジア大会(06年)、北京五輪(08年)に帯同し、女子レスリングの伊調馨選手や吉田選手を担当するなど、この世界の女性第一人者として活躍中。
横浜の出身ですが、アスリートのリハビリや合宿、またご家族の治療養生などで縁のあった熱海市に居を構え、熱海の地の利を生かしたトレーニングやリハビリ合宿の企画をサポートしたり、(財)日本体育協会公認アスレティックトレーナーとして国内トップアスリートを担当し、大学や専門学校で教鞭もとっています。
NPO法人熱海人倶楽部は、現役アスリートやコーチ、トレーナーなど幅広い人脈を持つ杉山さんが同志とともに08年10月に立ち上げた組織。熱海に移住してから、「温泉があって、きれいな砂浜があって、坂道や階段も多く、アスリートには理想的な環境」と熱海をスポーツ合宿やリハビリのメッカとしてアピールし続けてきた活動を、より強化し、市民、自治体、観光協会など地元に知らしめ、協働の輪を広げようとスタートしました。
認証前の07年から開催し、08年秋の2回目も大好評だった体験イベント『熱海サンビーチスポーツフェスタ』には、日本代表クラスの選手や大相撲力士など70人のトップアスリートが参加し、市民とアスリートがピーチバレー、セパタクロー、シーカヤック、ビーチテニス、相撲などで汗を流し、「熱海とスポーツはこんなに深い縁があったんだ!」と多くの市民に知らしめました。
そして昨日。熱海市観光協会が1月から3月まで展開中の“熱海温泉玉手箱=オンたま”のイベントに指定され、多くの市民ボランティアも参加した『お相撲さんと相撲体操&ちゃんこ鍋』は、過去スポーツフェスタにも協賛した千賀ノ浦部屋の親方と力士たちが、地元の子どもたちや熱海で合宿中の愛知学泉大女子バスケ部の選手たちと砂浜でシコを踏んだり走り回ったり。お昼は市民にちゃんこ鍋をふるまうなど、にぎやかな交流を行いました。千賀ノ浦部屋も熱海で治療やリハビリを行った縁で、おつきあいがあるそうです。
イベントの責任者として走り回る杉山さんをあちこちでつかまえてはインタビュー。多忙な中でも、嫌な顔一つせず、ハキハキと明るく答えてくれる杉山さんと、サポートする副理事長の青木晋平さん(プロビーチバレー選手)の爽やかな応対に、「スポーツをやっている人、しかも世界を究めるレベルの人は、人間が出来ているなぁ」としみじみ実感しました。
「選手の力を借りて市民参加のスポーツイベントを開き、市民の力を借りてチームの希望に応じた熱海合宿やリハビリのメニューを充実させる。そういう活動を通し、熱海がスポーツトレーニングの好適地であると認識され、多くのアスリートがトレーニングと仕事を両立できるまちにしていけたら…」と語る杉山さん。
まだ自治体の補助や民間企業の強力なスポンサードがない中でも、持ち前の企画力や持てる人脈を活かして、多くの市民を動かし、熱海をスポーツで元気にするという新しい概念をカタチにして見せた杉山さんのパワー。年齢をうかがったら私と同い年。いやぁ~、久しぶりにカッコいい同世代の同性に出会えて、大いに刺激を受けました!