ばんえつ物語号はさらに会津若松方面に走り去っていきました。
ご隠居は津川駅で下車しました。(新潟県阿賀野町津川)
津川では5月3日は年に一度のお祭りです。たった一日だけです。
駅前には狐のモニュメントが飾られていました。
人口数千人の街に4万とも5万人とも言われている観光客が訪れる「つがわ狐の嫁入り行列」のイベントです。
行列は17時ごろからでお昼を済ませると何もやることがありません。ばんえつ物語号に乗りたかったので早くついてしまいました。
みんな手持ちぶたさにぶらぶらしています。
町は阿賀野川に面しています。5月の陽をうけてキラキラと流れています。
遠くの山はまだ雪が見えます。手前の新緑とのコントラストが素晴らしい。とにかく静か。観光地に行くとスピーカーでガンガン民謡なんかを流しているところもありますがここは風の音と阿賀野川のせせらぎだけです。
一日ぐらいだと何もないということで目一杯休暇を楽しんでいる感じです。地元の人は毎日見ていると飽きて都会に出てパチンコでもやりたくなるかもしれません。
本日の主役麒麟山(194m)です。
昔、麒麟山に狐がいて、毎晩のように狐の声が聞こえて狐火が見られました。
津川の狐火は世界一と言われ麒麟山にまつわる狐や狐火の話は数多くあります。
昔、嫁入りは夜にかけて行われあたりは暗く提灯を下げて行列をしました。
この提灯の明かりと狐火が平行して見え狐の嫁入り行列が生まれたとも言われています。
「狐の嫁入り行列」は幻想の世界です。
しかし、親から子へ、子から孫へと言い伝えられました。
狐火の多く見える年は(狐の嫁入り行列の見えた年)豊作で縁起の良いとされました。
まだまだ時間つぶしは続きます。
町は雁木の通りが見られます。
日本中を旅行したイザベラ・バード(明治11年)「通りに面して切り妻壁えお向けており、軒下はずうっと散歩道になっている」と紹介しています。
お母さんと一緒に狐になった気分かな。
パレードは
①午後5時 花嫁・旅立ちの儀 住吉神社
白無垢すがたが初々しい今宵の主役花嫁。
うつむき加減でお里に別れを告げる。
②午後5時50分 狐の嫁入り行列 住吉神社出発
イヤー ソーライーと木遣りにのせて花嫁行列がおごそかに進む。
③午後6時30分 子狐の祝踊り
可愛らしい子狐が元気いっぱい跳ね回る。 地元の保育園児
④午後7時45分 麒麟山公園到着
⑤午後8時 結婚式・披露宴
多くの祝福に包まれて、古式ゆかしい結婚式の儀式。
⑥8時45分フィナーレ
渡し船に乗って麒麟山へ。
狐火に化身し、世にも幻想的なクライマックス。
いよいよ住吉神社で儀式が始まります。
やがて行列は夕闇の中に去っていきました。
気のせいか空が曇って風が涼しくなりました。
江戸時代を描いた映画でも結婚式・披露宴はだいたい夜、蝋燭をガンガンつけて煌びやかにやっています。
昔はめでたくて祝福される結婚式をなぜ夜やったのでしょうか。昼間の輝く太陽の下でやった方がいいと思うのですがどなたかご存知でしょうか。
どのガイドをみてもフィナーレは感動的だと書いてありますがここでご隠居は撤収です。
中途半端なレポートですがこれを見て私も来年行ってみようと思う人がいたら幸いです。
とにかく混んでいて宿などとても取れないのでご隠居は喜多方のビジネスホテルに予約してあります。
ここからまだ1時間30分ぐらいかかります。
津川駅発上りの列車は18時43分、次は最終の21時18分です。最終だと宿に着くのが夜間11時ごろになるのであきらめました。
写真教室の先生がいたら
「野崎さん大金はたいて来たんだから
野宿でも立ちションしても石にかじりついてでもフィナーレまでいて良い写真撮らなくちゃあだめだ」
と怒られそうです。
阿賀野川に架かる長い橋を渡って駅まで歩きました。
まだ帰途についている人はほとんどいません。みんな車かな。
駅に着くと狐のモニュメントに灯りがついていました。
お客も少ないのですごく幻想的でした。
空を見上げると黒い山々の峰の上に星が瞬いていました。
休暇を楽しんでいるはずがなんだか悲しい気分にになりました。
ご隠居は寂しい所で一生過ごすより賑やかな所の方が好きだヮ。
朝5時30分に自宅を出てまだまだ長い一日は終わりません。