
評価

元新選組三番隊隊長斎藤一は大正の世まで生き延びて、警視庁奉職後、東京本郷で女高師の下宿屋を営んでいた。その斎藤が近衛師団中尉梶原に新選組の辿った運命を夜ごとに語る。今や年老いた斎藤一の口から語られる左利きであるがゆえの剣の極意、幕末の動乱、新選組隊士の様々な人間模様が心に浸みる。
浅田次郎の「壬生義士伝」「輪違屋糸里」に続く新選組三部作。前2作を読んだからこそ理解が深まる部分が多く、まとめにはおあつらえ向きの1冊。壬生義士伝の吉村貫一郎も登場。会津藩が一時期転封していた斗南藩(今の青森県むつ市)の藩庁があったのが円通寺で、実は数年前に何も知らずにこの寺を訪れていたことを知りビックリ!
なお、「一刀斎」は斎藤一の逆さ読み。