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山女日記ー湊かなえ

2019年02月17日 | 読書

評価5

いろいろな悩みを背負った女性たちが、山に登ることで自分なりの小さな光を見出して行く過程を描いた連作長編。いやー傑作!また山に行きたくなった!イヤミスの女王の幅広さに感服。さすが山ガール・湊かなえさん!

・妙高山
デパート勤務の律子はアウトドアフェアでダナーの登山靴に一目ぼれ。同期の由美と日本百名山の妙高山~火打山縦走に出発。結婚に悩む律子と不倫中の由美の掛け合い、和菓子の食事風景が楽しい。

・火打山
見合い会場で知り合った登山マニアの男性に誘われるまま山に入った美津子はどう見ても山には不似合な現代女性。でも一つも呼吸を乱すことなく男性の背中を追う。何故なら・・・途中で出会う妙高コンビとのやり取りが楽しい。

・槍ヶ岳
30代の私は、集団行動に嫌気がさし大学の登山部を辞めOLになった今も単独行だ。途中出会ったおじさん、おばさんコンビとはからずも一緒に山頂を目指すことになったその葛藤が手に取るようにわかる。おばさんの言動にかなりイライラ。

・利尻山
35歳独身の宮川希美は医者の妻におさまりしっかり者の姉に「結婚しろ」と説教をされることを覚悟の上、姉妹で山頂を目指す。しかし、山頂直前の正念場で姉から意外な告白を受けるのだった。心温まる姉妹の話。

・白馬岳
まだ離婚問題に結論を出しかねていた姉(利尻山で登場)は小学5年生の七花と妹・希美を伴って白馬岳へ向い、初登山の七花の逞しさに未来への希望を見出すのだった。

・金時山
(妙高山で登場した)律子、由美とデパート同期の舞子の目標は富士山登山だったが、恋人の大輔に誘われるまま登ったのは箱根の金太郎伝説発祥の地・金時山。富士山の眺望でも有名な山頂で舞子は「最高の登山デビューじゃないか」と感激する。

・トンガリロ
(姉と「利尻山」に登った)希美の友人・立花柚月がニュージーランド北島にあるトンガリロ国立公園のトレッキングツアーに参加した。同行するのは(「火打山」の主人公)神崎夫妻とここまでの短編に少しだけ登場した脇役たち。柚月は15年前の結ばれなかった恋人と見た風景にこれからの希望を感じる。

・カラフェスに行こう
どうにかして山仲間を作りたい引っ込み思案の(「利尻山」の)希美が一念発起、ヤマケイ涸沢フェスティバルに出かける。山仲間を見つけてついに雨女解消!