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十字軍物語(3)-塩野七生

2020年11月09日 | 読書

評価5

第3次十字軍から第5次十字軍まで(1190年~1221年)。
この間の主役はなんと言っても第3次十字軍の獅子心王リチャード!最高司令官となったリチャードはパレスチナ西岸の海港都市ティロス、アッコンを勝ち取り勢いはキリスト教側と思われたのだが・・・

エルサレム進攻を前にして、母国イギリス領がフランスに脅かされていることを知ったリチャードは、ヤッファの戦闘で10倍のサラディン軍を撤退に追い込んだことを持って講和を結び、パレスチナの地を後にしたのだった。

1192年の講和の内容は次の通り。
①エルサレムはイスラム側とするが、キリスト教徒の巡礼は認める
②パレスチナ西岸は十字軍国家領とする
③イスラム商人の十字軍国家との往来は認める

エルサレムの再復はならず軍事的には失敗で終わった第3次十字軍遠征ではあったが、リチャードとサラディンが交わした講和はこの後26年間続くこととなり、第4次、第5次十字軍の目的地はコンスタンティノープルとエジプトになるのであった。

ヴェネツィアの元首のエンリコ・ダンドロが活躍した第4次十字軍はコンスタンティノープルを攻略しラテン帝国成立(1204年)、第5次十字軍ではローマ法王代理の枢機卿・ペラーヨの妨害行為により(直接的な原因はナイル川の洪水)あえなくエジプトから撤退となる。

さてさて、ラストの第4巻には、神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世が登場!

しかし、イギリス王・リチャードかなり面白いヤツ(笑)。
いちいち挙げないが、思わず笑ってしまった場面が多々あった。だからこそ、今でも英国民に愛されているんでしょうね!リチャードだけを取り上げた本ってないんだろうか!?