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十字軍物語(4)-塩野七生

2020年11月14日 | 読書

評価4

第6次から第8次を経て十字軍最後の砦アッコン陥落まで(1228年~1291年)。この時期の十字軍の主役はなんと言っても第6次の神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世!ローマ法王から2度の破門を受けたものの、イスラム側と講和を結び(1229年)エルサレムの一部地域を奪還した立役者となった。

しかしっ!この講和は、「イスラム側との共存を望まない」「血を流さない話し合い決着を認めない」ローマ法王はもちろん、キリスト教国側にすこぶる評判が悪かった。

第7次(1248年)、第8次(1270年)ともにフランス王ルイ9世が率いてエジプト、チュニジアに上陸するも、どちらも無残な結果と終わる。この後、イスラム側では強力な軍事力を背景としたマメルーク朝が台頭し、十字軍側は1291年のアッコン(事実上の十字軍国家首都)攻防戦で1万4千人対22万人の戦闘の末に敗れ、1099年の聖都エルサレム解放から192年後、ついにシリア・パレスチナの地からキリスト教徒は一掃されてしまうのだった。

この時代のキリスト、イスラムの怨念が今でも続いているような世界情勢になんとも言えない気持ちになりますね。根が深いです。次は今年3月に読んだ「皇帝フリードリッヒ2世の生涯」を再読してみようと思います。