白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

神去なあなあ日常ー三浦しをん

2019年12月23日 | 読書

評価3

横浜の高校を卒業した平野勇気は担任と親の勧めで三重の山奥の村「神去(かむさり)村」に林業修行に行く。林業の現場作業に戸惑いながらも、徐々に村人に溶け込み一人前の山男目指して頑張る青年の物語。

林業の専門用語など、よくわからない言葉はネットで検索しつつ読み進む。「作家さんの勉強(取材)量って半端ないんだべな~」って変なところに感心(笑)。もっと面白い展開を期待していたのだが、日常がわりと淡々と語られていてちょっぴりがっかり。千年杉の切り出しの場面が一番のメインだと思うが、もっとスピード感とスリルが欲しかった。残念!

バッテリーーあさのあつこ

2019年12月21日 | 読書

評価3

今月初めに読んだ短編集(シティ・マラソンズ)でなかなか硬派な作品「フィニッシュゲートから」を書いていたのが、あさのあつこさん。本作は児童書として書かれたとのことだが、これまた硬派だ!

岡山県境の地方都市に引っ越して来た原田巧は天才的なピッチャーとしての才能に絶大な自信を持つ中学1年生。その巧を取り巻く家族とキャッチャーの永倉豪との交流を中心に物語は進む。巧のおじいちゃんの洋三は何度も甲子園に出場した元高校野球監督。弟の青波(小4)は病弱ながらも兄を慕って野球選手を目指す。

バッテリーシリーズまだまだ続く(第6巻まで)!仲間、家族に一切の妥協を許さない孤高の天才・原田巧と新田東中野球部のこれからに注目!

最後の将軍ー司馬遼太郎

2019年12月18日 | 読書

評価5

言わずと知れた徳川幕府最後の15代将軍の物語。
「大政奉還した人物」という知識しかなく手に取ったが、慶喜の水戸での幼少時代から一橋家相続、将軍後見役を経ての将軍職就任への出来事が詳細に語られており、あっという間に江戸末期の世界に引き込まれた。かなり面白い!

しかし、慶喜という人、大名貴族の出だからかもしれないが、部下に冷たい(自分では気づいていないらしい)、激情という感情を持ち合わせていない、クールでドライで多趣味で無類の女好きな先が見えすぎるほど見えてしまうかなり頭の切れる友達の少ない男だったようです。

こんな人だったから大政奉還も成しえたのではないでしょうか!?わずか1年足らずの将軍職をこのタイミングでこの男に与えた神様も見事としか言いようがありません!

時生ー東野圭吾

2019年12月15日 | 読書

読書3

不治の病(グレゴリウス症候群)で病床にいる「宮本時生(ときお)」は最期の時をむかえようとしていた。その時、父・拓実、母・麗子は今から23年前に出会った青年・トキオのことを思い出す。拓実はトキオとともに行方不明となった彼女(千鶴子)を探し回り、麗子はトキオの忠告でトンネル火災事故の難から逃れたのだった。どこまでも深い親子の絆、そんな過去と未来をつなぐ物語。

定職につかず職を転々とするくだらない若者だった拓実の前から消えた千鶴子には政財界を巻き込んだ収賄事件がからんでいた。拓実の出生の秘密を織り交ぜながら、彼女探しが延々と続くのだが、ミステリー性や謎解き性はかなり希薄で収賄事件も海外から高額な商品を密輸して賄賂に使ったというチンケな内容(笑)。でも、ページをめくる手が止められないのが東野圭吾の凄さ!としか言いようがない!先が知りたくてついつい何時間も読んでしまう魔力。「あ~また、してやられたな~」って感じです。

いしゃ先生ーあべ美佳

2019年12月13日 | 読書

評価4

無医村の医師として、山深い山形県大井沢村の人々とともに生きた女医の実話。

志田周子(しだちかこ)
明治43.10.28-昭和37.7.18(1910-1962)
山形高女→東京女子医専

大井沢で生まれた周子は学校を卒業して念願の医師になるべく上京。大学を卒業して開業医で修行中の24歳の時に、村長をしていた父から「診療所を作るから戻って欲しい」と懇願され帰郷。当初は3年だけとの約束だったが、後任もままならず、村人の信頼も得た周子はその後52歳、食道がんで死を迎えるまで郷里に命をささげた。途中、東京の恋する男性の許に走ろうとするが、急患の往診のため断念したことがその生涯につながることがなんとも言えない・・・

映画を先に見てからの原作読みは初めて。
文章は稚拙だが、画像が頭をよぎり何度も涙をぬぐった。出羽三山に囲まれた志田周子先生の古里、いつか行ってみたい。

今夜は眠れないー宮部みゆき

2019年12月12日 | 読書

評価3

「夢にも思わない」につながる作品。
主人公の中学1年・緒方雅男一家が5億円遺贈+誘拐事件の大騒動に巻き込まれ、両親が離婚の危機に・・・しかし、この事件は夫婦の絆に疑問を持った母・聡子と亡き相場師が仕組んだ賭けだった。

どうも宮部みゆきの少年少女物(江戸時代物も)は苦手である。社会派ミステリーとの落差に戸惑うからだ。そして、友人の島崎君の言動とかを読んでいると「どー考えても中学生じゃないだろー!?」といつも思ってしまうのだった(笑)。