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“出世街道”に旅立つ人へ

2011-12-05 13:04:17 | 編集手帳



  12月1日付 読売新聞編集手帳


  畠山みどりさんの『出世街道』にある。
  〈やるぞみておれ 口には出さず
   腹におさめた一(いち)途(ず)な夢を…〉(詞・星野哲郎、曲・市川昭介)。
  短く、
  簡素な口上に、
  その歌詞を重ねた。

  四字熟語はない。
  「大関の名を汚さぬよう精進します」。
  きのう大関昇進が決まった東関脇の稀勢の里関(25)が、
  日本相撲協会の使者に述べた言葉である。

  先月、
  先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)が59歳で急逝した。
  書斎から、
  口上の言葉を考えた30~40枚のメモが見つかったという。
  「大器」と言われつつ足踏みのつづいた愛(まな)弟(で)子(し)の晴れの日を、
  いかに心待ちにしていたかが分かる。

  昇進の目安である直近3場所の勝ち星合計33勝に1勝足りなかった。
  安定感を評価されての昇進だが、
  本人は1勝の欠落を我が身に当てる鞭(むち)として「やるぞみておれ」の心境に違いない。

  日本人横綱の誕生を待ちわびるファンは多かろう。
  2年前の春、
  本紙「よみうり時事川柳」に載った一句がある。
  〈稀勢の里君(きみ)が何とかせにゃいかん〉(東京・後藤克好)。
  君と琴奨菊関(27)が――と読み替えて、
  “出世街道”に旅立つ人へのはなむけとする。
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