7月14日 海外ネットワーク
南沙諸島はベトナム、中国、フィリピンなど6つの国と地域
西沙諸島はベトナム、中国、台湾が領有権を主張している。
そして今にらみ合いが続いているのが中沙諸島のスカボロー礁。
フィリピン ルソン島の西230キロの浅瀬にある環礁で
満潮時には小さな岩だけになる。
この小さな場所をめぐって
今年4月から中国とフィリピンの一触即発の状態が続いている。
中国政府はこれまで別々だった
南沙、西沙、中沙の3つの諸島の行政体をひとつに統合して「三沙市」に格上げし
フィリピン政府の強い反発をかった。
さらに中国はベトナム近くの南シナ海で海底油田の開発を始める方針を発表し
ベトナムでは激しい反中国デモが起きた。
カンボジアで開かれたASEANの一連の会議では
南シナ海をめぐって懸念の声が相次いだ。
しかし事態は収拾せず
ASEAN外相会議では南シナ海に関する文言をめぐって
フィリピン、ベトナムと
中国の後押しを受けた議長国カンボジアとの意見が対立し
共同声明の発表が見送られる異例の事態となった。
中国 楊潔篪外相は
「ASEANの一部の国が一方的で挑発的な行動をしている。」
と暗にフィリピンとベトナムを非難。
さらに南シナ海の問題を平和的に解決するためにも
法的拘束力を持つルール「行動規範」の早期策定にも慎重な姿勢を崩さなかった。
米中外相会談では行動規範の早期策定を求めたクリントン国務長官に対して
楊外相は南シナ海の問題は当事国同士で解決すべき問題だとして
関与を強めるアメリカをけん制した。
さらに中国ではASEANで南シナ海の問題が話し合われていた12日
海南諸島漁船など約30隻が南沙諸島周辺海域で操業するために港を出た。
これまでで最大規模といわれる。
領有権をめぐって一切譲歩する意思がないことをあらためてアピールした。
中国共産党指導部は今年交代する。
中国共産党にとって領土や領海など絶対に譲歩できない問題である。
また中国は国力を増すにつれて海洋権益を拡大してきた。
特にこの南シナ海はアジア太平洋地域において地理的な重要性を持ち
さらにゆたかな海底資源、漁業資源を抱えている。
そしてシーレーン海上輸送路としても南シナ海は重要である。
中国は周辺国に強硬な対応を求める国民の世論を受けて
ますます強気になるのではないかといわれている。
共産党1党体制にかかわる重大な問題について核心的利益という言葉を使うが
南シナ海はまさにそのひとつ。
中国共産党機関紙人民日報は紙面で
尖閣諸島についても
核心的利益に関する問題で半歩たりとも退くことはありえないと伝えている。
中国は軍事、経済両面でさらにこう高圧的な姿勢をとってくることが予想される。
これ以上緊張を高めないよう東南アジア諸国やアメリカなどともに
国際社会全体で中国に対処していくことが重要となってくる。