7月25日 おはよう日本
北海道の夏祭りには毎年
子どもたちが楽しみにしているアトラクションがある。
高さ4mの垂直な壁。
直径9mある巨大な木の樽。
樽の中でオートバイが曲乗りを披露するオートバイサーカスである。
夏の間 道内各地の夏祭り会場を巡業している。
「すごく興奮した。」
「目の前に来るところがすごかった。」
札幌を拠点に活動を続けるオートバイサーカスは
80年以上の歴史があると言われている。
乗り手の藤田昭範さんは
子どものころに見たオートバイサーカスにあこがれてこの世界に入った。
「いちばん最初にやろうと思った人はすごいと思う。
考えた人はすごいと思う。」
樽の表面は湿度によって状態が変化する。
湿度が高くなるとタイヤが滑りやすくなるため
藤田さんは本番前に必ず板の状態を確認する。
シートにあぐらで座っての手放し走行“あぐら”。
オートバイのアクセルは戻らないよう改造してある。
30年以上前に作られた樽はオートバイの動きに合わせて樽全体がしなる。
横を向いて腰掛ける最も難しい技“横乗り”。
バランスをくずすと車体もろとも落下してしまう。
これらの技はサーカスで脈々と受け継がれてきた。
いま乗り手を目指している人がいる。
西山聡さん(44)。
3年前運送会社をやめ憧れのオートバイサーカスに入った。
年齢的にも最後のチャンスと心に決め練習を続けているが
樽の上まで上がることが出来ない。
子どものころに得た感動を今の子どもたちにも伝えたいと
西山さんの練習が続いている。
西山聡さん
「憧れです。
人間業じゃないみたいな。
大げさだけど。
そうなれたらいい、夢っていうか。」
藤田昭範さん
「子どもが喜んでくれているので。
見せられるだけ続けていけたらなと思う。」
大人も子どもも魅了するオートバイサーカス。
今年の夏もまた伝統の技で人々に夢を運ぶ。
藤田さんは40kmの一定のスピードで樽の中を回っている。
演技のコツは
「度胸です。」
と話していた。