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異種ウナギで活路を見いだせ

2012-07-29 18:45:41 | 海外ネットワーク


  7月21日 NHK海外ネットワーク


  世界最大のウナギ消費国 日本。
  しかし稚魚の激減で価格が高騰。
  養殖できるニホンウナギは大きく数を減らしている。
  海外では種類の異なるウナギを日本人好みの味に改良する研究が始まっている。
  試行錯誤を重ね
  インドネシアのウナギを日本に輸出する業者も現れた。

  日本ウナギの稚魚の激減で
  日本の養殖業はかつてないほど打撃を受けている。
  日本有数のウナギの産地静岡県では今年は稚魚の仕入れは2トン余と見込んでいたが
  確保できたのは半分以下で1トンを下回った。
  磐田市で養殖業を営む業者は例年の6割ほどの稚魚しか手に入らなかった。
  50年近く続けてきて初めての経験である。
  「今後どういう形で生き残るかものすごい不安。
   シラス(ウナギの稚魚)の数が多くなってほしい。
   これを祈るしかない。」
  
  日本で流通する生きたウナギの3割を賄ってきた台湾は
  ウナギの養殖は危機的な状況となっている。
  ウナギの養殖場では一部の生簀が水が抜かれ空っぽになっている。
  台湾南部で有数の要職規模を持つ養殖業者は
  今年はニホンウナギの養殖をあきらめることにした。
  日本円で1匹100円前後だった稚魚の値段がこの3年で5倍に跳ね上がり
  採算が取れる見込みがなくなってしまったのである。
  池にいるのは去年仕入れた最後の日本ウナギ。
  代わりに養殖を始めたのがスズキの一種バラマンディ。
  利益は少ないものの背に腹は変えられず悩んだ末の選択だった。
  「ニホンウナギの養殖を続ければ赤字になってしまう。
   もうこれ以上無理は出来ない。」

  台湾では危機的状況をなんとか打開しようという動きが始まっている。
  オオウナギは大きいものは体長2m。
  重さはニホンウナギの5倍の約30キロにまで成長する。
  古くから中国や台湾で薬膳料理に使われているこのオオウナギを
  ニホンウナギの代わりとして輸出しようというのである。
  台湾北部の水産試験場では
  オオウナギが
  ニホンウナギと同じくらいの大きさに成長したところで出荷できないか
  研究している。
  日本の市場を見据えた味や食感の改良はまだ始まったがばかりだが
  水産試験場は台湾の養殖業を守る切り札になればと力を入れている。

  水産試験場の研究員
  「養殖技術を確立し普及させていけば
   2~3年後には日本向けにある程度の量を養殖できると思う。」

  インドネシアには日本への本格出荷が近いウナギがいる。
  ウナギ不足に悩む日本の市場をターゲットにした生産活動が
  注目を浴び始めている。
  アンギラビカラービカラーという学名のウナギは
  味や大きさがニホンウナギに似ていると
  日本の業者の間でも関心が高まっている。
  養殖業者のサイフルさんはもともとナマズを養殖していたが
  このウナギがニホンウナギの代わりになると見込んで4年前に養殖を始めた。
  苦労したのはエサづくり。
  インドネシアにはウナギ専用のエサが無いため
  栄養価の高い市販のエサを元に独自の配合を研究した。
  最初のうちは稚魚の多くが死んでしまったが
  今年になってようやく十分成長するようになった。
  サイフルさんは自信作のウナギを日本人に食べてもらおうと
  今年3月に千葉で開かれた食品の国際見本市に参加した。
  出品した蒲焼きは食感や味がニホンウナギに近いと高く評価された。
  それ以来サイフルさんのもとには日本からの引き合いが相次いでいる。
  今年育てた2トンは全て日本に出荷する予定である。
  再来年には100トンの出荷を目指している。
  「日本と同じ品質のウナギを求めるなら
   日本の養殖業者と同じことをしないといけない。
   品質は日本の消費者の好みを満たしていると確信しているが
   もっと改良していく。」

  インドネシアのウナギを自ら養殖しようという日本人も現れた。
  横浜でコンサルティング会社を経営する竹井賢一さんは
  サイフルさんが育てたウナギを取り寄せ
  日本人に受け入れられるかどうか
  日本料理店に持ち込んで味を確かめることにした。
  さばくのは店のベテラン料理人。
  インドネシアのウナギは筋肉質で脂肪が少ないため
  やや赤みが強くなっている。
  白焼きにすると身から落ちる油はほんのわずか。
  身が固いため蒸す時間はニホンウナギの倍以上かかった。
  蒲焼きや白焼きなど5品を作った。
  「おいしい。
   さっぱりしている。
   料理の仕方さえちゃんとすれば十分いけると思う。」

  竹井さんはジャワ島を訪れ
  西部にある水産試験場に向かった。
  この試験場もインドネシアのウナギの養殖技術を確立しようと
  今年3月から試験的に養殖を始めている。
  竹井さんは日本の専門家も招いて共同で事業化しようと持ちかけた。
  今後 具体的な詰めの交渉を行ない
  稚魚が獲れ始める11月にはここでの養殖にこぎつけたい考えである。
  「少しでも早くインドネシアのウナギの知名度を上げて
   このビジネスを形にしたい。」  
  

  

  
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