7月24日 おはよう日本
「見返り美人」。
江戸時代に浮世絵を確立したことで知られる
人気画師 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の代表的な作品である。
その菱川師宣の肉筆画が京都で見つかった。
見つかった絵の図柄は他の画師の浮世絵にも登場することから
浮世絵の原点を探るうえで重要な作品として注目を集めている。
見つかったのは若衆枕香之図(わかしゅうまくらこうのず)という題のついた
縦20cm横30cm余の大きさの作品。
京都市内の老舗の和菓子店に保管されていたものを
複数の専門家が鑑定した結果
菱川師宣の作品と確認された。
浮世絵を確立した菱川師宣。
庶民の文化が花咲く元禄時代にかけて江戸で活躍した。
師宣は版画を使って庶民向けに絵本をつくり浮世絵として大人気になった。
やがて注文を受けて筆で1点ずつ描く肉筆画の浮世絵も描くようになる。
量産できないため師宣ぼ肉筆画は30点程度しかない。
このため偽者が多いことでも知られている。
今回見つかったのはその師宣の肉筆画ではないかというのである。
菱川師宣という署名があり
鮮やかな色と繊細な線で表現されている。
絵を鑑定するために浮世絵研究の第一人者
大和文華館 浅野秀剛が訪れた。
絵の古さや筆づかいなど細かい部分まで詳細に見ていく。
そして署名は既に知られている筆跡と比較した。
「菱」の一画目
「川」の真ん中の特徴など。
「署名はだいたい一致する。」
顔の描き方も既に知られた作品と比較する。
繊細な線で描かれた独特の特徴も一致した。
「色の塗り方も丁寧で慎重に
それでいて“すきがない”のが師宣の特徴。
師宣の晩年の美人画のスタイルと矛盾しない。
同じだ。」
さらに浅野さんはこの絵に描かれた人の姿に注目した。
師宣は代表作「見返り美人図」などで独特の姿勢で立つ女性を描き
その後の浮世絵に大きな影響を与えたことで知られている。
一方 今回の絵のように
ひじを突いて横たわる作品はこれまでに見つかったことが無かった。
しかしその後の浮世絵では
葛飾北斎「酔余美人図」
宮川長春「読書美人図」など
横たわる姿の肉筆画は比較的多く描かれている。