9月5日 経済フロントライン
赤身の人気が高まったことで国内の和牛農家は変化を迫られている。
100頭余の黒毛和牛を育てている中植昭彦さん。
3代にわたって引き継いできたのは圧倒的な人気だった霜降り肉の生産である。
しかし2年前から思い切って赤身の肉の生産を半分にまで増やした。
(和牛生産農家 中植昭彦さん)
「全国の畜産農家は岐路に立たされている。
お客様のニーズが赤身にあるのであれば
そこに活路を見出すやり方もありではないか。」
中植さんは生後30か月で霜降りの黒毛和牛を出荷していた。
これに対して赤身では余分な脂肪をつけないために生後20か月で出荷している。
黒毛和牛の肉のおいしさを生かした赤身で勝負しようというのである。
これまでの霜降り肉に比べて脂肪の入りを出来るだけ抑えた赤身肉。
(和牛生産農家 中植昭彦さん)
「生後20か月で
フレッシュでジューシーさを最大限に発揮できるような設計の仕方・飼い方になっている。」
生産した赤身の肉は今年4月からスーパーで販売が始まった。
(阪急オアシス 畜産商品部 福田憲治チーフマネージャー)
「お客様には大変好評。
いい声をいただいている。」
和牛の赤身のニーズは飲食店でも広げ始めている。
今年3月には和牛の赤身専門店もオープン。
和牛ならではの柔らかさが人気を呼んでいるという。
(和牛赤身肉専門店 T'sGrill 高森雄大オーナー)
「赤身といえども和牛が一番おいしい赤身。」
一方 赤身の肉に付加価値を付けて売り出そうと言う農家もある。
鹿児島県薩摩町 和牛生産農家 福永充さん。
福永さんが取り組んでいるのが和牛の熟成肉である。
今年6月 1200万円かけて新たに熟成庫を導入した。
最新の技術で温度や湿度などすべて自動で制御している。
「熟成することによって必ずうま味を引き出すことができる。
赤身を付加価値をつけて売ることが大切だと思っている。」
東京で開かれた卸売業者や小売店向けの商談会。
福永さんは和牛の赤身の熟成肉を出品した。
和牛の熟成肉ならではの味が卸売業者にも好評だった。
(バイヤー)
「自分のところで熟成庫を持っているのがすごい。
非常に柔らかくて熟成しているので味わいも深くておいしかった。」
(和牛生産農家 福永充さん)
「食べた時にうま味が出る。
おいしいと言ってくれる。
これから積極的に売っていこうと思う。」