10月28日 編集手帳
清少納言はどんな人だったのだろう。
「枕草子」で述べている。
<いやしきことも、
わろき事も、
さと知りながら、
ことさらに言ひたるは、
あしうもあらず>
おそれながら拙訳を。
「品のない言葉も、
みっともない言葉も、
本人がわかって使う分には、
別にいいんじゃない」。
若い人らの話がわかる国語の先生を想像してしまう。
来年1月「広辞苑第七版」が発売される。
約1万語が新たに加わり、
「ちゃらい」もその一つ。
と聞けば、
お口に合わない方もおいでだろう。
先生に反発を禁じえないものの、
新語や日本語の変化にはなごむ場合もあるから不思議である。
国語学者の金田一秀穂さんが、
「花に水をあげる」が好例だと言っている。
本来は「花に水をやる」だが、
それだとまるで乱暴に水をまくような印象もある。
丁寧さの表れと解釈すれば、
「花に水をあげる」でもいいのではないかと(文芸春秋『日本語大好き』から)
やさしい気持ちのこもる「あげる」である。
文法上は間違いとしても、
「別にいいんじゃない」派につい引き寄せられる。
今度、
使ってみようかな。
でも、
ちゃらいは、
ちょっと。