10月19日 おはよう日本
2015年7月9日を境に中国当局が弁護士ら300人以上を拘束した709事件。
今年香港で上映されたドキュメンタリー映画「709の人たち」。
拘束された弁護士の家族14人に密着して
中国当局による締め付けの実態を描いている。
(映画「709事件」)
(拘束された弁護士の姉)
「弟は法律の勉強が好きだった。
庶民のために弁護士で活動していきたいと母に話していた。
弟が拘束された後
私たちは夜も眠れない。
弟の妻や子どもの生活にも悪影響を及ぼしている。」
拘束された人権派の弁護士の1人 隋牧青さん。
709事件が始まった日の深夜
政府に批判的な発言をしたとして警察に呼び出された。
(人権派弁護士 隋牧青さん)
「事件について何も言うなと脅かされた。
“もうしない”と答えたが一筆書くように要求してきた。
“法律的根拠がないからできない”と断った。
ほとんど誘拐。
チンピラみたいなやり口だった。」
それから2日後の夜
隋さんは“国家の転覆をあおった”として拘束された。
拘束は5か月にわたり
体重は10キロ以上減った。
(人権派弁護士 隋牧青さん)
「私が罪を認めなかったので
4日連続で眠らせてもらえなかった。
毎日座らされて“ああするな こうするな”
“トイレに1人で行ってはいけない”などいろいろ制限された。」
拷問に耐えきれず罪を認めた隋さん。
解放された今も弁護士を続けているが
圧力は日増しに強まっていると感じている。
つい最近
ある弁護士が中国版ツイッター「ウェイボー」に投稿しただけで
厳しい処分を受けたことに衝撃を受けた。
(人権派弁護士 隋牧青さん)
「彼は中国の政治体制のあり方や政策について批判した。
“国家の安全に危害を加える発言だ”と判断され
弁護士資格を取り消された。
習主席が掲げる“法による国家統治”には“専制”という意味が含まれている。
弁護士を弾圧するたびに
政府は“法による国家統治”だと言う。
そんな言葉は信用できない。」
(映画「709の人たち」)
ある日突然
弁護士の夫を拘束された妻たち。
街頭に立って理不尽さを訴えた。
赤いバケツには“あなたを支持する”と夫へのメッセージが書かれている。
しかしこの日は活動を始めて10分もしないうちに警察官に取り囲まれた。
(拘束された弁護士の妻)
「警察官が来て没収するからサインしろと言われた。
理由を聞くと
“赤いバケツは犯罪に使う道具だから”と言った。
あまりにもおかしいので笑っていたら
警察官は行ってしまった。」
「少しぐらいトラブルになてもいいと思う。
何もしなければ少しずつ忘れられてしまう。」
(ドキュメンタリー映画を制作 虞敬華監督)
「家族が納得できないのは
弁護士は依頼人のために弁護しているだけなのに
なぜ拘束されるのかということ。
だから悔しい。
家族の中には今も抗議活動を続けている人がいる。
709事件は政府が社会を完全にはコントロールできないこと。
そして政府が聞きたくない民衆の声を抑えきれないことを示している。」
香港のNGOによると
709事件に関連して
弁護士など少なくとも4人はいまも拘束されているということである。