11月13日 NHK[おはよう日本」
柑橘類の生産が盛んな愛媛県八幡浜市では
地元住民が中心となったマーマレード作りの取り組みが地域の活性化に一役買っている。
八幡浜市のかんきつ加工商品会社の代表 國分さん。
30年ほど前に八幡浜市に引っ越して以来
柑橘の世界に魅せられ
さまざまな商品作りをしてきた。
(かんきつ加工商品会社 代表 國分さん)
「衝撃的なおいしさであんなに甘くていくらでも食べられる。
あんなみかん食べたことなかったから
本当に感動しました。」
「ライムの皮をハート形に切ったものを入れています。」
國分さんが手がけるこのマーマレード。
香り高い愛媛県産のゆずをベースに
ライムの皮で形作った小さなハートをちりばめている。
2年前 “腕だめしをしたい”とこの作品をイギリスの世界大会に初出品。
すると見た目の美しさなどが高い評価を受け
いきなり金賞に選ばれた。
大会の関係者から“日本でも大会を開きたい”という声を聞いた國分さん。
市に誘致を呼び掛けたところ
(マーマレード大会の創設者 ジェーン・ヘーゼル・マコッシュさん)
「今回マーマレードのご縁で日本にやってきました。」
今年5月
日本で初のマーマレードの世界大会が八幡浜市で開かれたのである。
海外からも含め2万人ほどが集まる大規模なイベントになった。
そしていま國分さんが目指すのはマーマレード文化の普及。
「マーマレードは皮の香りとほのかな苦みを楽しむ食品です。」
作る楽しさを広めようと
教室の講師も買って出ている。
マーマレード作りを通じて大きく変わった人たちが山あいにいる。
高野地フルーツ倶楽部。
メンバーは農家の女性たち。
農作業の空き時間にイチゴジャムなどを作ってきたがマーマレードは未経験だった。
なぜなら
(高野地フルーツ倶楽部 マーマレード担当 清水さん)
「マーマレードが嫌いだったんです。
皮の苦みが嫌いで。
給食に出ていたマーマレードが大嫌いだったので
そういう苦味系は好きじゃなかったから
作ろうかと言わなかった。」
しかし去年
八幡浜で大会があると知り一念発起。
マーマレード作りに挑戦する。
そして5月
こちらもいきなりの金賞。
マーマレードが苦手な女性たちの新たな可能性を引き出した。
その後メンバーたちの活動は一変。
これまでは自宅周辺で細々と作っていたが
金賞受賞によって注文が追い付かなくなり
市の施設を借りて製造にあたっている。
「品切れ状態。
そうなんですよ。
作っても作っても。」
作るのは金賞受賞のマーマレード。
地元で採れた河内晩柑(かわちばんかん)が素材である。
あらかじめ皮と果汁を分けておいたものを鍋で再び合わせる。
そして丁寧に煮込むと
果実を丸ごと煮るよりも透明感が出てより美しく仕上がるという。
ちょっとした火加減で味が変わる繊細なマーマレード。
糖度計で何度も味を確かめて完成させる。
メンバーたちは新たな挑戦も始めようとしている。
この日訪れたのは6年前に閉校した地元の小学校。
この地区は高齢化率が4割を超え過疎化も進んでいる。
この小学校をマーマレード作りに活用できないか。
メンバーたちは検討を進めている。
(高野地フルーツ倶楽部 坂本部長)
「このまま朽ちていく学校を見るより
私たちが使って元気になれば一番うれしいことです。
みんなで仲良く楽しく活動を続けて行ければいいなと思います。」