11月28日 NHKBS1「国際報道2019」
韓国では厳しい就職難が続いている。
若者たちが国内でなかなか就職先を見つけられないなか
選択肢として存在感を増しているのが日本企業である。
冷え込む日韓関係に翻弄されながらも日本を目指す韓国の若者たち。
ソウルから南へ約250km。
地方都市のクワンジュ。
若者の失業率が10%近くにのぼる韓国。
なかでも企業が少ない地方都市は深刻である。
学生の3割が日本への就職を希望しているため
日本の人材紹介会社と提携し就職につなげている日本語学校。
日本での就職を目指すスンウンさん(25)。
大学時代 旅行で訪れた日本の文化に刺激を受け
希望するようになった。
(スンウンさん)
「自分自身に挑戦してみたいし
新しい環境で何かをやってみたい。」
しかし日本語を学び始めた矢先に日韓関係が悪化。
周囲からは日本への就職に反対する声も聴かれるようになった。
(スンウンさん)
「『もう一度考え直してみろ』という人もたくさんいました。」
日本での就職をあきらめて学校をやめた人もいるという。
(日本語学校 代表)
「本人の意思よりは両親の反対が激しくて日本での就職をあきらめた学生もいます。
今の両国関係が長い間続くとは思えないので
もう少しだけ耐えてほしい。」
多くの企業が集まる大都市ソウルの若者の間でも日本企業は人気である。
韓国の大手企業が即戦力を求めているのに対し
日本企業は若い人を採用し育成制度が充実していると評価されているからである。
この日は日本への就職をサポートする無料のセミナーが開かれ多くの人が参加。
大学で機械工学を専攻しているソクホさん(25)。
日本の自動車関連の企業への就職を希望していて
日本語での面接や履歴書の準備に取り組んでいた。
ところが9月に予定していた日本や東南アジアの企業を招いた合同就職面接会が
日韓関係の悪化を理由に突然中止に。
この面接会は若者の就職難対策として韓国政府などが毎年開いていて
ソクホさんも準備を進めていた。
(ソクホさん)
「ニュースを見た時は
準備を続けるべきが悩みました。
就職準備中の学生には1か月1か月がとても大事で
それだけに余計つらかった。」
その後 韓国政府は日本企業の数を減らす形でこの面接会の開催を決定。
2か月遅れで開かれた面接会には2日間で約2,000人が訪れ
多くの学生らが日本企業の面接を受けた。
人材不足に悩まされている日本企業側も
日本語が堪能な人が多く企業文化も近い韓国の人材に注目している。
(京都のIT企業)
「要所要所をピンポイントで伝えてくれて
すごく準備してきているんだなと。
採用につながりそうだなと感じられたのですごくほっとしています。」
会場にはソクホさんの姿も。
志望する企業2社と面接し日本語で自己PRした。
(ソクホさん)
「結果は出るまでは分からないけれど
できる限りのアピールはできました。
民間も政府も仲が良くなり
お互いウィンウィンの関係になれたらいい。」
就職難に苦しむ韓国の若者と人材不足に悩む日本の企業。
政治的な対立があっても補い合う関係は今後も続きそうである。