11月22日 NHK「おはよう日本」
トヨタの人気の小型車「ヴィッツ」が「ヤリス」に改名される。
名前を変える事情を探ると
大変革期と言われる自動車業界で生き残りをかけるトヨタの思惑が垣間見えてきた。
10月に開かれたトヨタ自動車の主力小型車の発表会。
20年にわたって国内市場で親しまれてきた「ヴィッツ」の名称を一新。
海外で使われている「YARIS(ヤリス)」に統一することが発表された。
「ヤリス」の名を世界に知らしめたのは
トヨタが一昨年から参戦しているWRC(世界ラリー選手権)。
市販車をベースにしたラリーカーでタイムを競うこの大会は
F1と並ぶモータースポーツの最高峰と言われている。
このレースで好成績を残したことで「ヤリス」の名は深く浸透し
ヨーロッパ市場での好調な売り上げにも貢献していることなどから
海外で知られた名前に1本化することにしたのである。
日本では来年2月に発売される新型の「ヤリス」には
WRCのレースで得たデータや技術が随所に行かされている。
トヨタがWRCに参戦している背景には
豊田章男社長の強い意向があった。
(トヨタ 豊田章男社長)
「もっといい車をつくるため
WRCの道に再び戻らせていただきたい。」
自らもテストドライバーとしてハンドルを握る豊田社長。
WRCのような過酷なレース環境での経験こそが
これからのトヨタの車づくりには欠かせないとしている。
WRCの大会の誘致にも成功し
来年11月には
トヨタのおひざ元である愛知県と岐阜県を舞台に
「ヤリス」が活躍するレースが見られる予定である。
(トヨタ 友山茂樹副社長)
「豊田社長が
モータースポーツを“いい車づくり”の基盤に据えると唱えている。
WRCは一般道を信じられないスピードで
かつ安全に走る。
テストコースで得られるデータよりもはるかに貴重なデータが取れる。
例えば突然雪道で車がコントロールを失った場合でも
ドライバーの意思を推測しながら
かつ安全に回っていけるような制御の開発。
これから自動運転の時代になると
非常に重要な競争力を生み出す要素になる。」