11月19日 NHK「おはよう日本」
神戸ビーフは
100年以上育てられてきた純粋な兵庫県の「但馬牛」のうち
肉の質など厳しい基準を満たしたものだけが認定されている。
しかし海外ではこの偽物が出回り
神戸ビーフのブランドを管理する団体では
監視員
いわば“ニセ神戸ビーフGメン”を委嘱して対策を強化している。
世界各地の牛肉が集まるドイツ デュッセルドルフの食肉売り場。
商品に目を光らせている男性は
偽物を監視・通報する
いわば“ニセ神戸ビーフGメン”のフランク・アルバース氏である。
ヨーロッパの各国に神戸ビーフを販売している食肉バイヤーのアルバース氏のもとには
顧客などからも偽物の情報が寄せられるという。
(“ニセ神戸ビーフGメン” フランク・アルバース氏)
「神戸ビーフは私たちにとって最高級の食材です。
偽物が流通し
ブランドが傷つけられないよう保護することが重要だ。」
この日も偽物の情報が入ってきた。
送られてきた写真には“Kobe”の文字。
商品の紹介には“Kobeから来たWagyu”と書かれている。
あたかも神戸ビーフであるかのように表示されていた。
アルバース氏は早速この店に電話をかけ
やめるよう求めた。
「あなたの店のディスプレーに神戸ビーフがあるという写真が私に送られてきました。」
(“ニセ神戸ビーフGメン” フランク・アルバース氏)
「彼は“もう売っていない”と言っていたけど
問題となるのが分かって少し怖がっていたよ。」
ニセ神戸ビーフはどこまで広がっているのか。
NHKは偽物を提供するレストランがあるという独自の情報を得てスペインへ向かった。
レストランはオフィス街の一角にあった。
店に入ってメニューに記されていたのは
Tropical Kobe Beef
約200gで69ユーロ(約8,000円)のステーキ。
実際に注文すると
神戸ビーフ特有のとろけるような脂のうま味はなかった。
次の日もう一度店を訪ねると経営者が取材に応じた。
経営者は厨房に案内し肉を見せてくれた。
使われているのはブラジルに持ち込まれて育てられた別の“Wagyu”だった。
神戸ビーフの知名度を利用したと
悪びれることもなく説明した。
(店の経営者)
「南米で育てられたのでトロピカルと名付けています。
“トロピカル神戸ビーフ”と。
正しくは“トロピカルWagyuビーフ”ですね。
しかしWagyuについて知っている人は少ないので
“トロピカル神戸”としているのです。」
ニセ神戸ビーフが堂々と販売されている実態が見えてきた。
ニセ神戸ビーフGメンに監視を依頼した神戸ビーフのブランドを管理する団体。
海外から今年だけで140件の偽物の情報が寄せられているという。
(神戸肉流通推進協議会)
「氷山の一角ですよ。」
神戸ビーフは血統を守り抜いてきた牛だけを使い
出荷するまでに
1頭あたり約150万円がかかるという。
偽物が広がり信頼が低下すれば価格の下落につながりかねないと
危機感が強まっているのである。
(神戸肉流通推進協議会)
「本物の神戸ビーフは1つしかないので
他の名前で流通している“神戸”がついたような牛肉については
やっぱり排除まで持っていきたい。」
ただ取り締まりには限界があるのも現実である。
もう1人の“ニセ神戸ビーフGメン”
モナコのリカルド・ジラウディ氏。
(“ニセ神戸ビーフGメン” リカルド・ジラウディ氏)
「ヨーロッパはとても大きく
25の国があり
私だけではチェックできないので
私の代理店が情報を送ってくれることになっている。」
ジラウディ氏は
広大なヨーロッパの全ての情報は把握できないものの
寄せられた情報をもとに政府へ通報するなど
地道な活動が大事だと感じている。
神戸ビーフのブランドを守るため現地で目を光らせるGメンたち。
情報を幅広く集め
1件ずつつぶしていく努力が続く。