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気候変動 海面上昇

2019-12-30 07:00:00 | 報道/ニュース

12月2日 NHKBS1「国際報道2019」


人々の生活状況を脅かす環境の変化。
超巨大ハリケーン
大規模な山火事
相次ぐ未曽有の気象災害。
(アメリカ ゴア元副大統領)
「20年前 科学者たちが出した警告は正しかったと証明された。」
立ち上がる若者たち。
一方 11月4日アメリカ パリ協定離脱正式通告。
(アメリカ トランプ大統領)
「ひどい内容で
 金もかかって一方的なパリ協定からの離脱を発表した。」
海洋への影響は
各国の科学者でつくる国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は
地球温暖が海の環境にもたらす変化についての報告書を発表した。
このまま温室効果ガスの排出が続けば
北極や南極の氷が解け
海面が加速的に上昇することや
高潮などの災害の深刻化
そして海の生態系の変化などが懸念されると指摘している。
明らかになる海への影響への危機感から
マドリードで行われた「COP25」の会議は“ブルーCOP”とも呼ばれ
サイドイベントでも問題の対策が議論された。
ICPPの報告の中でもとりわけ深刻な状況なのが海面上昇である。
IPCCが9月の発表した「海洋・雪氷圏特別報告書」によると
海面上昇は20世紀と比べ2,5倍の速さで進行している。
そして2100年には現在の高さよりも最大で1,1m上昇する可能性もあると予測している。
これによって
日本も含めて都市部の標高の低い場所や島国などの沿岸で高潮などの被害が深刻化して
人々の暮らしやインフラに重大な影響が出ると警告している。
この海面上昇によってすでに深刻な影響が出ている国々もある。
アフリカ大陸の東 
インド洋の島国モーリシャス。
真っ白で美しいビーチの魅力をアピールし
観光産業を経済成長の柱の1つとして育ててきた。
今ではヨーロッパなどから年間130万人以上が訪れ
GDPの約10%を稼ぎ出している。
しかし今その観光産業を脅威にさらしているのが
地球温暖化が原因とみられる海面上昇である。
海水面の上昇が進んでいていま砂浜はほとんど残っていない。
ビーチを売りにしてきたリゾートホテルでは
ホテルの目の前の白い砂浜が消えていっているという。
1980年ごろに撮影されたホテルに面した浜辺の写真。
当時は白い砂浜が海に向かって幅30メートルほど広がっていた。
しかし現在は半分以下に。
波がビーチでくつろぐ海水浴客の目の前まで迫っている。
急速に浸食が進んだのは5年ほどの事だという。
(ホテルのマネージャー)
「ビーチが無くなれば客が来なくなるととても懸念している。」
ボートで島々をめぐるツアー。
その人気にも陰りが出ている。
長年にわたり島のビーチを案内しているオランジュさん。
(ガイド オランジュさん)
「後ろを見て
 砂がほとんどない場所があるわ。
 海面上昇で流されてしまったのよ。」
もっとも影響を受けているという場所は
かつては白い砂浜が広がっていたという浜辺。
波によって削り取られ
以前は砂の下にあった木の根もむき出しになってしまった。
宣伝のパンフレットと違いすぎると失望する観光客もいるということで
このままではイメージダウンが懸念されている。
オランジュさんも愛する島の自然が急速に破壊されていることに心を痛めている。
(ガイド オランジュさん)
「浸食はものすごいスピードで進んでいる。
 あそこの木々も来年1月には倒れてしまうわ。」
政府の試算によると
観光産業の損失は日本円で年間50億円に上る恐れがあるという。
こうしたなか政府や観光業者はさまざまな対策を講じている。
石で作られた防波堤が設置された海岸。
押し寄せる波の力を少しでも弱め
海岸を守ろうとする狙いからである。
浸食を防ぐため海岸に大量の砂を積み上げる工事も進められている。
しかし地元の環境保護団体は
こうした方法は対症療法に過すぎず
寝耳に水だと指摘する。
(NGO代表 フークームシングさん)
「根本的な解決策にはならない。
 砂を足しても海に流れるだけだ。」
わずかでも温暖化を食い止めることはできないか。
現地では温室効果ガスの排出を減らす取り組みを模索している。
そこで目をつけたのが地元の特産品となってきたサトウキビである。
取り組みを行っている砂糖生産工場。
サトウキビから汁を搾り取った残りの“バガス”。
工場では発電の燃料としてこのバガスを燃やしている。
化石燃料に比べ二酸化炭素の排出量を大幅に抑制することが出来るという。
今では4つの会社がこの取り組みに参加し
バガスによる発電が国全体の電力需要の約20%を満たすまでになった。
またサトウキビを原料にバイオエタノールを製造する取り組みも始まっている。
こうした取り組みで減らすことが出来る温室効果ガスの量は
地球全体から見ればほんのわずかである。
しかし国の未来のため今えきることをやるしかないと
工場の担当者は言う。
(砂糖生産工場 環境問題担当者)
「ほんの少しの努力も大切で
 我々の努力が気候変動の影響との闘いとなっている。」


 

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