11月25日 NHKBS1「国際報道2019」
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
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13 気候変動に具体的な対策を etc.
これらは国連が17の分野で掲げた持続可能な開発目標=SDGs。
2030年までに世界が直面する重要な課題の解決に取り組みながら
社会発展を実現するための目標である。
従来 貧困や気候変動といった取り組みの資金は
善意の寄付やボランティアに頼ることが多かったが
SDGsが広く知られるようになって
多くの国や企業にとって投資や社会貢献活度の基準となっている。
タイのある起業家が作ったインターネットのサイト。
見た目はよくある予約サイトと同じだが
人気のホテルやレストランを割引価格で利用できるだけではない。
利用者が支払ったお金の大半が
貧困解決のプロジェクトや野生動物の保護活動などに寄付される。
ビジネスがどのようにして社会貢献の活動につながるのか。
バンコクの“宿泊するだけで社会貢献できるホテル”。
通常は1泊1万円ほどするが
社会貢献を目的とする企業のサイトを使えば7,000円ほどで泊まれる。
そして利用客が支払った金額のうち70%が寄付に充てられる。
このホテルの場合
野生動物の保護に活用される。
(宿泊客)
「価格が他より安く驚いた。
自分が支払うお金が好きな活動の支援に使われるのが分かっていいね。
ウィンウィンだよ。」
このサービスの仕組みは
ホテルやレストランは閑散期などに予約で埋まらない部屋や席を抱えている。
こうした“空き”をこの企業が無償で譲り受け
サイトの利用客に“割引クーポン”の形で販売する。
企業は売り上げのうち30%をサイトの運営費などに充て
残り70%を社会貢献活動を行う団体への寄付に充てるのである。
このビジネスを4年前に立ち上げた起業家のアーチさん。
かつて社会貢献活動を行う非営利組織の資金調達をサポートしていたが
これまでのような寄付では十分な資金が集まらなかったという。
そこでアーチさんは社会貢献の意識が高まってきた企業や消費者と
実際に活動する団体の橋渡しができないかと考えた。
(サイトを運営する企業 アーチCEO)
「私は資金調達に大改革を起こし
非営利組織が寄付だけに頼らなくてもいいようにしたい。」
アーチさんが思い立ったのが
ホテルの空き部屋やレストランで予約がない席の有効活用だった。
(サイトを運営する企業 アーチCEO)
「タイだけでも多くの無駄が出ています。
ホテルの空室や予約されていないレストランなど
年間で390億ドル分にも上ります。」
ホテルやレストランにとっても利用率が上がり
受け入れられやすいと考えたのである。
このサービスはホテルやレストランにとっては
社会貢献していることでイメージアップになるだけでなく
新しい顧客の開拓にもつながるという。
(利用者)
「友だちと食事に行くときはこのサービスのある店を選びます。
社会貢献ができるので。」
アーチさんのビジネスに参加するホテルやレストランなどは300を超えた。
4年間で社会貢献のために寄付した金額は4,000万円以上にのぼっている。
実際に寄付金はどう使われているのか。
アーチさんが支援している団体
タイ東部にあるスローロリスの保護センター。
ここでの運営費にも売り上げが役立てられている。
絶滅の危機にあるサルの1種スローロリス。
この施設では
密猟の被害にあったり引き取り手がいなくなったりした100匹余を保護している。
以前はスタッフの人件費や収容施設の建設費などを賄うのはきびしかったという。
アーチさんの会社はこの施設にこれまで日本円で210万円以上の資金を寄付してきた。
(保護活動団体 代表)
「支援のおかげで多くの収容施設を作れるし
夜間働いてくれるスタッフを確保することもできます。」
アーチさんは様々な企業に参加を呼びかけ
支援の対象を保護動物の保護のほか
貧困や格差の是正など40のプロジェクトに広げている。
(サイトを運営する企業 アーチCEO)
「私たちのビジネスが世界的規模になることを願っています。
無駄になっているサービスの1%ほどでも使えれば
世界の貧困を根絶できます。」