11月25日 NHK「おはよう日本」
「日本酒大好きです。」
「おいしい日本酒に出会うと
日本人に生まれて良かったなって思います。」
岩手県で熟成された日本酒。
原料となる酒米を育てたのが砂壁純也さん(50)。
(砂壁純也さん)
「こういう笑顔を見ると最高にうれしいと思いますね。」
岩手県雫石町。
砂壁さんはここで酒米を育てている。
田んぼはもともと耕作放棄地だった。
いま雫石町では耕作放棄地の増加が問題になっている。
農家の高齢化や後継者不足
そしてコメの消費量の減少などが背景にある。
岩手県全体でも20年前と比べて2,6倍に増え
東北全体では約9万ha
東京ドーム1万9,000個分ほどあるとされている。
耕作放棄地を何かに生かせないか。
砂壁さんが起ち上げたのが「ひと雫の酒プロジェクト」。
3年前から町内の仲間と酒米づくりに取り組み始めた。
(砂壁純也さん)
「酒米を使って雫石オリジナルのお酒を仲間と作ったら
ひとつの特産物にもなるんじゃないか。」
栽培には苦労もある。
(砂壁純也さん)
「圧倒的に違うのは長さ。
食べる米と酒米とはこれだけ違う。
背が高いぶん倒伏しやすい。
穂が長く
コメがいっぱいつくんで重くなって倒伏する原因になりやすい。」
さらに耕作放棄地ならではの壁もある。
今年から酒米を育て始めた場所は以前は大豆畑だったため
土に余分な肥料が残り
予想以上に稲が育ちすぎて倒伏が相次いだ。
(砂壁純也さん)
「誰かが1回目やらないと復活しない。
授業料は高かったけど勉強にはなりました。
来年からはもう大丈夫なはず。」
こうした砂壁さんたちの活動を応援しているのが岩手県内の酒蔵である。
3つの酒蔵と契約し
収穫したすべての酒米を収めている。
収穫したばかりの酒米を持って
二戸市の酒蔵を訪れた。
(酒造会社 久慈浩介社長)
「心拍(=酒造りで重要な成分)がすごくいい。」
今年の良い品質の酒米をつくることが出来た。
こうした酒蔵と顔が見える関係が酒米づくりのやりがいにつながっている。
(砂壁純也さん)
「あとはどんと構えて待つだけ。
美味しいお酒を待つだけ。
酒米が酒蔵に届いたらバトンタッチと。」
(酒造会社 久慈浩介社長)
「思いをもったお米を作ってくれる岩手の農家の人がいてくれれば
そういう人と一緒に酒をつくりたい。
その情熱で岩手の酒造りの
酒米作りの中心になっていってもらいたい。」
そしてついに今年は
砂壁さんたちのが酒米を使った日本酒が
世界の優秀な食品などにおくられるモンドセレクションで金賞を受賞した。
砂壁さんたちはさらに酒米づくりを進めて
故郷の耕作放棄地をなくしたいと願っている。
(砂壁純也さん)
「耕作放棄地を元の原風景に戻すんだということと
風景景観を守っていく
作っていくのは僕らの活動の大きな柱であるので
次の人も
酒米を作って
地元の酒をつくるんだという若い仲間が入ってくるまで
挑戦し続けたいと思っています。」