今回のコロナ禍で、日本ではマスクをつけることがすっかり定着しました。
また子音でもたとえば、[r]と[l]は明確に区別して発音します。readとleadは区別しないと意味が通じなくなります。
電車に乗ると、今ではほぼ100%の人がマスクをつけています。
マスクのおかげで、この冬、学校ではインフルエンザによる学級閉鎖が激減しました。
校長としては、冬季のインフルエンザの流行は、学級閉鎖の迅速な判断を迫られる案件です。
欠席している児童生徒の数、発熱している児童生徒の数、体調のよくない出席児童生徒の数などを養護教諭の協力を得て短時間で把握して、学校医の意見を伺い、教育委員会と相談して閉鎖するかを決めます。
また、何日間の閉鎖をするかも朝の1時間で決め、保護者への連絡、給食で摂取できるものは児童生徒にとらせた上で、速やかに帰宅させます。
ところが、今冬は新型コロナウイルス感染対策で、児童生徒は全員マスクをつけており、それがインフルエンザの流行を未然に食い止めました。
マスクは感染症対策のまさに強力な「武器」になることを実感しました。
ところで、日本人はなぜこうもみんながマスクをつけることに従順なのでしょうか。
ヨーロッパのいくつかの国では、政府のマスク義務化の対策に、マスク反対のデモが起きた国があったと聞き及びます。
私は英語の教員ですが、英語音声学の視点から考えていることがあります。
それは、マスクの中で、発話がこもってしまうと、英語の場合は会話で困ったことになるからというのが私見です。
英語は、日本語とくらべ、母音や子音の数が多いのです。
たとえば、日本語の母音「ア」は一つだけですが、英語では下の発音記号のうち、1行目の5個と2行目の左3個は、すべて「ア」であり、それぞれ音はちがいます。
また子音でもたとえば、[r]と[l]は明確に区別して発音します。readとleadは区別しないと意味が通じなくなります。
これ以外にも子音を区別することはしばしばです。
英語を話す人は、マスクをつけると音がこもり、相手が聞きとりにくくなるので、マスクを嫌がる人がいる。
一方、日本語は、たとえば、「すみません」でも「すみません」でも、聞く側には通じてしまいます。マスクで音がこもって発音されても理解されるのです。
また、元来日本人は、話し手の口を見る習慣がないのですが、英語圏の人びとは見る習慣があるので、マスクをしていては表情が伝わらないので、嫌がるのではないでしょうか。
このような言語の音声上の相違と会話文化の違いがあり、日本人はマスクを付ける抵抗感がないのではないかと、考えた次第です。
他にも、何を着るか、何を身につけるかという選択のように、個人の自由を大切にする英語圏の考え方が、全員マスク着用への抵抗感になっているのかもしれません。
理由はいくつもあるのではないかと、考えます。
マスクと発音の関係は、目から鱗。
(体裁整えるために、しぶしぶマスク着用している。という本音は、しばしば耳にします。当方もその一人)