日本をはじめとして、世界の先進国は経済のグローバル化を進めてきました。
生産コストを抑えるため、こぞって賃金の安い国へ生産工場を移してきました。
その結果、工業化が進んだ新興国はいまや豊かになったケースが多く、食生活が変わりました。
先進国と途上国の経済格差が縮小し、2000年代にはブラジル、中国、インド、ロシアは工業化に必要な資源やエネルギー、食料を大量に消費するようになったのでした。
そして、2010年代後半には、原油や鉄鉱石、穀物の価格が上昇しました。
今まで日本は安くて質のいい食料を思う存分輸入できましたが、現在はその安定確保が揺らいでいます。
2000年からの20年間で、日本が世界に対して占める国内総生産は15%から6%にまで落ち込みました。
新興国のそれが20%から40%にまで拡大したのとは対照的です。
ただし2020年には、新興国の経済成長の勢いはいったん鈍くなり、原油等の価格はの上昇はおさまりました。
しかしながら、2020年後半からは新型コロナウイルス拡大やウクライナ危機による供給制限で、また価格が上がり出しています。
おりしも、原油価格はアメリカの増産や世界的な自動車でのガソリンの需要低迷より、OPECは減産体制をとっていたのですが、ウクライナ侵攻が始まり、価格が急騰し、現在にいたっています。
こんな時代の先行きを展望したとき、世界の人口増と工業化の進展とともに、日本にとって資源や食料の安定した輸入は難しくなるでしょう。
私は中学のとき、社会の授業で先生から「資源のない日本は、外国から資源を輸入して工業製品をつくる工業国です」と習いました。
そのとき明るいムードに溢れていました。
しかし、それはもはや昭和の残像になりつつあります。
今の子どもは未来に展望をもちにくいのです。
とくに、人が生きていくのに不可欠な安定した食料確保の点でどう対応していくかは、日本にとって重要課題です。
もちろん日本も手をこまねいて見ていたわけではなく、コストがかかっても国内生産を増やし、その規模を広げて輸出に転じる方策をとってきています。
しかし、その途中で企業農業と個人経営の農業の開きが拡大してきています。
わたしの家の近くでは、耕作を放棄した農地が増大し、森が増えています。
過疎化が進み、田畑は荒れ、農業を引き継ぐ人が見つかりにくくなっています。
これからは、食料生産を増やすため、農地と人と森林と水と地域を循環させ、そこから生み出されるエネルギーを再生可能なものにする持続可能な農業経営が必要です。
衣食住のうち、とくに農業の振興をはかり、明るい未来を拓いていくべきでしょう。
人は十分に食べないと、働くことも娯楽を楽しむこともできません。
そうでないと、学校では児童生徒に将来に希望をもたせることもできないでしょう。
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