箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

スポーツで人をつなげる

2021年01月31日 08時05分00秒 | 教育・子育てあれこれ

NIKE社の動画広告をご存知でしょうか。

YouTubeで2020年11月から公開されています。

動画の名前は「動かしつづける。自分を。未来を。The Future Isn’t Waiting. 」です。




この動画は、日本での在日外国人問題に関係したいじめを取り扱っています。

NIKEジャパンは、この動画について次のような説明を加えています。

「スポーツを通じて世界を一つにすることが企業指針である。NIKEはすべての人に平等な競技の場を作りたい」

この広告は、アスリートが実際に日本で受けた体験をもとにストーリーが組み立てられています。

動画には、サッカー少女が何人か登場します。

チョコレート色の肌の女子がいます。

チマチョゴリを着た在日韓国・朝鮮人の子も出てきます。

まわりの子となじめない様子が映され、女子生徒がいじめを受けたり、疎外されたりします。

女子生徒のつぶやきが流れます。

「わたしってナニモノ?」
「わたし、期待外れなのかな?」
「ふつうじゃないのかな?」
「ここにいちゃダメなの?」

それらを打ち消すかのように、サッカーで活躍して自分の居場所を持ちます。

そして、動画の最後には「You Can’t Stop Sport.」(スポーツはやめられない。)というキャッチフレーズが鮮やかに映し出されます。

私は、このフレーズを「スポーツがあるからいじめに負けない」という意味であると解します。

スポーツの世界では、民族差別・人種差別、その他の人の尊厳をおとしめる行為に反対して、多様性を尊重しあう姿勢を重要視するのが今の時代です。

たとえば、2014年にサッカーJリーグ浦和レッズのサポーターが「JAPANESE ONLY」という横幕を掲げました。

その制裁として、浦和レッズは国内はじめての無観客試合を行いました。

また、テニスの大坂なおみ選手は、「Black Lives Matter」のアピールをしました。

今回のNIKE社の動画は、スポーツ企業の社会的責任として、そのスタンスを明らかにした、いわゆる「意見広告」のようなものです。

いじめや排除は教育現場に限らず、日本社会の閉鎖性に基づく課題であり、マイノリティ当事者の声は、私たちにいろいろなメッセージとなり、考えさせられるものがあります。


コメントを投稿