La douce vie

sweetsや美味しいもの,雑貨,映画,art,音楽,本,マンガ,スポーツ観戦,ice show,旅行等ゆるブログです

映画:コクリコ坂から

2011-07-21 | ジブリ関連
久々に映画の前売り券を買って見に行きました。

宮崎吾朗監督に2度目のチャンスがあってほしいと思ったし、原作が子供の時に読んだ記憶が残っているマンガ家の(別のだけど)作品だったことと、宮崎監督と岡田君がまたタッグを組んだことがなんとなく嬉しかったこともある。

学生運動が活発だった時代の横浜。
とある高校の旧くなったクラブハウス「カルチェ・ラタン」の存続のため、学生たちが立ち上がるのだけれど、高校生が主役だからか、あくまでもさわやかで楽しい。私はこの時代の雰囲気を生で味わうことはなかったので、学生たちが熱く語り、仲間と行動を起こす姿はまぶしくもみえるものでした。少女漫画家の目を通し、スタジオジブリのフィルタに通すと、あの時代というのがこんなにもにぎやかで楽しいものかと思い知らされる。

主人公の海ちゃんがなぜ下宿を切り盛りしているのかは、原作も読んでないし、パンフレットも購入していないので謎。他の家族がなかなか手伝わないのも謎。住人はなんとなくかもめ食堂の方々のような雰囲気(笑)
話は突然・・・え~、そういう物語なんですかっとなりますが、監督の匙加減が上手く、最後まで学生運動と恋と家族についてバランスよく描かれているのであっという間に終わってしまいます。

そしてジブリの魅力の1つでもある美術の素晴らしさ、当時の横浜の街並みが本当に素晴らしく描かれている。
昔懐かしい商店街とそのにぎやかさ、昔の東横線、山下公園のあたり、港の見える丘公園あたり、異人館のような建物、木の電信柱、錆びたトタンの屋根などが「Always 三丁目の夕陽」のような郷愁感溢れる情景。
それに夕日が沈んだ直後の空の茜色の雲と夜空と青空の間の落ち着いたトーンの空、ニスを塗ったテーブルや、好く磨いた古い家具、真鍮の鈍い輝きはまるでハンマースホイの絵画のよう。そんな細部までわき役にもかかわらず、丁寧に描かれていて、それでいて主張しすぎていないところも必見。

ご時世からか、CMから受ける印象は寂しさ、哀しさばかり。でも、蓋を開けてみると、若者たちの闊達な姿が気持ちよく写しだされているのです。


物語の楽しさ、アニメーションの絵の美しさ両輪が見事に花を咲かせた素晴らしい作品です。
吾朗監督の2作目を信じて前売りを買ってよかった。