La douce vie

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氷艶 hyoen2019 -月光かりの如く- 

2019-09-04 | figure skathing、ice show

前回の氷艶を観た後に、アイスショーの広がりを感じ、歌舞伎とのコラボが可能なら、ミュージカルとのコラボも可能なのではないか?と思っていました。

でも、私が思いつくミュージカルというのは劇団四季。元宝塚の男役トップスターの柚木さんのキャスティングに、「宝塚とフィギュアスケート、合う!」とものすごく感心し、西岡徳馬さん、福士さん、波岡さんと活躍されている俳優さんのキャスティングに驚き、男子新体操のBLUE TOKYOのキャスティングにすごく楽しみ!これぞ異種交流!と心踊らされ、ずっとずっと見たかった氷艶。やっと、観ることができました。

日本が舞台ということで、衣装が美しいのは室町か平安あたりかと思っていましたが、源氏物語ときたか!ただ、ストーリーに関しては洋のミュージカル感。源氏物語のキャラクターを利用した新しい物語です。

光源氏の高橋大輔を取り巻く、恋、兄弟の愛憎の物語。

荒川さんは以前、空蝉のプログラムを滑っていたし、イメージとしては明石の君なんだよなぁ。ただ、悪役としての弘徽殿は美しさと怖さと気品が両立していて魅力的でした。いつも大道プログラムを求められる荒川さんが氷艶ではいろいろな挑戦を楽しんでいることが感じられます。それから、台詞の声の出し方に迫力がありました。織田君の陰陽師もトリッキーで面白かった。こういう名実共にある2人が潔く悪役を演じて物語の魅力を増すことで、若いスケーター達も演技の幅とか与えられた役を楽しむことを理解できるんじゃないかな?

頭中将が福士さん、長道を波岡さんが演じることで、光源氏サイドと対立する弘徽殿サイドのそれぞれに演技や物語を支える太い柱となって支えてくれています。それだけでなく、お二人はスケートも器用にこなし、アイスショーと舞台を中和する存在ともなっています。この二人のキャスティングが1つの物語を作り上げる大きな存在だったと思います。

チームLABOのプロジェクション・マッピングもアイスショーとの相性がよく舞台設定ごとに美しい世界を見せてくれました。

ステファン・ランビエール。もう、佇まいだけで美しすぎて、台詞の必要がありません。和の衣装すらお似合いです。ユリア・リプニツカヤとの森?のシーンはまるでバレエでした。ちなみにユリアに黒髪の鬘をやめさせ、地毛のまま演じさせたのは英断だと思います。アイスショーは銀のロマンティックの世界ですから。

きっと、帝は「ワシと弘徽殿の子供だから美しくて当然じゃが、なんか、ハンサムすぎて朱雀ってより、ステファンじゃね?光源氏の方が親しみを感じる顔だな」みたいな気持ちになったに違いない。弘徽殿にしてみたら「こんな完璧な子供を産んだのに!!」と怒るのはごもっとも。なんていらない想像をしてしまう・・・

ステファンとユリアの参加はすごく大変だったと思う。彼らに対して、英語で説明があっただろうけれど、ほぼ日本語で進行していく合宿についていくのは苦労があったろう。

後半、島流しにあった光源氏は海賊の頭領と出会う。ここで、柚木さん登場。ミュージカル調になっていきます。しかも、男役のトップスターだった方が男として育てられた女性という役柄。これは柚木さんファンだけでなく、宝塚体験をしてみたい人にも嬉しい配役。幕の内弁当みたいですね。

柚木さんの部下として村上佳菜子ちゃん、奮闘!スケーティングで海賊のにぎやかさを盛り立てます。(高橋君、荒川さん、村上さんに台詞があり、織田君、鈴木さんに台詞がなかったのは所属事務所やアイスショーとして派遣した契約の問題なのではないかと思っています。)

ミュージカル調とも違う平原さんのONE AND ONLYの歌声も贅沢の一言。平原さんも歌だけでなく、演技、スケートと大奮闘でした。

それまで、高橋君や荒川さんの台詞があることにも衝撃だったのに、歌まで歌いだします。高橋君の歌声は素直で伸びがあり、彼の歌声に合わせた素直な歌だったような。宮本亜門さん、のせ上手だな!

クライマックスでの殺陣シーン。スケートと殺陣は速さがあり、ダイナミックで見応えがある。そこへBLUE TOKYOのアクロバティックな演技も加わり、大きなリンクいっぱいに広がりを見せます。氷の上でのタンバリングはマットの上と違い、しかも、照明も変わっていく、かなり緊張するものだったのでは?

そして、何役もこなした俳優、ミュージカル俳優、スケーターの方々。場面設定に膨らみをもたせてくれました。私のお気に入りの庄司さん、女優さんも経験されているし、光源氏の恋の相手にしたいくらいでした。村元さんもアイスダンスで培った表現でもっといろいろな役を任せられそう!

今回の氷艶も面白かった。フィギュアスケートとベタな設定の舞台って合うな。まだ、始まったばかりなので、いろいろ試したり、大道の物語を使えたり。

ただ、最初の氷艶-破沙羅 -の存在の大きさを痛感します。物語とアイスショーの融合、平面だけでなく、縦空間を使った演出、荒川さんの悪役。最初に思いついた松本幸四郎さんはすごい。そして、さらにスケールアップさせ、スケーターに次の挑戦をさせた宮本亜門さんもすごい。今回はそれに加えて、観客席に入り、会場を盛り上げる和太鼓チーム、会場での盛り上がりを感じられます。

ショーが始まる前に台本読みで高橋君が悪戦苦闘している姿を見て、スケーターが台詞まわしで悪戦苦闘したり、俳優がスケート靴をはいて上達していく姿、BLUE TOKYOが氷の上でのパフォーマンスで悩む姿を「笑ってコラえて」あたりで何度か放送したら、他の都市をいくつかまわる公演になったかもしれない。

この公演は物語そのものを楽しむだけでなく、それぞれの分野でトップに立った人たちが異文化交流、異種格闘を奮闘し努力する姿が陰にあることを感じる舞台だと思うから。

 このシリーズ、「日本」がテーマ。次にやるなら、「八犬伝」はどうだろう?面白いストーリー。衣装もユニークなものにできそうだし。ふと思いついた。



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