CubとSRと

ただの日記

日本の戦争映画がダメな理由 (後)

2021年04月12日 | 心の持ち様
 目いっぱい挑発しておいて、駄目押しに米太平洋艦隊を日本の手の届くハワイに移した。
「ほれほれ、殴って見ろよ。度胸あるか?あん?」
 、ってなところでしょうか。絶対に勝てると踏んでいる。
 加えてここには書いてないんですが、以前に挙げた(かな?)氏の評文に、あの時、米国は真珠湾の海底の浅さから、日本軍が爆撃機から魚雷を投じても起動する前に海底に届くので不発に終わる、と絶対の自信を持っていたんだとか。
 昔読んだ本には、「まさか日本があれだけの大量爆撃を仕掛けてくるとは思わなかった」、と「日本の戦力を過小評価していたがために緒戦は負けた、それも卑怯な奇襲だったから」とありましたが、奇襲も何もわざわざ太平洋艦隊をハワイくんだりまで移した理由については、一体どう説明するんでしょうか。「奇襲」を待ってた(変な言い方)としか考えられない。

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 米国版五十六評伝が出たころ、日本でも五十六の映画が封切られた。
 観て、呆れた。五十六は米国の国力を恐れ、日米開戦を恐れ、反対するというトールのそれとまったく同じ視点で描かれている。
 おまけに舞台に出てくるのは五十六と好戦派の対立だけ。
 戦う米国の思惑など一切出てこない。
 日本が日清戦争を戦ったときは、支那が理不尽で邪悪だったからだ。相手が眠れる獅子だろうと日本は邪悪を許せなかった。
 日露戦争も同じ。
 ロシア人は傍若無人だった。満州や沿海州でまるで米国のインディアン殺しと同じに原住民を殺しまくった。それが日本近隣に及んできたから日本はその邪悪の蔓延を防ぐために戦った。

 米国は五十六が恐れるほど強かったのは確かだが、行いもまた支那やロシアが小悪党に見えるほどのワルだった。
 米国はスペイン植民地のフィリピン人たちに「独立させてやる」と約束し、多くの血を流させた。その挙句、あれは嘘でしたと独立を反故にし、逆らう者二十万人を殺した。米国は先の戦争ではそのフィリピン人を兵士に仕立てて日本と戦わせた。
 この映画でも語られる「日支戦争」では米国は武器を送り込み支那人をけしかけ、対日テロをやらせていた。
 そして仕上げに「日本人は病原菌だ」と大統領自ら日本を罵り、経済制裁を科し、真珠湾に罠を仕掛け、プリンス・オブ・ウェールズを開戦に間に合うようシンガポールへ廻航させた。
 
 そういう支那、ロシアを超える邪悪な米国を日本人は心から嫌い、それが世界に及ばないよう戦いに踏み切った。しかし日本は負け、いま米国の邪悪が世界を覆っている。
 映画はその最も大切な「日本の動機」にまったく触れていない。
 この映画はたぶん米国人が、もしかしたらトール自身がシナリオを書いたのかと思ってカタログを見たら違った。日本人の半藤一利の原作とあった。

 今や大型画面で3Dの時代。
 何でも見せる時代に、歴史の舞台のほんの一部を、それもぼかして見せる作品もあるんだ。
 

 変見自在
 「マッカーサーは慰安婦がお好き」
  高山正之     より

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 それにしても「蔓延防止等重点措置」。長ったらしいのはしょうがない。
 だから縮めて表記するのは分からなくもないけど、「蔓」くらい漢字で書けよ、と思ってしまう。
 「まん延防止」、だなんんて小学校の「体いく」や「お水(汚水・おすいと読ませるらしい)」と同じレベルじゃないか。さらに短く「マン防」なんて言われた日にゃ「何、マンボウがどうした」と一瞬思ってしまう。あれはなかなか美味らしいが。
コメント
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