CubとSRと

ただの日記

凄い理屈 (後半)

2024年03月08日 | 心の持ち様
 昔、小型機と言えばセスナ。セスナと言えば小型機の代名詞だったんだけど、いつの間にか全くその名を聞かなくなっていた。
 その理由をこのエッセイで知った。

 早い話、「旧モデルはやめて買い替えよ。買い替えなかったら事故は自己責任」と脅されて日本人は渋々ながら個々が買い替える。
 アメリカ人は言うことを聞かない。何しろ合衆国だ。合州国であり、さらに合衆国なんだから、建前は個人が一番偉い。一番偉いんだから国の言うことなんか聞かない。「事故は自己責任」なんて絶対受け入れない。製造会社は個人の下に位置するんだから、「事故の責任は製造会社に在る」と決めつける。


 「東芝を潰した本当のワルはこいつだ!」 後半

 ・・・・・
 かくて小型機業界は壊滅し、雇用も技術も失われた。弁護士の我利我欲に呆れたが、それこそが米国人の本性なのかもしれない。
 実際、10年ほど後の99年、東芝相手に奇妙な訴訟がテキサス州ビューモントの連邦地裁に起こされた。
 東芝のパソコンでいくつもの作業を同時にやるとフロッピーディスクコントローラー(FDC)が故障する可能性がある。だから賠償しろという訴えだった。

 でも不具合が起きたとかのクレームも問い合わせもないと東芝は抗弁した。
 しかしクリントンへの大口献金者でもあるウエイン・リオ弁護士は強硬だった。東芝はパソコンの欠陥を承知で売っている。1兆円を払えと譲らない。
 彼の主張の根拠はNECが「今のFDCに過重負荷をかけると故障する恐れがある」と改良FDCを載せた。一方、東芝はそこまでの必要性を認めず改良型を出さなかった。それだけ。小型機業界につけた因縁と全く同じ手法だった。

 恥を知る日本人なら絶対に起きない訴訟だが、リオ弁護士には弁護士大統領クリントンが後ろについている。
 東芝は結局同年、総額1100億円の和解案を飲んだ。捻出のため有価証券を売り払い、それでも650億円の赤字を出し、あの粉飾決算が始まった。
 米国は弱った獲物は見逃さない。今回は東芝の子会社ウェスティングハウスが汚い仕掛けをして東芝に今度こそ1兆円を背負い込ませた。

 阿漕な米国を絵に描いたような顛末だ。こんな国に下駄を預けることになるTPPが消えて良かったのかもしれない。


     新潮文庫 
 「変見自在 トランプ、ウソつかない」
        高山正之著 より
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする