宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

海のある惑星の存在確率が高まる? 白色矮星に大量の“水”

2015年07月01日 | 宇宙 space
「深宇宙にある膨大な数の天体に、大量の水が存在する可能性がある」
という研究報告が発表されました。

このことは、
「生命誕生の材料を持つ地球に似た惑星が他にも存在する」
っという確率を、理論的に上昇させるものにもなるんですねー
白色矮星“GD 61”に引き寄せられる小惑星。
(イメージ図)


白色矮星に大量の水が存在した

今回の報告は、ウィリアム・ハーシェル望遠鏡による観測から、
白色矮星の大気中に、水を構成する2つの化学成分(水素と酸素)が、
“大量に”発見されたことに基づいています。

そう、地球に多量の水が存在することは、
極めてまれな現象ではない可能性が出てきたんですねー

白色矮星とは、衰退期にある老齢の恒星。

この白色矮星には、
地球の海にある約30~50%に相当する量の水が、
かつて存在していたと考えられています。

そして水は、小惑星の衝突でもたらされた可能性が高いそうです。


水を豊富に含む小惑星・彗星の存在

小惑星や彗星によって水がもたらされる現象は、
地球で起きたのと同じように、
多くの他の惑星系でも発生している可能性が高いんですねー

今回の研究は、
「小惑星や彗星によって、地球に似た惑星に水がもたらされ、
生命の形成に適した環境が作り出される可能性」について、
さらなる裏付けになります。

さらに、現在広く支持されている、
「水を豊富に含む彗星や小惑星との衝突によって、地球の海が形成された」
という説も裏付けることに…

太陽系内にある水を豊富に含む小惑星は、
極めてまれどころか、頻繁にみられる存在であるということも
分かってきたんですねー

大量の水素を大気中に保持する白色矮星は数多く存在するので、
太陽系以外の恒星の周囲でも、水を豊富に含む小惑星や彗星が、
ありふれた存在であることの証拠にもなるんだとか…

ただ、彗星に由来する水分子の原子特性が、地球上の水と大きく異なっていることが、
ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機“ロゼッタ”の観測データから分かっています。

なので、地球上に存在する水は、
数十億年前に地球に衝突した小惑星に由来する可能性が、
彗星由来の可能性より高いようですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 地球の水は小惑星が運んできたのかも…

星の墓場を銀河系の中心部に発見

2015年07月01日 | 宇宙 space
銀河系の中心部には、巨大なブラックホールがあります。

その周囲には、
恒星やガス雲が猛スピードで渦巻く降着円盤があり、
とても騒がしい場所なんですねー

今回、この渦から、
高エネルギーX線の“もや”が立ちのぼっていることが分かることに…

X線は死んだ星から出ていると考えられるのですが、
「星の墓場」と言ってよいほど、この場所にある星の数は、
とても多かったんですねー
銀河系の中心部(中央から右寄りの白っぽい領域)は、
巨大ブラックホールのある、混沌として謎めいた場所。
この領域が放射する強力なX線は、
死んだ星の集団から発生しているかもしれない。


X線の出どころ

このX線は、
銀河系の中心部にあるブラックホールの周りに集中していて、
直径13光年、厚さ26光年の領域から出ています。

問題は、このX線の“もや”が、どこから来ているかということ…
なんですが、まだ分かっていないんですねー

恒星がブラックホールに近づき過ぎると、
ズタズタに引き裂かれて、飲み込まれることになります。

こうした事象の発生を知らせるのが、
降着円盤からの電磁エネルギーの放出です。

ただ、ブラックホールが食事をしていない時にも、
銀河系の中心部はエネルギーに満ち、絶え間なくX線を放出しているんですねー

これを説明する仮説として、
「死んだ星が周囲を回る伴星から、物質を引き込んでいる」
というものがあります。

そして、死んだ星は白色矮星かもしれないということ。

白色矮星とは、
太陽に似た恒星が潰れてできた、小さな高密度の燃えかすです。

伴星から剥ぎ取られたガスが、白色矮星に降着した途端、
蒸発してX線などのエネルギーを爆発的に放出します。

でも、NASAのX線天文衛星“NuSTAR”で観測したのは、高エネルギーX線…

これを作り出すには、
白色矮星のもとになる太陽に似た恒星の質量は、
もっと大きくないといけないんですねー

そして、このような白色矮星の数が少な過ぎるので、
銀河系のX線シグナルの強度を説明するのは難しいようです。


白色矮星でない可能性

ただ、死んだ星が白色矮星でないのなら…

中性子星か恒星サイズのブラックホールも、
伴星の物質を吸い込むときにX線を放出します。

そして、こうした天体はときどき明るいフレアを放出するのですが、
これまでの10年間で、銀河系の中心部ではX線の強さを説明できるだけのフレアが、
観測されていないのが問題になります。


X線は、死んだ星ではなく、
銀河系の中心部の巨大ブラックホールを取り巻く、
ガス雲から出ている可能際もあります。

このブラックホールは、1日に1回程度、
少量のエネルギーを「げっぷ」のように放出していて、
頻度は少ないのですが、大量に放出することもあります。

ただ、この仮説にも、
「X線放出領域の形が、ガス雲の分布と一致しない」
という問題が…


これらの仮説の中で、どれが最も有力なのか?

やっぱり、
「物質を飲み込む白色矮星の巨大な墓場がある」
可能性が少し高いのかもしれません。

いずれにせよ、このX線放射が、
白色矮星や中性子星、ブラックホールなど、
物質をバラバラにして飲み込む高密度天体と関係があることは、
確かなようです。

銀河系の中心部では、常にこのような現象が起きていて、
その過程で発生するX線が解明の手がかりになったりします。

なので銀河系の中心部は、
“NuSTAR”で観測するのに、面白い場所なのかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 天の川銀河中心“いて座A*”で起こった巨大X線フレア