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モバライダー mobarider

木星の衛星エウロパ、表面の筋模様は塩でできている?

2015年07月11日 | 木星の探査
木星の衛星エウロパの表面には、長く伸びた茶色の筋模様が無数にあります。

地上での環境再現実験から、
この模様は「地下の海から地表にもたらされた塩かもしれない」
っということが分かったんですねー
木星探査機“ガリレオ”が撮影したエウロパ

NASAの探査機“ガリレオ”は、
1994年から2003年までの間、木星を観測していました。

この探査機のデータなど、長年の研究から考えられることは、
この筋模様は、エウロパの地下にあると考えられている海から噴出した物質で、
おそらく硫黄とマグネシウムを含む化合物で出来ているということ。

でも、その正体については、はっきりしていないんですねー
探査機“ガリレオ”

今回の研究では、
温度や圧力、放射線量がエウロパの表面に似た環境を再現し、
候補となる物質のスペクトルを実際の観測データと比較しています。

摂氏マイナス173度に設定され真空中に、塩のサンプルをさらしてみると、
ガリレオミッションの撮影画像に見られるような筋模様そっくりの茶色に変色。
さらに、スペクトルも似たものになったんですねー
実験で変色した塩化ナトリウム

実験では、塩が放射にさらされるほど、より濃い色になっていくことに…

なので、この色のバリエーションを使えば、
エウロパ表面に見られる模様や、地下から噴き出した物質が、
どれだけ古いかを知るのに役立つと考えられます。

ガリレオミッション以降、エウロパの詳細な探査は行われていないので、
将来行われる探査機による直接観測が楽しみですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 木星の衛星エウロパでも地殻変動が起こる?

アルマ望遠鏡が発見! 宇宙で最も古い巨大星団

2015年07月11日 | 宇宙 space
球状星団は宇宙で最も古い天体の1つになり、数多く見ることができます。

ただ、生まれたばかりのものは非常にまれで、
形成プロセスも分かっていません。

それが今回、アルマ望遠鏡の観測により、
今まさに誕生しようとしている球状星団かもしれない天体が、
発見されたんですねー


球状星団が生まれる瞬間

からす座の方向約700万光年彼方のアンテナ銀河は、
2つの銀河が衝突をしている天体で、
多数のガス雲の中で、激しい星形成が進んでいる場所です。

今回、アルマ望遠鏡の観測から、
アンテナ銀河の中に、太陽の5000万倍もの質量を持ち高密度なガス雲なのに、
内部に星が見当たらない“爆竹分子雲”が見つかります。

この“爆竹分子雲”が、
今まさに誕生しようとしている球状星団の、
初めての観測例かもしれないんですねー
ハッブル宇宙望遠鏡によるアンテナ銀河(上)
アルマ望遠鏡による分子雲(中央右)
非常に高密度で第質量なのに星が存在しないガス雲(下)


星団が星を持たない初期段階

球状星団が持つ全ての特性を備えているのに、
まだ星形成が開始されていない天体を発見するというのは、
例えるなら、孵化寸前の恐竜の卵を見つけるようなものです。

なので、宇宙における星形成の最も古くて、
極端な事例のひとつを目撃しているのかもしれません。

これまでに観測された全ての球状星団では、
既に形成されていた星によって、周辺の環境が大きく変化しているので、
星団の初期を知る手がかりは、失われてしまっています。

それが今回の観測によって、
星が環境を変えてしまう前の原始的な高密度巨大ガス雲を
見つけることができました。

このことは、多くの球状星団が形成される条件について、
これまでにない知見を得ることができたといえます。


星を持たない期間は100万年程度

ほとんどの球状星団は、100億年以上前に誕生したと見られています。

でも、その進化は急速で、
星を持たない初期段階は、100万年程度の間しかないんですねー

なので、アルマ望遠鏡が発見した“爆竹分子雲”は、
その一生の中の非常に特別な時期にあり、
初期宇宙の主要な構成要素を研究できる、ユニークな機会を与えてくれます。

たとえば“爆竹分子雲”は、
典型的な星間空間より約1万倍も大きい極端な圧力下にあります。

このことから、
「球状星団を形成するには高い圧力が必要」という、
従来の理論を支持するデータが得られたんですねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ 謎が深まった、球状星団の起源。