2023年10月13日更新
今回、ハッブル宇宙望遠鏡による観測から分かったのは、アンドロメダ銀河の周囲に広がるハローが、これまでの測定よりもはるかに大きいことでした。ハローはアンドロメダ銀河から100万光年も広がっていて、もし目で見ることが出来れば、それは差し渡しで満月100個分にも達するそうです。
もし、天の川銀河にも同程度の大きさのハローがあるとすると、お互いの銀河のハロー同士が混じりつつある可能性も考えられるようです。
両銀河は、約40億年後に衝突して、1つの巨大な楕円銀河になると見られています。
なので、一足先にハローは衝突を始めているのかもしれませんね。
天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突・合体。現在から70億年後までを地球から見た夜空の移り変わり。(Credit: NASA, ESA, Z. Levay, R. van der Marel, and G. Bacon (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger) |
銀河はハローで取り囲まれている
アンドロメダ銀河(M31)は、私たちのいる天の川銀河から250万光年離れたところに位置するお隣の銀河です。光でさえ250万年かかる距離ですが、宇宙のスケールから見ると、すぐ近所のような距離。
空の条件が良ければ肉眼でも見え、写真では美しい渦巻き模様をとらえることができます。
そのアンドロメダ銀河の円盤部分の直径は約20万光年で、地球から見ると満月6個分ほどの大きさに見えます。
さらに、高温で希薄なガスでできたハローと呼ばれる構造が、銀河全体を球状に取り囲んでいます。
ハッブル宇宙望遠鏡による観測データの解析から分かったのは、このハローがこれまでの測定よりも6倍も大きく、1000倍も重いこと。
銀河から100万光年(直径200万光年)も広がっていて、肉眼で見ることができれば、直径が満月100個分にも及ぶ巨大な大きさがありました。
銀河の外観図。銀河円盤の中心にある膨らみが“バルジ”で、全体を球状に包むのが“ハロー”と呼ばれる部分。画像はソンブレロ銀河M104。 |
クエーサーの光で分かったハローの大きさ
この観測のカギになったのは、地球から見てアンドロメダ座大銀河の向こうに位置しているクエーサーでした。はるか遠くに位置するクエーサーからの光が、銀河のハロー部分を通過すると、ハローの中のガスが光を吸収して紫外線の一部が少し暗くなります。
そして、ハローを透かして見えた18個のクエーサーからの光を調べた結果、ハローの巨大さが明らかになったんですねー
ハローの大きさの見積もり方を示したイラスト。ハローを通過したクエーサーの光は一部暗くなる。 |
このハローは、銀河中のあちこちで起こった超新星爆発によって吹き飛ばされた、ガスで作られたと考えられています。
もし、天の川銀河にも同程度の大きさのハローがあるとすれば、お互いの銀河のハロー同士が混じりつつある可能性も考えられるようです。
両銀河は、約40億年後に衝突して、1つの巨大な楕円銀河になると見られています。
なので、一足先にハローは衝突を始めているのかもしれませんね。
衝突・合体はシミュレーションを見ればわかりやすいかも。
こちらの映像は、天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突・合体のコンピュータシミュレーションを可視化したもの。
映像の1秒間に1億500万年間の時間が進行し、最後は82億年先の宇宙で終わります。
天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突・合体のシミュレーション。(Credit: Visualization: NASA, ESA, and F. Summers (STScI); Simulation: NASA, ESA, G. Besla (Columbia University), and R. van der Marel (STScI)) |
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