宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

太陽に似ていた? 超巨大爆発“スーパーフレア”を起こす天体

2015年07月07日 | 宇宙 space
恒星の表面で起こる超巨大な爆発現象に“スーパーフレア”があります。

この“スーパーフレア”が見つかった、
太陽型恒星のスペクトルを詳細に分析した結果、
 「太陽とよく似た恒星でも巨大黒点が生じれば、“スーパーフレア”を起こす可能性がある」
ということが突き止められたんですねー
太陽型恒星の“スーパーフレア”の明るさの時間変化(左)。
フレアによる突発的な増光の他に、周期15日程度のゆっくりした明るさの変化が見られる。
可視光(白色光)で見た、“スーパーフレア”のイメージ図。
巨大な黒点群で“スーパーフレア”(白色)が起こっている(右)。


“スーパーフレア”は太陽とよく似た天体で起こる

太陽フレアは、
太陽の表面の黒点に蓄えられた磁場のエネルギーが、
一気に放出される爆発現象です。

大規模なものでは、
X線や紫外線、高エネルギー粒子など大量の放射線や、
コロナ質量放出と呼ばれる高速プラズマ雲が放出されます。

放出されたプラズマ雲が地球磁気圏に衝突・侵入して、
巨大な磁気嵐が引き起こされると、
通信障害や大規模停電などが発生する可能性があるんですねー

これまで研究チームでは、系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測データから、
太陽型恒星で起こる“スーパーフレア”…
最大級の太陽フレアの10倍~1万倍に達するような、
超巨大フレアを多数発見してきました。

そして今回、これらの“スーパーフレア”を起こす天体の正体にさらに迫るため、
すばる望遠鏡の高分散分光器“HDS”を用いて詳しい分光観測を実施。

すると、観測対象となった50天体のうち、半数以上は連星系などの証拠もなく、
太陽と、おおむねよく似た天体だと確認されます。

分光観測では星の自転の速さが測定できます。
そして、その結果は明るさの変化から求めた自転の速さと、
よく似ていたんですねー

“ケプラー”がとらえた多くの“スーパーフレア”を起こす天体では、
数日から数十日周期で、明るさが変化していることが分かっています。

これは、星の表面にある大きな黒点が、
自転に伴って見え隠れすることで、生じていると考えられいて、
今回の観測で、その予想が正しいことが確認されたということです。
“スーパーフレア”を起こす恒星の電離カルシウムの吸収線は、
太陽と比較して浅い(右)。
このことから、太陽に比べてかなり大きな黒点が存在すると推測される(左)。


巨大黒点が生じれば“スーパーフレア”が起こる

さらに研究チームは、
“スーパーフレア”を起こす天体の
電離カルシウムの吸収線の深さを測定。

すると、太陽と比較して、
ひじょうに大きな黒点を持つ事が示唆されます。

太陽に大きな黒点が存在して、星表面の平均磁場が強くなると、
電離カルシウムの吸収線が浅くなることが知られているので、
この事実を応用したんですねー

今回の成果は、
「太陽によく似た恒星でも、巨大黒点が生じれば“スーパーフレア”を起こしうる」
ということになりますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ スーパーフレアは太陽でも起こる?

冥王星の観測は問題なし! ニューホライズンズは7日に完全復旧

2015年07月07日 | 冥王星の探査
NASAの発表によると、
科学観測を停止していた冥王星探査機“ニューホライズンズ”の、
セーフモードに入った原因が特定できたようです。

また、探査機に損傷なども無いので、
科学観測を再開し、通常の運用に戻るそうです。

これにより、7月14日に予定されている冥王星への最接近時の観測は、
「問題なく実施できる目処が付いた」ということになりますねー
冥王星探査機“ニューホライズンズ”


セーフモードの解除

“ニューホライズンズ”は7月4日に何らかの問題が発生し、
通信ができない状態に陥っていました。

この障害は1時間21分続き、その後回復しています。

でも、異常を検知した探査機自身の判断で、
メインのコンピュータから、バックアップのコンピュータに切り替わり、
必要最小限の機能のみを動かす「セーフモード」に移行することに…

ただ、セーフモードに入った状態では、
科学観測に必要な機器が動かせないんですねー

なぜ通信に障害が起きたのかを突き止め、
その原因を取り除かないと、セーフモードは解除できないので、
地上の運用チームが対応に当たっていました。

さらに、探査機が冥王星に最接近する14日が迫っていて、
時間に余裕もない状態でした。


原因はコマンド送信のタイミング

NASAの発表によると、
今回の問題の原因は、探査機へのコマンド(指令)にあったんだとか。

冥王星への再接近に備えた準備を行う運用中に、
地球から探査機へコマンド(指令)を連続して発信します。
その際のタイミングが良くなかったみたいです。

再発の心配もあるのですが、
同様のコマンド操作は、今後予定されていないので、
心配は無いようです。

今後“ニューホライズンズ”は、
停止していた科学観測の再開と、冥王星最接近に備えた準備を行うことになります。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 問題発生! 冥王星探査機“ニューホライズンズ”がセーフモード