非常に強いX線を発する謎の天体に、“超高光度X線源”があります。
この謎の天体のうち4つを“すばる望遠鏡”で観測すると、
ブラックホールがガスを一気に呑み込む“超臨界流”の反動により、
大量のガスを放出しているという証拠が得られたんですねー
太陽の100万倍以上も強いX線放射
天の川銀河から近くの銀河では、
銀河中心から離れた位置に、太陽の100万倍以上も強いX線放射が、
検出されることがあります。
これまで、その大部分は恒星とブラックホールの連星だと考えられていました。
でも、天の川銀河内で見つかっている連星ブラックホールの質量は、
せいぜい太陽の20倍程度なのに対して、
超高光度X線源は、これらのおよそ100倍ものX船を放っていました。
これほど強力なX線を放射する理由としては、
太陽の1000倍以上の質量をもつブラックホールであること。
太陽の100倍以下の小さなブラックホールが、
理論限界を超えて大量のガスを呑み込む“超臨界流”が起こっている。
という2つの説があります。
今回の研究では、4つの銀河にある超高光度X線源を、
“すばる望遠鏡”に搭載された微光天体分光撮像装置“FOCAS”で、
4夜にわたり観測。
その結果、4天体全てのスペクトルに、
加速された高温の“風”がブラックホール周囲の降着円盤、
あるいは伴星から噴き出していることを示す共通の特徴が見られたんですねー
小さなブラックホールに大量のガスが流れ込んでいた
これらの特徴は、天の川銀河内の特異天体“SS 433”でも見られています。
“SS 433”は、
太陽の10倍以下の質量のブラックホールからなるX線連星だと、
考えられています。
常時放出される高速ジェットの観測から、
“エディントン臨界光度”に相当する以上の量のガスが流れ込む、
“超臨界流”が起こっていることが確実な唯一の天体なんですねー
“エディントン臨界光度”とは、
天体の光度がある値を超えると、光の圧力が重力を上回り、
ガスが天体に落ちることができなくなること。
観測結果について研究チームでは、
小さなブラックホールに、大量のガスが一気に流れ込む反動で、
一部のガスが降着円盤として放出されている証拠だと結論付けています。
さらに、これらと同程度の明るさの超高光度X線源は、
全て同種族の天体であり、“SS 433”と同類だろうと考えています。
つまり、ブラックホールが小さくてもガスを呑み込む勢いにより、
明るいX線を放射するということです。
“超臨界流”は、
宇宙初期において銀河の中心にある超巨大質量ブラックホールを、短時間で形成するための有力なメカニズムの1つと考えられています。
その現象が近傍宇宙で見つかったことは、
宇宙の形成史を理解する上でも、非常に意義が大きいことなんですねー
ただ、超高光度X線源の中のブラックホールが、
“SS 433”と同様に太陽の数倍程度の質量なのか、
それとも数十倍程度なのか、といった問題がまだ残っています。
今年度打ち上げ予定の“ASTRO-H”など、
将来のX線天文衛星による謎の解明が待たれますね。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 超高輝度X線源の正体はパルサーだった?
この謎の天体のうち4つを“すばる望遠鏡”で観測すると、
ブラックホールがガスを一気に呑み込む“超臨界流”の反動により、
大量のガスを放出しているという証拠が得られたんですねー
太陽の100万倍以上も強いX線放射
天の川銀河から近くの銀河では、
銀河中心から離れた位置に、太陽の100万倍以上も強いX線放射が、
検出されることがあります。
これまで、その大部分は恒星とブラックホールの連星だと考えられていました。
でも、天の川銀河内で見つかっている連星ブラックホールの質量は、
せいぜい太陽の20倍程度なのに対して、
超高光度X線源は、これらのおよそ100倍ものX船を放っていました。
これほど強力なX線を放射する理由としては、
太陽の1000倍以上の質量をもつブラックホールであること。
太陽の100倍以下の小さなブラックホールが、
理論限界を超えて大量のガスを呑み込む“超臨界流”が起こっている。
という2つの説があります。
![]() |
おおぐま座の方向約1100万光年の距離にある 矮小銀河ホルムベルクIIにある超高光度X線源“X-1”(矢印)の多色合成画像。 (ハッブル宇宙望遠鏡で撮像) 周囲のガスが、強力なX線源で電離されて赤くなっている。 |
今回の研究では、4つの銀河にある超高光度X線源を、
“すばる望遠鏡”に搭載された微光天体分光撮像装置“FOCAS”で、
4夜にわたり観測。
その結果、4天体全てのスペクトルに、
加速された高温の“風”がブラックホール周囲の降着円盤、
あるいは伴星から噴き出していることを示す共通の特徴が見られたんですねー
小さなブラックホールに大量のガスが流れ込んでいた
これらの特徴は、天の川銀河内の特異天体“SS 433”でも見られています。
“SS 433”は、
太陽の10倍以下の質量のブラックホールからなるX線連星だと、
考えられています。
常時放出される高速ジェットの観測から、
“エディントン臨界光度”に相当する以上の量のガスが流れ込む、
“超臨界流”が起こっていることが確実な唯一の天体なんですねー
“エディントン臨界光度”とは、
天体の光度がある値を超えると、光の圧力が重力を上回り、
ガスが天体に落ちることができなくなること。
観測結果について研究チームでは、
小さなブラックホールに、大量のガスが一気に流れ込む反動で、
一部のガスが降着円盤として放出されている証拠だと結論付けています。
さらに、これらと同程度の明るさの超高光度X線源は、
全て同種族の天体であり、“SS 433”と同類だろうと考えています。
つまり、ブラックホールが小さくてもガスを呑み込む勢いにより、
明るいX線を放射するということです。
![]() |
超高光度X線源(上)と“SS 433”(下)の構造および視線方向。 ブラックホール近くの降着円盤は“超臨界流”となっていて、 内部から強いX線が放射されている。 途中から、大量のガスが降着円盤風として吹き出していて、 そこからヘリウムイオンや水素原子の輝線が観測される。 |
“超臨界流”は、
![]() |
X線天文衛星“ASTRO-H” |
宇宙初期において銀河の中心にある超巨大質量ブラックホールを、短時間で形成するための有力なメカニズムの1つと考えられています。
その現象が近傍宇宙で見つかったことは、
宇宙の形成史を理解する上でも、非常に意義が大きいことなんですねー
ただ、超高光度X線源の中のブラックホールが、
“SS 433”と同様に太陽の数倍程度の質量なのか、
それとも数十倍程度なのか、といった問題がまだ残っています。
今年度打ち上げ予定の“ASTRO-H”など、
将来のX線天文衛星による謎の解明が待たれますね。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 超高輝度X線源の正体はパルサーだった?