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モバライダー mobarider

Ia型超新星の起源は紫外線パルスから分かる?

2015年07月14日 | 宇宙 space
3億光年彼方の超新星の観測から、紫外線の明減が検出されました。

この現象は、2通りの説があるIa型超新星の起源のうち、
「白色矮星に伴星からのガスが降着して爆発に至る」という過程を、
示しているそうです。


2つの説があるIa型超新星の起源

Ia型超新星は白色矮星の連星系が起こす爆発現象で、
宇宙における、もっとも明るい現象のひとつです。

ピーク時の明るさは、どれも同じと考えられているので、
宇宙の“標準光源”として、遠方の天体までの距離測定用に使われたり、
宇宙の膨張速度の測定に使われたりしてきました。

そのIa型超新星の起源には、
  ・ 2つの白色矮星同士が合体する際に、超新星爆発が起こるという説(DD説)。
  ・ 白色矮星の伴星からガスが降着して、
    白色矮星の温度と圧力が上昇し爆発する説(SD説)。
の2つの説があります。

ただ超新星爆発が、それほど頻繁には起こらないことや、
爆発前の星が暗すぎるという点で、
どちらが正しいかを決めるのは難しいんですねー


どちらの説も存在する

そして2014年5月のこと、
ロボット観測システム“iPTF”を使って超新星を探していた、
カリフォルニア工科大学の研究チームが、
約3億光年の距離に位置する、かみのけ座の銀河“IC 831”に超新星を発見。

この天体“iPTF14atg”を天文衛星“スイフト”で観測したところ、
紫外線放射のパルス(明減)が見られたんですねー

紫外線パルスは、
「超新星爆発で放出された物質が伴星に衝突、
そこで形成された衝撃波が、周囲の物質の燃焼を引き起こす。」
というシナリオと一致するもので、
“iPTF14atg”の起源がSD説であることを示していました。

これは、Ia型超新星に伴星の存在を示す直接的証拠のひとつで、
少なくとも一部のIa型超新星の起源はSD説の通りだといえます。
Ia型超新星のシミュレーション画像。
爆発によって秒速1万キロもの速度で、
画像右上方向に放出された物質(茶色)が伴星(水色)と衝突する。
衝突によって紫外線パルスが発生し、
それが伴星により開けられた円錐形の穴から放射される。

“iPTF14atg”のデータがSD説を指示する一方で、
2011年に、おおぐま座の渦巻銀河“M101”に出現した、
Ia型超新星“SN 2011fe”の観測データは、
SD説には当てはまらないものとなっています。

Ia型超新星には2種類あって、SD説もDD説も、正しいということですかねー


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