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モバライダー mobarider

初期の太陽系にそっくり、太陽系外にカイパーベルトを発見

2015年07月24日 | 宇宙 space
太陽系のカイパーベルトに似たチリのリングが、
ケンタウルス座の太陽型恒星の周りに見つかりました。

リングの大きさをはじめ太陽系との類似点が複数あるので、
幼い頃の太陽系の姿に似ているようです。


氷天体は惑星形成の名残り

太陽系の海王星軌道の外側には、
エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる円盤状の領域があり、
そこには、主に氷でできた天体が多数存在します。

氷天体は惑星形成の名残りとも考えられているので、
カイパーベルトは、若い頃の太陽系の素顔に迫る手がかりになるんですねー

また、太陽に似た若い恒星の周囲に広がるチリのリングを観測すれば、
太陽系が若かった頃の姿をイメージすることもできたりします。

でも、これまで直接撮影されたリングは、
  恒星から離れている
  恒星の誕生環境が太陽系と大きく異なっている
  恒星が太陽より重い
など、太陽系のカイパーベルトに似ているとは言いがたいものでした。


若かった頃の太陽系にそっくり

それが今回の研究では、
南米チリにあるジェミニ南望遠鏡に搭載された“GPI”を使用することで、
ケンタウルス座の8等星“HD 115600”の周囲に、
チリのリングが発見できたんですねー

そして分かってきたのが、
“HD 115600”が太陽より少しだけ重いことや、
太陽が生まれた環境に似た星団に、この恒星が存在していること、
そして、恒星からリングまでの距離が、
太陽系のカイパーベルトとほぼ同じことでした。

そう、このリングは、
太陽系が若かった頃のカイパーベルトに、
そっくりかもしれないんですねー
“HD 115600”のチリのリング。
見た目は土星の環を横から眺めた姿に似ている。
十字印(+)は中心星の位置、丸印(○)はリングの中心。

さらに、チリのリングの中心が、
恒星の位置から、少しずれていることも明らかになっています。

これは、恒星の周りを未知の惑星が回っていて、
惑星との相互作用で、リングに歪が生じたと考えれば説明がつきます。

観測されたチリのリングの「色」についても、
カイパーベルトの主要構成物質である、
氷やケイ酸塩などのチリで説明できるそうです。


今後はもっと発見できる

今回の発見は、ジェミニ南望遠鏡のGPIによる成果なんですが、
すばる望遠鏡の観測装置“SCExA0”も観測を始めているんですねー

“SCExA0”は最先端技術に基づき、
太陽系外惑星や太陽系外カイパーベルトを見つけ出すための装置で、
これまで50分以上の露出でも見つけられなかったものが、
たった50秒で見つけられるそうです。

“GPI”での成功をふまえると、
すばる望遠鏡が誇る最新鋭の惑星探査装置“SCExA0”も、
間もなくカイパーベルトに似たチリのリングや太陽系外惑星を、
たくさん発見することが期待できますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽系そっくりの小天体ベルト “ベガ”