宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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太陽に似た恒星を回る、地球に似た惑星“ケプラー452b”を発見!

2015年07月25日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
太陽に似た恒星を回る、地球に似たサイズの惑星を発見したことを、
NASAが24日に発表しました。

しかも、この惑星はハビタブルゾーン内に見つかっているので、
生命が存在する可能性もあるんですねー
“ケプラー452”を回る、岩石質の惑星“ケプラー452b”


系外惑星の探査

新しく見つかったのは岩石質の惑星“ケプラー452b”。

NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”を使って行われているプロジェクトで発見され、
地球から1400光年離れた恒星“ケプラー452”の周りを回っています。

惑星の直径は地球の1.6倍で、
太陽と地球間の距離に等しい軌道を、385日で公転しています。

中心にある恒星“ケプラー452”も太陽と近い性質を持っていて、
表面温度はほぼ同じなんですが、直径は太陽より1割ほど大きく、
誕生してから約60億年経っているそうです。

中心にある恒星の誕生からの年数、性質、惑星の大きさ、
軌道を考慮すると、太陽と地球の関係に非常に近いんですねー
なので、NASAでは「地球のいとこ」と表現しています。

また“ケプラー452”は、
太陽の年上の「いとこ」のような恒星なので、
地球の未来の姿を垣間見せてくれる可能性もあるそうです。
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”


生命誕生の可能性

この惑星が、地球よりも長い60億年間ハビタブルゾーンにいたとすれば、
生命が存在できる条件は揃っていることになります。

ハビタブルゾーンとは、
原始的または複雑な生命体の必要条件とされる水が、
液体の状態で存在できる領域になります。

水が蒸発したり凍ったりしないために、
恒星からの距離や、恒星の大きさが重要になるんですねー

現時点で“ケプラー452b”は、
もっとも生命の存在する可能性が高い系外惑星と言えそうです。

このプロジェクトでは、
ハビタブルゾーンにある系外惑星を11個発見しています。

“ケプラー452b”は12番目になり、
プロジェクトのマイルストーン(節目)となる発見だそうです。


こちらの記事もどうぞ
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  地球外生命の探査へ! 衛星エウロパの探査計画が開発段階へ移行




地球磁気圏にプラズマが作るチューブ状構造を発検出

2015年07月25日 | 地球の観測
電波干渉計“MWA”による立体観測から、
地球の磁気圏にプラズマが作るチューブ状の構造が、
初めて検出されたんですねー
検出されたチューム状プラズマ構造(イメージ図)

このチューブ状の構造が検出されたのは、
西オーストラリアのマーチソン広視野電波干渉計“MWA”を用いた観測。

チューブ状のプラズマ構造は、高度約600キロの電離層上部から、
さらにその上のプラズマ圏に向かって伸びていました。

こうした構造の存在については、60年以上前から予測されていたのですが、
実際にとらえられたのは今回が初めて。

地球磁気圏中に、このような構造が起こす信号ひずみは、
衛星ナビゲーションシステムなどに影響を及ぼすので、
重要な観測成果になるんですねー

観測でとらえられたのは、
高密度プラズマと低密度プラズマとが交互に縞模様を作り、
地球の磁力線に沿ってオーロラのように「ゆらゆら」と流れているようすでした。
マーチソン広視野電波干渉計“MWA”

“MWA”は、砂漠の土地に設置された128個のタイル状アンテナで構成されています。

信号を東西に分けることによって、立体視が可能になっていて、
広い空域にわたるプラズマの動きを連続的に記録することで、
今回の発見が生まれたんですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽活動とは関係なかった? 地球からのプラズマ大気流出

初期の太陽系にそっくり、太陽系外にカイパーベルトを発見

2015年07月24日 | 宇宙 space
太陽系のカイパーベルトに似たチリのリングが、
ケンタウルス座の太陽型恒星の周りに見つかりました。

リングの大きさをはじめ太陽系との類似点が複数あるので、
幼い頃の太陽系の姿に似ているようです。


氷天体は惑星形成の名残り

太陽系の海王星軌道の外側には、
エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる円盤状の領域があり、
そこには、主に氷でできた天体が多数存在します。

氷天体は惑星形成の名残りとも考えられているので、
カイパーベルトは、若い頃の太陽系の素顔に迫る手がかりになるんですねー

また、太陽に似た若い恒星の周囲に広がるチリのリングを観測すれば、
太陽系が若かった頃の姿をイメージすることもできたりします。

でも、これまで直接撮影されたリングは、
  恒星から離れている
  恒星の誕生環境が太陽系と大きく異なっている
  恒星が太陽より重い
など、太陽系のカイパーベルトに似ているとは言いがたいものでした。


若かった頃の太陽系にそっくり

それが今回の研究では、
南米チリにあるジェミニ南望遠鏡に搭載された“GPI”を使用することで、
ケンタウルス座の8等星“HD 115600”の周囲に、
チリのリングが発見できたんですねー

そして分かってきたのが、
“HD 115600”が太陽より少しだけ重いことや、
太陽が生まれた環境に似た星団に、この恒星が存在していること、
そして、恒星からリングまでの距離が、
太陽系のカイパーベルトとほぼ同じことでした。

そう、このリングは、
太陽系が若かった頃のカイパーベルトに、
そっくりかもしれないんですねー
“HD 115600”のチリのリング。
見た目は土星の環を横から眺めた姿に似ている。
十字印(+)は中心星の位置、丸印(○)はリングの中心。

さらに、チリのリングの中心が、
恒星の位置から、少しずれていることも明らかになっています。

これは、恒星の周りを未知の惑星が回っていて、
惑星との相互作用で、リングに歪が生じたと考えれば説明がつきます。

観測されたチリのリングの「色」についても、
カイパーベルトの主要構成物質である、
氷やケイ酸塩などのチリで説明できるそうです。


今後はもっと発見できる

今回の発見は、ジェミニ南望遠鏡のGPIによる成果なんですが、
すばる望遠鏡の観測装置“SCExA0”も観測を始めているんですねー

“SCExA0”は最先端技術に基づき、
太陽系外惑星や太陽系外カイパーベルトを見つけ出すための装置で、
これまで50分以上の露出でも見つけられなかったものが、
たった50秒で見つけられるそうです。

“GPI”での成功をふまえると、
すばる望遠鏡が誇る最新鋭の惑星探査装置“SCExA0”も、
間もなくカイパーベルトに似たチリのリングや太陽系外惑星を、
たくさん発見することが期待できますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽系そっくりの小天体ベルト “ベガ”

太陽の300兆倍! 宇宙一明るい銀河を発見

2015年07月23日 | 宇宙 space
1000億個、あるいはそれ以上の銀河がひしめく宇宙で、
最大の輝きを放つ銀河が見つかったんですねー

この銀河は“WISE J224607.57-052635.0”といい、
明るさは太陽の300兆倍を超えているようです。
新たに発見された銀河“WISE J224607.57-052635.0”(イメージ図)
太陽の300兆倍以上という、宇宙一の明るさがある。


光の元は巨大ブラックホール

地球からはるか遠く離れたこの銀河の輝きは、
恒星によるものというよりも、
むしろ「怪物級のクエーサー」によるものでした。

銀河の中心にある巨大ブラックホールが、
ガスを大量に吸収し続けているため、
周囲のチリが過熱されて数百万度もの高温になります。

ここから放出された赤外線は、
宇宙のはるか遠くからでも観測できるんですねー


短期間で大きくなれた謎

問題は、この巨大クエーサーが放つ光が、
約125億年かけて地球に届いていることです。

そう、この光は、
ビッグバンからわずか10億年余り経ったころのもの。

どのようにすれば、ブラックホールが短期間で大きくなれたのか?
大きな謎が残ります。

しかも、こうした怪物級のブラックホールが見つかったのは、
これが初めてではないんですねー

2015年2月にも、
地上にある世界最大級の望遠鏡をいくつも駆使して、
さらに大きく古いブラックホールが発見されています。

ただ、今回の“WISE J224607.57-052635.0”は、
エネルギーの大半を赤外線として放出しているので、
見つけたのはNASAの赤外線探査衛星“WISE”でした。


謎が謎を呼ぶ

今回のブラックホールが、
短期間で桁外れの大きさへと成長できた仕組みについては、
いくつかの説があります。

1つは、このブラックホールが“エディントン限界”という、
考えうる最速のペースでガスを飲み込み続けたというもの。

ただ、この可能性は薄く、
限界を超える方法があるのかもしれないというレベル。

もう1つは、このブラックホールは誕生したときから巨大で、
それが成長したのかもしれないというもの。

こちらは、巨大なブラックホールが、
どのように誕生したのかという謎が残ってしまいます。

謎はもう1つあり、
初期宇宙で最大規模のブラックホールと、
現在観測している最大規模のブラックホールは、
質量が同程度ということ。

つまり、短期間で巨大化した謎だけでなく、
それ以上大きくならなかったのは何故かという謎ですね。


こちらの記事もどうぞ
  太陽の120億倍… 説明不能なブラックホールを発見
  ティーカップの中のブラックホール嵐

今度の気象衛星はカラーで解像度も2倍! “ひまわり8号”が運用を開始

2015年07月22日 | 地球の観測
これまで活躍していた“ひまわり7号”に代わり、
アジア・太平洋地域の天気や地球環境の観測を担うのが、
新型静止気象衛星“ひまわり8号”です。

本格的に運用を開始したのは7月7日の11時からで、
すでに気象庁のウェブサイトで“ひまわり8号”からの画像を、
見ることができます。

“ひまわり8号”は2014年10月7日に、
H-IIAロケットに搭載され、種子島宇宙センターから打ち上げられました。

その後、衛星は約10日間をかけて、観測拠点となる東経140度の軌道に移動。

観測機器や地上との連携などの試験を行い、観測開始に向けた準備を進めていました。

そして問題なく観測できることが確認されたので、
7月7日の11時をもって、“ひまわり7号”から運用をバトンタッチしたんですねー


世界最先端の可視赤外放射計

“ひまわり8号”は、
“ひまわり6号”(2005年に打ち上げ)と“ひまわり7号”(2006年に打ち上げ)の
後継機となる衛星で、性能が大幅に向上しています。

最大の特徴は、世界最先端の能力を持つ可視赤外放射計“AHI”の搭載です。

これは“ひまわり6号”や“ひまわり7号”に搭載されている、
可視赤外放射計と比べてひじょうに高性能で、
より詳しい雲の様子を観測することが可能になっています。

“AHI”はアメリカのエクセリス社で製造されたものを輸入し、
“ひまわり8号”に搭載されています。

エクセリス社は、
アメリカの次期静止気象衛星“GOES-R”シリーズに搭載予定の、
可視赤外放射計“ABI”の製造も行っていて、
“AHI”と“ABI”は、ほぼ同等の機能をもっているそうです。


3つの進化

“ひまわり8号”は、この“AHI”の搭載により、
6号と7号”から大きく3つの点で進化を遂げています。

まず、画像の解像度が約2倍になったこと。
6号と7号では、可視域の分解能が1キロ、赤外域で4キロでした。
でも8号では、可視域が0.5キロ、赤外域が2キロにまで向上しています。

そして観測できる種別(チャンネル)が約3倍に増えたこと。
6号と7号では可視域では1チャンネルで白黒画像しか撮影できず、
赤外域は4チャンネルでした。

それが8号では可視域が3チャンネルに増え、カラー画像が撮影できるようになり、
赤外域も13チャンネルまで増えています。

さらに、6号と7号では約30分かかっていた衛星から見える全範囲の観測は、
8号では10分に短縮。

地域を限定すれば、2.5分ごとの観測も可能になっています。

これらの進化によって、
雲の移動や発達の様子を、これまでよりも詳しく観測できるようになり、
また火山灰の分布も詳しく把握できるようになるそうです。

風や気温などの時間変化をコンピュータで計算して、
将来の大気の状態を予測する数値予報でも、
“ひまわり8号”で得られたデータは、大いに役立つことになります。
静止気象衛星“ひまわり8号”で観測した画像


運用は民間委託

“ひまわり8号”の製造は三菱電気が担当しています。

打ち上げ時の質量は約3500キロで、東経約140度の静止軌道で運用され、
設計寿命は観測機器が8年以上、衛星本体は15年以上と見込まれています。

運用は気象庁が担当するのですが、
衛星からのデータ受信といった実際の管制業務は、
民間に委託することになります。

新たに設立された気象衛星ひまわり運用事業株式会社が担当することで、
運用コストの削減をはかるそうです。

なお、今後“ひまわり7号”は、“ひまわり8号”のバックアップとして、
万が一8号が故障したりした場合に備えて待機します。

一方、これまで7号のバックアップに就いていた“ひまわり6号”は、
2015年中に運用を終える予定です。

また2016年度には、
“ひまわり8号”の同型機である“ひまわり9号”の打ち上げが、
予定されているんですねー

打ち上げ後には8号のバックアップとして7号と代わり待機し、
2022年からは立場が入れ替わり、9号がメインで8号がバックアップに入ります。


気象庁単独の資金で開発された初の衛星

8号と9号は、
気象庁単独の資金で開発される初の衛星になります。

“ひまわり”の1号と2号は科学技術試験衛星、
また3号から5号は科学技術衛星という扱いだったので、
科学技術庁が費用の全て、もしくはかなりの額を負担していました。

また6号と7号は、
航空保安システム機器を搭載した運輸多目的衛星だったので、
国土交通省航空局が約70%を負担。

運輸多目的衛星のように、他ミッションとの複合衛星にすることは、
8号と9号でも検討されたのですが、相手が見つからず…

一方で、6号と7号の寿命が近づいていたので、
最終的には、気象庁が全額負担して開発されることになったということです。

8号と9号の打ち上げは、2年ほど間隔が開くことになり、
その間のバックアップは7号が努めることになります。

ただ、7号は2006年に打ち上げられ、
設計寿命は10年なので、2016年のはじめには寿命を迎えるんですねー

なので、7号から9号へ無事バックアップ任務が引き継げるかが、
気象庁の今後の課題になるそうです。

こちらの記事もどうぞ ⇒ 気象庁の静止気象衛星“ひまわり8号”が完成しました。