モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の貝母は結実し始めました。ズミとウワミズザクラが満開。ホタルカズラ、イカリソウも咲き始めました。純白のリュウキュウツツジ(妻女山里山通信)

2024-04-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 24日の信毎の朝刊を見て陣場平の貝母(ばいも:和名はアミガサユリ)を見に来られる方が後を絶ちません。残念ながら花期はすでに終わり結実が始まっています。そこで当ブログで満開の写真が見られますと案内します。スマホは高齢者もお持ちですが、写真を横1200ピクセルで載せているので可能ならばパソコンの大きな画面で見ることをお勧めしています。

 第四次川中島の戦いで上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる陣場平。現在は日本でここにしかない貝母の群生地として有名になりつつあります。毎年の見頃は、4月10日から20日頃です。開花情報は当ブログでお知らせしています。

 真中にある山桑の木の下に奇跡的に咲き残っている貝母があります。左奥に見えるコンクリートの八角形の菱形基線測点が貝母発見のきっかけになったことをお話しています。2009年4月の記事をご覧ください。

 奇跡的に咲き残っている貝母。薬草ですがかなり強い毒草です。園芸店に売っていないのはそのためです。江戸時代から親しまれた4月の茶花です。切り花は売られていることもありますが、取り扱いには注意が必要です。

 貝母群生地の東の端に咲くズミ。そろそろ終わりです。

 陣場平の周囲にたくさん満開のウワミズザクラ(上溝桜)。

 ドアップを撮影してみました。桜だと分かります。実は塩漬けにして食用になります。

 陣場平の下の入口の右にホタルカズラ(蛍葛)が咲き始めました。蕾はピンクで開き始めると薄紫に。咲くと青くなります。

 林道沿いにガマズミやコバノガマズミの花が咲き始めました。これは葉が小さなコバノガマズミ。秋には真っ赤な実をつけます。果実酒にするとルビー色の綺麗なリキュールができます。抗酸化作用が強く老化防止になります。

 クヌギの花があちこちで咲いています。この秋は仲間と大木を伐採して椎茸の原木栽培をします。

 長坂峠やあちこちでヨモギ(蓬)が出ています。天ぷらやヨモギ団子、草餅に。制癌作用が証明されている薬草でもあるのです。

 山のあちこちでヤマツツジが咲いています。この蜜は吸えます。レンゲツツジは猛毒です。

 6番目のカーブの上にイカリソウ(碇草・錨草)が咲き始めました。花期はこれからです。根っこは淫羊藿といって強壮剤になります。天然のバイアグラですね。

 山のあちこちで山藤も咲き始めました。この豆は炒って食べられます。花も天ぷらで。

 下の妻女山展望台から西の白馬三山。手前に茶臼山。右奥に虫倉山。

 北には左に戸隠連峰。右に飯縄山(飯綱山)。1917mなので低いなと覚えますが、歴史と花の非常にいい山です。もちろん拙書でも紹介しています。手前は富士ノ塔山。

 東には松代と奥にそびえる根子岳と四阿山。左手前は奇妙山。あちこちにヤマザクラが咲いているのが見えます。麓はあんずの里の東条。日に日に緑が濃くなって行きます。今日も妻女山から陣場平経由で鞍骨山(鞍骨城跡)へ向かう人がいました。大河ドラマ『真田丸』で人気になった里山です。ブログ内検索で、私の登頂記事が何本か読めます。

 29日。妻女山陣場平の下の堂平大塚古墳のツツジが見頃です。

 純白のリュウキュウツツジも満開。


「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な人生が見られます。

インスタグラムはこちらをクリックツイッターはこちらをクリックYouTubeはこちらをクリック。米子大瀑布、絶滅危惧種のナミルリモンハナバチ・キバネツノトンボ・北信流など。これからどんどんアップしていきます。
 
もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
  インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。講演は一人1000円✕10人、60分が最低基準です。掲載の写真は有料でお貸しします。他のカットも豊富にあります。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山陣場平の貝母は下から半分ほどしぼみました。ズミとウワミズザクラが満開。昨日の信毎の朝刊を見て40人ほどが訪れました(妻女山里山通信)

2024-04-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の貝母(ばいも:和名はアミガサユリ)は下から半分ほどがしぼみました。明日は28度とかの予報なので見納めになるでしょう。

 今日は、昨日の信毎の朝刊を見たと言って40人ほどが訪れてくれました。県外からも。貝母を見てから鞍骨山へ向かった人達もいた様です。信毎一面の威力は凄いですね。周りの緑も賑やかになってきました。午後は強風になることが多いのでおにぎりを持って午前中に来ることをお勧めします。

 スマホの人が多くて下向きに咲く貝母の撮影には苦労していました。横向きに咲いている花を紹介してあげました。薬草ですがかなり強い毒草であることや、15年の開発と保全の話もしました。今年の貝母は数回のなごり雪のために、やや草丈が低いのですが、それでも最も高いものは128センチありました。

 東の端にはズミが満開です。昔、りんごの台木として使われました。シジュウカラが盛んに鳴いています。

 まだ咲いている貝母の花。雌しべの根本には糸巻き形の6角形の実ができています。この実は6月末には3センチぐらいになります。枯れると蒴果といってホウセンカの様に種を弾き飛ばします。その時、東風(こち)が吹くことが多いので、貝母は西へと増えていきます。種から発芽して花が咲くまでは7、8年かかります。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 陣場平の上の入り口の20mぐらい下に咲くウワミズザクラ(上溝桜)が満開になりました。

 遠目ではとても桜に見えませんが、こうしてアップにすると小さな桜だと分かります。

 15年前に藪を切り払い灌木を切ったら、昔あったアカネ(茜)が出るようになりました。

 あちこちでサンショウ(山椒)の若葉が。摘んで佃煮を作るには、2〜3時間摘まないとだめですね。木の芽和えなどにするなら30分も摘めばいいでしょう。

 上の入り口から入るとゴヨウアケビ(五葉木通)の花が見られます。

 貝母の花に隠れて山蕗の花。もう結実しています。

 クヌギの幼木に、ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。ナラリンゴタマバチによって作られた虫コブ(虫えい・ゴール)です。ナラメリンゴタマバチ(雌)が交尾後、コナラの根に楢根玉五倍子(ナラネタマフシ)を作ります。そこから冬に羽化した雌が単性生殖でコナラの冬芽に産卵し、それがこのような五倍子(フシ)を形成するのです。形成されたフシは卵の揺りかごであり幼虫になっては餌となります。コナラの冬芽をこんな風に変形させてしまうのですから恐るべしかなナラリンゴタマバチ。タマバチのタマとは、このリンゴ状のフシのことです。
 虫コブは古くから利用されてきました。マタタビはマタタビミミタマバエの作る虫コブができて初めて価値あるマタタビ酒になります。また、ヌルデ(白膠木)の若芽や若葉などにヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶ(ヌルデミミフシ)は、お歯黒、染め物、薬、インク、占いなどに使われてきました。特に染料は、空五倍子色という伝統色で、古代より(正倉院にあり)珍重されてきました。

 春型のアゲハも舞い始めました。ヒメオドリコソウで吸蜜しています。食草の山椒の木が多いのも見られる理由でしょう。冬越しのルリタテハも。貝母が咲き終わっても里山の魅力は続きます。樫の木のベンチに腰掛けて鳥のさえずりを聴いているだけでストレスは雲散霧消します。

 陣場平の上の入り口。小道を入ってすぐ右の足元にハナヤスリの群生地があります。小さな水芭蕉の様な葉がそれです。希少なシダ類です。

 堂平大塚古墳へ下る道の脇にキジムシロ(雉筵)が咲いていました。春に咲くバラ科の黄色い花は、キジムシロ、ミツバツチグリ、ツルキンバイ、クサイチゴ、ヘビイチゴなど皆似ていて同定に苦労します。

 妻女山松代招魂社の八重桜も満開になりました。この花弁で桜茶が作れます。

 妻女山への登り口にクサノオウ(瘡の王)が咲き始めました。毒草なので触らないでください。小学生の遠足コースなので、引率の先生にアドバイスしたことがあります。これからイカリソウやアマドコロ、ホタルカズラが咲き、ウスバシロチョウが舞い始めます。これからオオスズメバチの女王が巣作りのために飛び始めるので、黒い服は避けてください。

 翌26日は最高気温が28度の予報。早めに登ってノイバラやヤマフジの除去作業をしました。やはり信毎を見たと言って登ってきた人が30人以上。鞍骨山へ向かった人も大勢いました。例年の見頃は4月10日から20日頃という話や、当ブログで開花情報を出していることなどをお話しました。みなさんが帰った頃にサンコウチョウが鳴き出したのは残念でしたが。堂平大塚古墳では猛毒のレンゲツツジが咲き出しました。これからKさんが植えたリュウキュウツツジや色々なツツジが咲き出します。ホタルカズラも咲き出した様です。
 貝母を見に来た女性にオオスズメバチの女王蜂が暫くの間まとわりつきました。これは化粧品や香水、柔軟剤やシャンプーの甘い香りに惹きつけられたのです。山に来る際は、無臭が原則。ミントやハッカの香りは虫が嫌います。防虫スプレーや手作りの防虫オイルを塗ってくるといいでしょう。前記した様に黒い服や黒髪もハチに狙われます。まとわりつかれたら絶対に声を上げたり手で払ったりしては駄目です。刺されます。おとなしくジッとしていること。やがて去ります。

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妻女山陣場平の貝母は少しずつしぼみ始めました。それでも週末までは充分に見頃です。信毎の取材を受けました(妻女山里山通信)

2024-04-24 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の貝母(ばいも)は少しずつしぼみ始めました。それでも週末までは充分に見頃です。今日(23日)は、信濃毎日新聞の取材を受けました。明日の朝刊に載るそうです。25(木)26(金)は見頃です。

 記者の方が貝母を撮影しています。編笠百合の名前の通り、花の中を撮影するのがポイントです。スマホの方には自撮りモードでとアドバイスしますが、なかなか難しい様です。

 カスミザクラ(霞桜)。満開ですが、風が吹く度に花吹雪が舞い散ります。ヤマザクラ(山桜)はかなり散りました。オオヤマザクラ(大山桜)はまだ紅色に咲いています。まもなくウワミズザクラ(上溝桜)も咲くでしょう。

 貝母は下から咲いていきます。満開になったら下からしぼみ始めます。上の写真でそれが分かると思います。上部はまだ開いているので、週末まではなんとか見頃だと思います。

 群生地で、一番背の高い貝母がこちら。約90センチはあります。昨年はなごり雪がなかったので、これくらいの貝母がたくさんあって壮観でした。球根も大きいでしょう。全草が毒ですが、特に球根は美味しそうですが絶対に食べてはいけません。薬草ですが、かなり強い毒草です。

 あちこちでシロヤブケマンが咲いています。氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウの食草です。ゴールデンウィーク明け頃から舞い始めるでしょう。これも毒草です。ルリタテハが舞っていました。

 あちこちでヤマツツジも咲き始めました。

 林道に咲く、左がカスミザクラ、右がヤマザクラ。樹下にはピンク色のミヤマウグイスカグラが咲いています。妻女山駐車場からは30〜40分。林道入口の地図と、長坂峠と陣場平の上下の入り口にある看板に従って群生地に入ってください。小さな実生を踏まない様に鑑賞してください。樫の木のベンチに腰掛けて、鳥のさえずりに耳を傾けるのもいいでしょう。運が良ければニホンカモシカにも出会えます。

 24日の信濃毎日新聞の一面に掲載された記事。本文中に陣馬平とあるのは間違いで、キャプションにある陣場平が正しい地名です。アミガサユリ(編笠百合)は、貝母の和名です。4月の茶花として江戸時代から親しまれて来ました。
 やはり長野県では信毎が新聞では一番なんでしょうか。朝からこの記事を読んで「陣場平 貝母」、「陣場平 アミガサユリ」で検索したのでしょうか、当ブログへのアクセスがもの凄いことになっています。明日から三連休は大勢訪れてくれるかも知れません。できるだけ現地でガイドをしたいと思っています。

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妻女山陣場平の貝母は満開です。山桜、霞桜、大山桜も満開。カタクリ、キブシ、ハナヤスリ、コクサギ、ヤマブキ(妻女山里山通信)

2024-04-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の貝母(ばいも)が満開になりました。山桜、霞桜、大山桜もほぼ満開です。足元では鮮やかな朱色のクサボケ(草木瓜)も咲いています。氷河期の生き残りウスバシロチョウの食草のシロヤブケマンもあちこちで咲き始めています。カタクリは咲き終わり、あちこちでミヤマウグイスカグラが咲いています。今日も何人も訪れてくれました。里山の自然と歴史、里山保全の大切さと大変さについてお話しています。陣場平は川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした場所。ブログ内検索で「川中島の戦い」で該当する記事が読めます。ちなみに我が家の祖先には真田幸村の影武者のひとり、林源次郎寛貴がいます。

 貝母の花。和名は編笠百合といいますが、こうして花の内部を見るとその意味が分かります。葉先が丸まっていますが、これでお互いの茎に絡みつきスクラムを組んで、この時期に発生する爆弾低気圧の強風から身を守ります。奈良時代に入った薬草(毒草)で、万葉集に一首詠まれているらしいことは一つ前の記事で書いています。薬草ですが、全草が毒草です。花の香を嗅ぐのも花粉を吸い込む可能性があるのでしないでください。

 貝母の群生地の周りに朱色のクサボケが咲き出しました。実は地梨といいます。

 クサボケ(草木瓜)の花。草ではなく、高さ50センチぐらいの低木ですが、鮮やかな朱色の花を咲かせるので意外と目立ちます。また、低木ににつかわしくない梅のような大きな実は薬用酒になり、貧血や疲労回復、不眠症に。煮だし汁は入浴剤になるそうです。

 カスミザクラ(霞桜)。と書きましたが、近くで確認するとヤマザクラでした。左向こうはやや桃色がかっているのでエドヒガンの仲間でしょうか。ツピー、ツピーというシジュウカラ。月日星ホイホイホイと鳴くサンコウチョウ、鶯(ウグイス)の初鳴きも聞こえました。

 灌木越しに見る貝母の群生地。灌木は山椒の木や黒文字、臭木など。山椒の若葉を摘む女性もいました。

 貝母は下から咲いていきます。てっぺんが咲いたら満開です。まだつぼみが残っていますが、それも明日には咲くでしょう。

 オオヤマザクラ(大山桜)。別名は、紅山桜。

 花枝に毛があるのでカスミザクラ。無毛で葉がやや赤みを帯びているとヤマザクラ。

 ハナヤスリ。葉の真ん中から出てくる胞子嚢がヤスリの形に似ているのでそう呼ばれます。そうは見えませんが、シダ植物です。

 貝母の群生地の真ん中にあるクマノミズキ。芽吹くために樹液を吸い上げて余剰分が出て発酵してオレンジ色になります。無毒で舐められます。カエデやクヌギなら甘いのですが、これはほぼ無味無臭です。

 カタクリの群生地を観に林道を登ります。あちこちでミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)が咲いています。夏になる赤い実は甘くて美味しい。

 林道脇に咲く(木五倍子)。キブシの髄はスポンジ状で、昔は灯芯などにも使われたようです。髄を取り出すと中空になるので、酒樽の呑み口にも使われたとか。また、江戸時代には既婚の女性はお歯黒にする習慣がありましたが、キブシの実も利用されました。釘や鉄粉を食酢につけて酸化した液に、ヌルデの実、五倍子(ごばいし)やキブシの実の粉末をつけて、歯につけると黒く染まるそうです。

 カタクリ(片栗)ユリ科。別名カタゴ、カタカゴ(堅香子)、ハツユリ(初百合)。種にアリが食料とするエライオソームという物質がついているため、アリによって運ばれるアリ散布植物です。日本にはアリによって増えるアリ散布植物が200種以上あります。
「もののふの 八十(やそ)乙女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花」大伴家持(万葉集)
 当維持29歳の大伴家持が、赴任先の越中国府の伏木(現在の富山県高岡市伏木に5年間赴任)で、寺井の井戸(井泉の跡と歌碑がある)の周りにたくさん咲くカタクリを宮中の乙女になぞらえ、都を懐かしんで詠んだ歌だといいます。そう思うと写真のカタクリが、美しい乙女に見えてくるから不思議です。
 もののふとは、宮廷に仕える文武の官のことで、物部と書きます。八十(たくさんという意味)にかかる枕詞ですが、数が多い氏と発音の同じ宇治川の宇治から、宇治川を導く枕詞となったということの様です。昔もやたらと役人が多かったのでしょうか。もののふとは、後に武士そのものを指す言葉に変化します。

 コクサギ(小臭木)ミカン科。小さな臭い木という名前ですが、柑橘系の爽やかな香りです。雌雄異株。葉はコクサギ型葉序と呼ばれ、枝の片側に2ずつ交互に互生します。クサギ(臭木)はクマツヅラ科。実は黒褐色で5ミリほど。有毒です。ミカンがなるわけではありません。葉には殺菌作用のあるアルカロイドを含むので地方によっては家畜小屋に敷いたりするそうです。

 ヒオドシチョウ(緋縅蝶)。ルリタテハと共に春の到来を告げる蝶です。武士が纏う紅色の緋縅に似ているからの命名です。

 天城山(てしろやま)林道から見る千曲川と松代パーキングエリア。黄砂とヒノキの花粉で辛いです。黄砂で遠くの山が霞んで見えません。

 ヤマブキ(山吹)バラ科。「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ哀しき」兼明親王(後拾遺和歌集) 実のと雨具の箕をかけています。太田道灌の逸話で知られる花。 古今亭志ん生『道灌』は一聴の価値あり。花を乾燥させて煎じたものは、慢性のせきに効くそうです。

 若葉の頃は樹種によって葉の色が異なります。春紅葉も見られます。この時期の里山は本当に美しい。5月になると緑が濃くなって、遠目では樹種の違いが分からなくなります。

 我が家のタラの芽も一気に開きました。タラの芽生椎茸ベーコンアンチョビーの馬鹿旨パスタ。山菜の季節到来です。明日も午前中は訪れる方の案内をする予定です。見かけたらお気軽に声をかけてください。貝母は、26日までは見頃だと思います。25度以上になるとしぼみ始めます。

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魚眼レンズで撮る陣場平の貝母。9枚の花弁がある貝母を発見。満開の枝垂れ桜と花桃。ズミも開花(妻女山里山通信)

2024-04-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の最高気温はなんと28.4度。山上も26度。ノイバラの地下茎を掘り出す作業をしたのですが暑くて大変でした。こんな暑い日でしたが、貝母見学の方が何人も訪れてくれました。鞍骨山へ向かった人もいた様です。三日連続のブログ記事のアップとなりました。信州の春は駆け足で過ぎていくので撮影が大変です。

 今回はサブカメラとして使っているコンデジに魚眼レンズをつけて撮影しました。貝母の群生地の広さが分かっていただけると思います。これは 上の入り口から。樫の木のベンチはここと積石塚古墳の横にあります。貝母は奈良時代に唐からもたらされた薬草ですが、かなり強い毒草でもあります。咳止めの薬ですが、成分は筋肉弛緩剤とほぼ同じ。誤って百合根の様な球根を食べると非常に危険です。

 上のカットのちょうど反対側から。一番華やかなカットが撮影できます。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 南側から。この背後には種で増えた群落が広がっています。あと数年したらこれと同じ草丈になるでしょう。

 東側の林の中から。ここは半日陰なので、花が長く持ちます。当地は午後になると強風が拭き始めるので、午後1時ぐらいまでの見学をお勧めします。

 貝母は普通は花弁が6枚なんですが、これは9枚です。今までの観察では9枚が最高です。

 中央の花は7枚です。注意深く探すと見つかるかも知れません。

 昼近くですが、朝よりもさらに開きました。21日ごろには天頂部まで咲き満開になるでしょう。

 堂平大塚古墳の枝垂れ桜も満開です。

 枝垂れ桜のアップ。

 花桃も満開。この花桃は太い枝が折れて地面についているのですが健気に咲いています。オオイヌノフグリとの取り合わせがあり得ないことなので奇妙に見えます。

 堂平大塚古墳。まもなくツツジ(躑躅)が咲き始めます。ヤマツツジ、猛毒のレンゲツツジ、純白のリュウキュウツツジなどが咲き誇ります。

 途中で採取したコゴミ。タラの芽、ハリギリ、コシアブラと続きます。

 ズミも咲き始めました。

 妻女山松代招魂社の桜も満開です。

 妻女山展望台から。遠く飯綱山と戸隠連峰。

 翌16日の貝母。前日の暑さで貝母もかなり開きました。まだてっぺんが蕾のものも見られますが、週末には満開になるでしょう。ヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラも咲き始めました。

 いきなり満開になった桃の花越しに妻女山。ずいぶんと木々が色づき始めました。春紅葉も見られます。

 千曲川の岩野橋左岸から見る妻女山。ソメイヨシノは散り始め。奥の皆神山の桜は今が満開。

 河川敷の桃の花も満開。川中島白桃でしょうか。土手に咲くのは、テレビで菜の花と紹介していましたが、有害帰化植物のハルザキヤマガラシがほとんどです。畑に咲いているのは野沢菜の菜の花です。土手の向こうに、長野パルセイロのホームスタジアムが見えます。その奥には薄っすらと高社山。21日は、長野マラソンのために国道403や岩野橋、赤坂橋が昼ごろまで通行止めになるので注意してください。屋代方面からは妻女山に登れます。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
  インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。講演は一人1000円✕10人、60分が最低基準です。掲載の写真は有料でお貸しします。他のカットも豊富にあります。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山里山デザイン・プロジェクト2024.4.14。陣場平の貝母の整備は落枝の処理や枯れ木の伐倒。昼は激旨海鮮パエリアで(妻女山里山通信)

2024-04-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、貝母の群生地がある陣場平の整備です。落枝の処理や枯れ木の伐倒を行いました。麓の最高気温は27度の夏日。山上は24、25度で快適です。貝母見学の方も大勢訪れてくれました。次の週末までは充分に見頃です。

 貝母も一気に開き始めました。午前と午後では風景が違います。

 スマホの皆さんには自撮りモードで撮影するといいですよといいますが、なかなかピントが合わないと苦労されていました。コツが要りますね。これはバリアングル液晶の一眼レフカメラで撮影しています。

 まだ満開ではありませんが、かなり上の方まで咲きました。初めて来られた方は、こんなに凄いとは思いませんでしたとおっしゃっていました。次の週末は、ヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラも咲くでしょう。シロヤブケマンやクサボケも咲き始め、さながら桃源郷の様になります。

 作業はまず何本も落ちたクヌギの枝を切って片付けました。

 倒木の処理も。保全作業は大変です。

 一番大変だったのは立ち枯れの伐倒です。思いの外多くて大変でした。

 その間にもたくさんの方が貝母見学に訪れてくれました。小さな子を連れた家族も二組ほど。オオズキンカブリタケも紹介しました。昨年作った樫の木のベンチも好評でした。作業の合間に案内もしました。

 次は堂平大塚古墳での伐倒作業。ヌルデやら雑木がはびこって野生動物の隠れ場所になるので伐採しました。眺望も良くなります。

 伐採作業はたいへん危険なので慎重に声を掛け合って行います。こういう風に切りっぱなしにしておくと、ここには山鳥は隠れに来ますが野生獣は来ません。

 やっと昼食です。ログハウスを借りて。まず掃除をしました。ノンアルコールビールで乾杯。

 前菜は、生帆立のカルパッチョ。トマト、セロリ、オレンジ入り。美味。

 メインディッシュはシーフードパエリアです。有頭海老、ヤリイカ、アサリ、白身魚、ピーマン、セロリ、人参、玉葱、ブラックオリーブと豪華版。超絶美味でした。

 ムスカリが咲いています。

 ウスバシロチョウの食草のシロヤブケマンも咲き始めました。

 枝垂れ桜も見る見る内に開きました。

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松代夢空間「花と歴史のハイキング2024」。貝母は見頃に。里山歩きに最高の季節になりました。おいでください(妻女山里山通信)

2024-04-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
 松代夢空間主催の「花と歴史のハイキング2024」が行われました。私はガイド(インタープリター)として皆さんを案内しました。最高気温は23度。でも山中は1、2度低いのです。天気にも恵まれ快適なハイキングができました。

 ソメイヨシノは五分から八分咲きです。来週末にはすべて満開になるでしょう。

 要所要所で自然や歴史についてお話していきます。なるべく手短に分かりやすくを心がけますが、内容は大学の講義を聞くくらいのレベルの内容にしています

 森林組合が作業した松枯れ病についても解説しました。ネオニコチノイド系農薬の危険性についても。里山の崩壊は、街に暮らす皆さんの生活の崩壊につながるのです。

 古代科野のクニの斎場山古墳についても詳しく解説。出雲族と徐福伝説、春秋戦国時代の呉越と日本の歴史や高句麗と信州についてなど。その多くがブログ内検索で過去の記事が読めますと紹介しました。

 斎場山(旧妻女山)から見る天城山(てしろやま)。昔は手城山と書きました。西にたどると鞍骨山です。

 この後に堂平大塚古墳に案内し横穴式石室のある古墳を紹介し、ここの摩訶不思議な歴史も解説しました。そして貝母が咲く陣場平へ。まず上杉謙信の本陣であった話と、菱形基線測点の話、そして貝母の発見と保護活動の話をしました。その後は皆さんに思い思いに撮影していただきました。

 貝母は下から咲き始めます。まだてっぺんは蕾です。次の週末には満開になるでしょう。ニホンカモシカが蕾を食べてしまう話もしました。毒草ですがデトックスになるのでしょうか。万葉集にあるといわれる一首は前の記事で紹介しています。

 次の週末には、周囲のヤマザクラなどが咲きますと。クサボケの朱色の花やシロヤブケマンも咲きます。それはさながら桃源郷の様になりますとお話しました。時間があったらぜひ訪れてくださいと。月日星ホイホイホイと鳴くサンコウチョウも現れます。

 貝母の花の内側。和名の編笠百合の意味が分かります。普通は花びらが6枚で雄しべが6本ですが、探すと9枚のものも見つかります。吸蜜にセイヨウミツバチやハナアブがたくさん訪れて受粉してくれるでしょう。
 貝母の花の撮影は、スマホの場合は自撮りモードですることをお勧めしています。満開の頃には周りのヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラも咲き、さながら桃源郷の様になります。シロヤブケマンやクサボケも咲き始めます。その後にはウワミズザクラも。

 これは数年前の満開の状態です。奥にピンクのオオヤマザクラが咲いています。ウグイスやサンコウチョウ、シジュウカラのさえずりが聞こえます。樫の木のベンチに腰掛けてゆっくりと鑑賞してください。25日ぐらいまでは見頃だと思います。できればその後の糸巻きみたいな実がなるのも見に来て欲しいところです。その頃には氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウも舞い始めます。翌日は妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業があるので、メンバーと山で作業をします。見かけたら気軽に声をかけてください。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
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妻女山陣場平の貝母が咲き始めました。ヤマエンゴサク、タチツボスミレ、ハナヤスリ、ヤマハコベ。オオズキンカブリタケ(妻女山里山通信)

2024-04-11 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母が咲き始めました。貝母(ばいも・貝母百合・編笠百合)は、奈良時代に中国(唐)から伝わったという薬草(毒草)です。万葉集に一首あるといわれています。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして今、母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。
 貝母の開花情報は当ブログやX(旧ツイッター)、インスタグラムで紹介していきます。

 和名の編笠百合の名前の理由は、花の中を覗くと分かります。4月の茶花です。

 貝母は下から咲いていきます。大きな株だとてっぺんまで咲くのに一週間ぐらいかかります。見頃は今週末から二週間ぐらいでしょう。

 今年は3月に何度もなごり雪が降り気温も低めだったので、草丈は昨年よりやや低めです。

 南側には草丈の低い群生地が。7月に北風で種が飛んで発芽したものです。種からの場合は一年目は片葉のみ。花が咲くまでは、5〜7年かかります。

 陣場平の片隅にはヤマエンゴサクの群生地があり、咲き始めました。貝母が満開の頃には紫の絨毯の様に咲き乱れます。

 ヤマエンゴサク(山延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草で、別名は、ヤブエンゴサク、ササバエンゴサク。花後に種を飛ばすと地上部は枯れてなくなり、その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種です。

 ハナヤスリ(花鑢、花鈩)。そう見えないかも知れませんがシダ植物です。陣場平の入り口に群生地があります。

 小さなタチツボスミレなのか、別種なのか、交雑種なのかよく分かりません。堂平大塚古墳へ下る林道沿いや道の真ん中に咲いています。

 シュンラン(春蘭)。シュンランは、単子葉植物ラン科シュンラン属の蘭です。洋蘭として人気のシンビジウムの仲間。妻女山山系では貴重な植物。

 ウバユリ(姥百合)の若葉。ユリ科ウバユリ属の多年草です。標高の高い里山や高原に行くと、高さ2mぐらいになるオオウバユリが見られます。

 ヤマハコベ(山繁縷)。たくさん咲いていますが小さいので目に留まらないかも知れません。花弁が10枚に見えますが、5枚で切れ込みが深いのです。

 タチツボスミレ(立坪菫)の群生地。スミレ科スミレ属の多年草です。もっともありふれたスミレ。カタクリなどと同じアリ散布植物です。

 タチツボスミレのアップ。妻女山では葉に斑入りのものや茎に毛があるものも見られます。赤い斑入りで毛があるものはアカフケタチツボスミレ。

 妻女山の某所にある枝垂れ桜。花びらが細いのが特徴です。桜は実は400種類ぐらいあるのです。

 上杉謙信矢尻の泉から上信越自動車道の薬師山トンネル。レンギョウが鮮やかに咲いています。

 翌12日は晴れて気温も上昇。10人ぐらいのグループや2人連れ、東京からの女性も。貝母も一気に咲き出しました。オオズキンカブリタケ(大頭巾被り茸)がいくつも発生しています。アミガサタケの仲間です。食菌ですが、水溶性の微毒があるので、一度茹でこぼしてから調理します。ロケット燃料と同じ成分が含まれるとかで、気を付けないと調理中に具合が悪くなる人もいるそうです。醤油には合わず、バターやクリームに合うので、クリーム煮、リゾット、パスタなどに向いています。

 オオズキンカブリタケは、クマノミズキの周りに数多く発生しています。クマノミズキからは樹液がたくさん出始めました。貝母のつぼみも白っぽくなって咲く準備ができています。

 貝母の花の撮影は、スマホの場合は自撮りモードですることをお勧めしています。満開の頃には周りのヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラも咲き始め、さながら桃源郷の様になります。シロヤブケマンやクサボケも咲き始めます。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
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千曲市森のあんずの里は満開です。花散らしの大雨の前に撮影。レンギョウやサンシュユ、コブシも満開。妻女山のソメイヨシノ(妻女山里山通信)

2024-04-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 千曲市森のあんずの里が4月7日土曜日に満開になりました。ほぼ平年並みです。晴れた日曜に来たかったのですが、スギ花粉の飛散がピークというので諦めました。月曜日の午前中は花曇りでしたが、上平の駐車場はほぼ満車。午後から雨というので人の出も早かった様です。花粉は前日でほぼ飛び終わった様ですが、昼過ぎになると風が出てまた飛び始めるので、午前中だけにしました。明朝に大雨になる予報。花散らしの雨になるかも知れません。あんずは桜に比べると花期が短いのです。

 毎年撮影する在来種のあんずの木。昨年より色が薄いのは気候のせいでしょうか。

 在来種のあんずの花。

 花びらに濃い桃色の線が入っています。あんずは種類によって花の色や大きさが異なります。

 満開のあんずの里。左端に見える大木は樹齢300年を超えると伝わる古木。森のアンズは、天和年間(1681~1683年)元禄時代、伊予宇和島藩主伊達宗利侯の息女豊姫が、松代藩主真田幸道侯に興し入れの際、故郷の春を忘れじとして国許よりアンズの苗木を取り寄せ、松代東条地区に植え付けたのが始まりとされています。安永年間(1772~1780年)松代藩は、森村・倉科村・生萱村・石川村などへ苗木を配布し、栽培を奨励しました。

 あちこちでレンギョウやコブシも咲いています。右奥のあんずはまだ一分咲きです。あんず祭りは12日までですが、それまで持ちそうです。

 樹下にはホトケノザやオオイヌノフグリ、水仙、タンポポ、ムシカリ、クリスマスローズなどが咲いています。

 あんずの小道を登ってあんず畑の上部へ。

 あんず畑の最上部まで満開になりました。あんずの実は6月中旬すぎから販売されます。

 遠くに北アルプスの白馬三山が霞んでいます。

 あんずのトンネル。他の畑は立入禁止ですが、ここはご自由にお入りくださいと書いてありました。

 禅透院の鐘楼と在来種の杏の花。右奥はやはり満開のサンシュユ(山茱萸)。

 サンシュユの花。

 興正寺へ。山門にある「子持龍」は、諏訪立川流の天才・立川和四郎富昌の作。富昌は八幡の武水別神社の再建中でした。そこで、森出身の弟子・宮尾八百重を案内役に住職、世話人、名主らが建築現場に赴き建築を依頼。引き受けた富昌は三月頃から、父富棟が寛政二年(1789)に建築した善光寺大勧進の表御門形式を参考に絵図面を制作。四月には八百重の家に投宿し近くの薬師山に登って酒宴を催し、満開の杏花を愛でたといわれています。夜は篝火の下で鼓を鳴らし謡曲の「鞍馬天狗」を吟じ、見事な龍を描き上げ、村人や近郷近在の話題をさらい、村では日本一の宮大工が来たと喜んだそうです。

 山門越しに見る枝垂れ桜。長野市でもソメイヨシノの開花宣言がされました。

 興正寺越しにあんずの里。集落内のあんずの木がずいぶんと減ったなと思います。高校の窓から見えたのですが、その頃は藁葺き屋根もまだ多く、それぞれの屋敷の中に在来種のあんずの木がありました。我が家も大きなあんずの木があったのですが、養蚕のための二階建てのはなれを造る際に切りました。

 帰路に立ち寄る岡地。西に山があって日暮れが早いので半日村と呼ばれます。花見客も訪れない穴場です。岡地天満宮には菅原道真作の菅原道真の木像と、法華経妙荘蔵王品一基が所蔵されていますが、菅丞相書『法華経並びに親作木像記』によると、どちらも菅原道真自作・真筆のものと伝えられています。岡地に安置されるようになった経緯は非常に複雑です。もともとの所有者は、江戸城を築城した太田道灌〔「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ哀しき」という逸話で有名〕が足利学校で学んだ折りにもらい受けたとされています。ただし、道真公からどういう経緯を辿って足利学校に所蔵されるようになったかは不明です。
 昨年は3月28日に満開になりました。下はその記事のリンクです。
あんずの花は満開。信州千曲市あんずの里は今が見頃です。レンギョウとサンシュユも満開(妻女山里山通信)

 8日に長野市のソメイヨシノの開花宣言が出ました。これは10日午後の妻女山。上杉謙信槍尻の泉上のソメイヨシノ。五分咲きぐらいです。森のあんずは豪雨でかなり散りましたが、まだ見られます。

 妻女山松代招魂社のソメイヨシノやエドヒガンに枝垂れ桜。三分から五分咲きぐらいです。気温が高いので週末には見頃になるでしょう。貝母も咲き始めるでしょう。

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妻女山陣場平の春蘭が開花。貝母はつぼみが下向きに。ヒナスミレとタネツケバナ、カンスゲの花。紅梅と白梅(妻女山里山通信)

2024-04-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母はつぼみが下向きになりはじめました。今回は山仕事をしないので歩いて登りましたが、スギ花粉が飛んでいてまいりました。メガネとマスクをしましたが、マスクが息苦しくてあえぎました。スギ花粉はほとんど飛んだ後でしたが、風があったので舞い上がったのでしょう。目が痒いどころか痛くなり片頭痛もしてきました。やれやれ。
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 たった一輪咲き始めたシュンラン。シュンラン(春蘭)は、単子葉植物ラン科シュンラン属の蘭です。洋蘭として人気のシンビジウムの仲間。

 ほかに二ヶ所ほどあるのですが、まだ咲いていません。

 貝母(ばいも・バイモユリ・編笠百合)のつぼみ。花柄が伸びてつぼみが下を向き始めました。まもなく咲く合図です。次の週末にはかなり咲き始めるでしょう。

 最高気温は20度。かなり草丈も伸びてきました。

 大きな株の間に種がこぼれて出てきた小さな実生あります。株間にシロヤブケマンの若葉がたくさん芽生えています。ウスバシロチョウの食草です。氷河期の生き残りといわれる透き通った白い翅のウスバシロチョウは、5月中旬ごろから舞い始めます。

 陣場平のセリバオウレン。雄花。

 ヒナスミレ(雛菫)でしょうか。スミレもカタクリやニリンソウなどと同じアリ散布植物です。種につくエライオソームを求めてアリが巣に運び、不要な種を巣の外に捨てることで増えます。

 タネツケバナ(種漬花・種付花)。あちこちに咲いていますがあまりにも小さいので目に入らないかも。

 堂平大塚古墳の紅梅は満開です。

 白梅もかなり開きました。

 陣場平の下の立ち枯れの山桑が倒れて林道を塞ぎました。これは近々処理します。

 ニワトコ(庭床・接骨木)レンプクソウ科ニワトコ属の落葉低木。若芽は山菜。接骨木という不思議な名前は、枝や幹を煎じて水あめ状になったものを、骨折の治療の際の湿布剤に用いたためといわれます。ニワトコの杖は「宿命の杖」といい、魔法の杖といわれ、『ハリー・ポッターと死の秘宝』に登場します。

 長坂峠から見る斎場山。森林組合の人が赤松の伐採をしていました。左に見えるゴミは次の作業時に回収します。

 カンスゲ(寒菅)カヤツリグサ科スゲ属。妻女山では、林道ののり面や日当たりの良い尾根筋で見られます。

 妻女山展望台裏手の四阿から見る茶臼山と白馬三山。ソメイヨシノの花も来週には開花するでしょう。

 妻女山入り口のホトケノザ。奥にそびえるのは斎場山(512.8m)。森のあんずも満開になったそうです。杉花粉の飛散がもの凄いので(これでも多摩地域よりはるかにましなんですが)いつ撮影に行こうか思案中です。

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妻女山陣場平の貝母はつぼみ。紅梅とダンコウバイは満開。あんずも開花しました。貝母を食べるニホンカモシカに邂逅(妻女山里山通信)

2024-04-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母の様子を観に登りました。曇りがちでしたが、前日のように黄砂は飛んでいなくて花粉も舞っていませんでした。芽吹きは例年通りだったのですが、3月が冷え込んだので成長は遅れ気味です。それでも男性が一人、女性が一人見学に来ました。開花は今週末ごろで、見頃はその次の週末からになると思います。開花情報は当ブログやX(旧ツイッター)、インスタグラムで紹介していきます。

 貝母(ばいも・バイモユリ・編笠百合)のつぼみ。花柄が伸びてつぼみが下を向くと咲く合図です。奈良時代に入った薬草ですが、これだけの群生地は日本でここだけです。その希少性を味わってください。

 入り口から見る貝母の群生地。草丈は30〜40センチぐらい。この二倍ぐらいに成長します。樫の木のベンチを二箇所に作ったのでゆっくり鑑賞してください。

 入り口と反対側のもっとも密集している場所から。落枝が多いので来るたびに片付けています。

 葉は成長してくると先が丸まってきます。これらが絡み合ってこの季節に来る爆弾低気圧の強風から身を守るのです。

 クヌギの林下にも群生地が。ここは半日陰になるので開花が少し遅れます。その分長く楽しめます。

 入り口の貝母がニホンカモシカによってかなり食べられています。ここはニホンカモシカの通り道なので毎年食べられるのですが、こんなにたくさん食べられたのは初めてです。薬草ですが毒草なので大丈夫かなと。デトックスになるのでしょうか。決して真似をしないでください。

 球根でかなり強い薬草なのであえてロープや柵は設置していません。踏まないように気をつけて間近で鑑賞してください。毒草ですが、ヤマトリカブトの様に触るのも危険な植物ではありません。

 陣場平のセリバオウレン。両性花。

 これも両性花。なかなか増えないので、種を採取して育ててみようかなと思っています。

 これは雄花。真ん中の赤紫は退化した雄しべです。

 山蕗もあちこちで出始めました。この上の林道脇の斜面にはずっと群生地が続いていますが採りに来る人はいなくなりました。

 妻女山山系のあちこちでダンコウバイが満開です。

 ダンコウバイは株立が旺盛なので適宜伐採しないと森が真っ暗になってしまいます。

 ダンコウバイ。もう少し標高が高くなると、同じ黄花のアブラチャン(油瀝青)が咲き始めます。

 堂平大塚古墳の紅梅も満開です。白梅も咲き始めました。

 妻女山展望台から北に飯綱山。手前右に旭山、中央に富士ノ塔山。

 東に奇妙山。奥に根子岳とうっすらと四阿山。中央は東条の集落であんずの里です。今週末は見頃でしょう。

 展望台のソメイヨシノのつぼみ。開花は週末頃か。これが咲く頃に貝母も咲き始めます。

 翌日の午前中だけ陣場平へノイバラの除去にヤマグワを積んで登りました。出始めたノイバラを根切りしていると、誰かに見られている様な視線を感じました。どこだと探すといましたニホンカモシカ。座ってずっと私の作業を見ていた様です。貝母を食べた犯人です。

 陣場平はこのニホンカモシカの通り道なのです。この個体はメスです。以前小便をする姿勢から分かりました。オスは立ったままですが、メスは半分しゃがんでするので判別できます。しかもお腹が大きいので妊娠している様です。7月頃に出産するでしょう。ニホンカモシカは、貝母のつぼみを食べるのですが花を食べた痕跡は見たことがないので開花したら大丈夫でしょう。

「山蕗と牡蠣のパスタ」。味付けは、マジックソルトとケイジャンスパイス、シュリンプチリソルト。バカウマです。オリーブ油で炒めたらちゃんと乳化させるのがポイント。
 千曲市森のあんずも開花しました。4日から10日頃が見頃です。近所のあんずは既に満開です。あんずの花期は短いので撮影も大変です。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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  インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。掲載の写真は有料でお貸しします。他のカットも豊富にあります。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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髻山のセリバオウレン 2024。なごり雪と激しい春雨に耐えて咲く春の妖精。なんと持ち主に邂逅(妻女山里山通信)

2024-03-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平のセリバオウレンが咲いたのが3月16日。髻山へ撮影に行きたかったのですが、度重なるなごり雪に菜種梅雨。そうこうする内に月末になってしまいました。今年は髻山は諦めようと思っていました。しかし、3月は寒かったのでまだ咲いているかも知れないとでかけました。咲いていました。しかも、このセリバオウレンの持ち主と邂逅。色々お話を聞くことができました。私は妻女山陣場平の貝母の様に、昔薬草畑で打ち捨てられたものと思っていましたが、そうではなくて、10年ほど前にわざわざ植えたものだそうです。当時は販売するつもりだったそうですが、売っても安いのでそのままにしているとか。特に肥料とかもやらないけれど、毎年増えていくねと。土壌やコナラの林がセリバオウレンに合っているのでしょう。マムシが出るとこだから気をつけてと言われました。

 セリバオウレン(芹葉黄蓮)の雄花。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9〜12枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。

 両性花。外側に雄しべ,内側に雌しべ。ほとんどの両性花は萼片(がくへん)が白なのですが、稀にこの様に赤紫色のものがあります。

 この群生地はほとんどが両性花です。雄花は土壌の栄養が少ないと出現するそうですが、同じ株から雄花と両性花が出ていることもあるので実はよく分かりません。

 ほとんど雄花ばかりの株。退化した雌しべがまったく無いものもあります。

 花は1センチもないので、撮影ターゲットを探すのが大変です。セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 もの凄い数のセイヨウミツバチが舞っていてブンブン羽音がしています。後ろ脚には大きな花粉団子が。ミツバチと比べて花がいかに小さいか分かると思います。

 雄しべの数は20〜40本ほど。雄花の方が雄しべの数は多い様です。

 芹葉黄連という名前の由来ですが、古代にはカクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記されています。

 群生地は年々広がっており見ごたえがあります。ただここに通じる登山道や林道がありません。長い藪こぎを強いられます。非常に目立たない場所にあるので探すのは困難でした。発見するのに髻山中を探し回り2年かかりました。

 萼片が純白の両性花。清楚で可憐です。

 雄花だけの株。雄花の方が華奢な感じがします。

 両性花だけの株かなと思ったら、数輪雄花が混じっていました。

 撮影は2時間ほど。背が低くしゃがんだり腰を曲げたりで疲れます。そんな時は休憩。ボーッとこの花園を観ていると帰りたくなくなってしまいます。樹上ではシジュウカラが鳴いています。

 退化した雌しべは赤紫だけでなく、こんな色のものも。

 退化した雌しべも見られない雄花。

 雄花と両性花。昼近くになって風が強くなってきたので帰ることにしました。周囲の山々は黄砂で霞んでいました。山上は12度でしたが麓は19度。車内が暑くて参りました。森の杏も開花するでしょう。
なごり雪の後のセリバオウレン、バイモ、セツブンソウ。杉山古墳群の積石塚古墳(妻女山里山通信)

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満開の節分草を撮影に千曲市倉科の群生地へ。可憐なスプリング・エフェメラル(春の妖精、春の儚い命)のひとつ(妻女山里山通信)

2024-03-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
 千曲市から2月26日に千曲市戸倉と倉科の節分草が開花したとの一報がありました。暖冬だったのでこれは満開も早いかなと思ったら3月は異常な寒さ。おまけに中旬から何度もなごり雪が降って開花は止まってしまいました。その後は菜種梅雨に突入。3月25日に満開と出ましたがかなりの春雨が。27日にやっと撮影に行くことができました。そのため髻山(もとどりやま)のセリバオウレンは撮影できませんでした。やれやれ。

 セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限だそうです。前日かなり雨が降ったので濡れています。

 可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物で、日本には200種以上あります。

 アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。

 日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。たとえばカタクリの胡麻より小さな種にはエライオソームというアリの餌となる物質がついていて、アリは種ごと巣に運びます。そして、エライオソームを取った後、種を巣の外に捨てるのですが、それが種蒔きになるのです。自然界は弱肉強食といいますがそれは間違いです。非常に複雑に絡み合った共生関係にあるのです。

 石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。

 節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。花言葉は、気品・ほほえみ・光輝・人間嫌いだとか。高貴な花なんですね。やはり野に置け節分草。栽培ではなく山野で楽しみたいものです。

 節分草の後ろ姿。可憐です。発芽して1年目のものは小さな丸い葉1枚。

 今年は発見できませんでしたが、稀に八重のものがあります。また、もっと稀ですが、一つの茎から二輪の花が咲くものがあります。リンクの2022年3月22日の記事では紹介しています。その時は三本発見しました。
なごり雪の後のセリバオウレン、バイモ、セツブンソウ。杉山古墳群の積石塚古墳(妻女山里山通信)

 杉や落葉松の明るい林床。シダ植物や灌木が生えると絶滅してしまいます。

 満開ですが、しなびた花も散見されました。見頃は週末まででしょう。

 節分草もセリバオウレンも花期は例年なら1週間から10日ほどです。うっかりすると見過ごしてしまいます。

 花びら(萼)が6枚のものを見つけたのですが、目を一回逸したらどこかに行ってしまいました。

 林床の群生地はこんなです。1年目は小さな丸い葉1枚。2年目で放射状の菊葉に。3年目か4年目で開花します。

 群生地の入り口。昨年は戸倉のキティーパーク上の群生地に行きました。さて、妻女山陣場平の貝母(ばいも)の群生地も見に行かなければ。なごり雪でつぶされていないといいのですが。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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貝母の生育を観に妻女山の陣場平へ。里山の群生地は日本でここだけ。セリバオウレンも開花(妻女山里山通信)

2024-03-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の貝母(ばいも・編笠百合)は、2月18日に発芽を確認しましたが、その後頻繁に上雪が降ったために行けずにいました。ほぼ一ヶ月ぶりに晴れの日が続いたので登ってみました。生育状況は昨年の半分ぐらいです。昨年が異常に早かったので、これでも平年並みかやや早めなのです。見頃はこれからの気象状況で変わりますが、4月10日から25日頃になると思います。

 最も生育の早い陣場平入り口の貝母。10センチから20センチぐらい。最終的には60〜80センチになります。

 もう蕾(つぼみ)ができています。最初は上を向いていますが、花柄が伸びるとやがて下を向き開花します。花の内側は編笠模様。4月の茶花です。

 陣場平の群生地。第四次川中島の戦いで上杉謙信が本陣として七棟の陣小屋を建てたと伝わる場所です。以前紹介しましたが「甲陽軍鑑」の編者、小幡景憲がここに上杉軍が七棟の陣小屋を建てて布陣した絵図を描いています。

 群生地の中心部。梅雨明け頃に種が飛びますが、その頃にたいてい東風(こち)が吹くので貝母は西へと増えていきます。ただしここは昔から畑だったので周囲とは土質が異なります。周囲は粘土質でザレているので、そこには貝母は生えません。

 二株ほど茎に食べられた痕がありました。犯人はニホンカモシカです。薬草ですが毒草なので他のタヌキとかウサギなどは食べません。ニホンカモシカは、かなり色々な種類の植物を食べます。貝母も少量ならばデトックスになるのでしょうか。貝母は咳止めの薬で、筋肉弛緩剤の様な成分を含みます。

 蕾は一段ではなく成長するのに連れて次々と増えていきます。昨年は異常に早く3月30日に開花しましたが、今年は4月第一週だろうと思います。ソメイヨシノの開花とほぼ同時です。そして、ヤマザクラやカスミザクラが満開の頃に貝母も満開になります。

 群生地には落枝がたくさんあるので取り敢えず大きなものだけ片付けました。向こうに藪が見えますが枝が何本か折れているようです。次の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業できれいにします。

 昨年、左にある菱形基線測点の手前に貝母の球根を30株ほど移植したのですが芽吹きました。やがてここも群生地になるでしょう。

 陣場平山の片隅にセリバオウレンがあり咲き出しました。花は1センチもないため、現地で出会った方には教えますが、ブログでは書きません。まず見つけられないでしょうし踏まれても困るので。

 髻山の群生地も今春は昨年より遅く月末になるかと思います。セリバオウレンも薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 度々のなごり雪で山蕗もこの標高ではまだあまり出ていません。

 堂平大塚古墳へ。紅梅はひと月前とあまり変わっていません。日当たりの良い斜面ではダンコウバイも咲き始めたのですが。

 オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)は、明治初期にヨーロッパから伝わった帰化植物です。オオバコ科クワガタソウ属の越年草。日が当たるときだけ花を咲かせる一日花で、別名は星の瞳です。
「犬ふぐり 星のまたたく 如くなり」高浜虚子

 福寿草はそろそろ終わりです。

 妻女山駐車場近くから松代方面。左に奇妙山。右奥に根子岳と四阿山。四阿山(2354m)は真田の修験の山で、山頂には麓の山家神社の奥宮が二つあります。麓の神社には、真田幸隆が奉納した奥宮の漆塗りの扉が現存します。拙書では四阿山と真田の関係を詳細に記しています。以前記事にしましたが、我が家の祖先のひとりは真田幸村の影武者のひとりでした。

 北にそびえる飯綱山(1917m)。山頂は右の頂きです。左の南峰には飯縄神社の奥宮があります。祭神の飯縄権現(飯綱大明神)は、管狐(くがきつね)を使って術を行う飯縄遣(いいづなつかい)の仏神。山岳信仰が発祥といわれる神仏習合の神です。その姿は白狐に乗った烏天狗で、大日如来の化身の不動明王のさらなる化身といわれています。上杉謙信が兜の前立てに使っていることでも有名です。

 その西奥にそびえる戸隠連峰と戸隠富士の異名を持つ高妻山(2,353m)。左奥には乙妻山。

 19日の貝母の生育状況。寒の戻りでほとんど成長していません。来週から暖かくなるので伸びるでしょう。開花は4月の第一週。見頃は10日頃からかと思います。開花状況はこのブログやツイッター、インスタグラムでお知らせします。

「ホタルイカと新芽ワカメのペペロンチーノ」旬のホタルイカと新芽ワカメ。フライパンでニンニクと鷹の爪をオリーブ油で香り付け。パスタは1.6mm。乳化に使うので茹で水はやや少なめ。茹で上がったら前のフライパンで乳化させ岩塩で味付け。茹でた生ワカメと茹でホタルイカをのせて、海鮮では普通しないパルミジャーノ・レッジャーノを少々。明太子を少しのせてでき上がり。

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節分草が開花しました。早春の妖精に会いに倉科の杉山の群生地へ向かったのですが…。満開は20日頃か(妻女山里山通信)

2024-03-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 2月26日に千曲市戸倉と倉科の節分草が開花したとの一報が入りました。しかしその後一日か二日ごとに雪が降ったためその後の開花が遅れています。とりあえず倉科の群生地に行ってみました。この日も1センチほどの積雪がありました。行ってみるとほとんど咲いていませんでした。12日にかなりの積雪があったため三分から五分咲きですが、満開は20日頃でしょう。

 セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限です。東京ではいつも1月に咲いていました。

 前夜の降雪のために林下は真っ白です。わずかに節分草が咲いていたのは、写真の入口の左側の雪のない部分だけです。見頃は来週でしょう。昨年は戸倉に行きましたが、8日には満開でした。

 可憐な節分草は早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物で、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。絶滅危惧種なので地元の方が大切に保護されています。

 石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です。

 アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。

 一年目の節分草は葉が一枚で丸いのです。注意深く探すと必ず見つかります。一つの茎から二輪の花が咲くものもあります。今回は咲いている花の数が少なすぎて見られませんでした。

 節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。

 12日に雨が降れば雪は消えます。その後は気温が上がる予報なので節分草も来週末以降から見頃になるでしょう。戸倉の群生地の様子は昨年3月の記事をご覧ください。

 とぼとぼと歩き去る猫。実はこの直前に私の車の横で石垣の間から顔を出した白いネズミを捕らえたのです。口に加えて満足気に去っていく後ろ姿です。

 体が冷え切ってしまったので温泉へ。雪を冠った尾根の下の谷に節分草の群生地があります。これから紅梅、ロウバイ、ダンコウバイ、セリバオウレンなどが次々に咲き始めるので見過ごさないようにしないといけません。信州の春は始まったら駆け足で過ぎ去って行きます。今年は昨年同様に杏も桜も早そうです。

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