PC作業の仕事あけに、この夏できなかった山仕事に励みました。しかし、さぼっていた報いは当然のごとくあるわけで、葛(クズ)、アレチウリ、鉄葎(カナムグラ)が大繁茂していました。このまま放置すると、アレチウリ、セイダカアワダチソウ、ブタクサ、ヨウシュヤマゴボウ、カモガヤなどの帰化植物の寡占状態になってしまい、在来種が淘汰されてしまいます。葛クズとカナムグラは在来種なのですが、繁茂しすぎると生態系のバランスを著しく損なう事になります。とりあえずカナムグラと2時間ほど格闘しましたが、あまりの重労働に途中で断念しました。カナムグラは、つるに棘があり、しかも長い茎は腹が立つほど強靭なのです。
「葎這ふ いやしき屋戸も 大君の 座(ま)さむと知らば 玉敷かましを」
万葉集の選者のひとりともいわれる左大臣 橘諸兄(たちばなもろえ)の一首ですが、「ムグラのはう粗末な家ですが、大君がおいでになると知っていたら、玉を敷いてお迎えしたのですが」のムグラとは、八重葎ではなく鉄葎(金葎)のことだろうといわれています。山深い山村に行くと、鉄葎に覆われた廃屋を目にすることがあります。
休憩を兼ねてキノコの様子を見に行きました。例年ならばハタケシメジが出てジコボウ(ハナイグチ)もぽつぽつとで初めている頃です。しかし、一本も出ていませんでした。普通は、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、チチタケなどの夏キノコの後にチチアワタケが出て、ザラエノハラタケが出るとハタケシメジが出て、まもなくジコボウが出るのですが、その順番が全くおかしなことになっています。山にはキツネノカラカサの大群落がありました。雨は降りましたが、猛暑の影響でまだ地温が高いのでしょう。今年は松茸も不作の様です。発生が一、二週間遅れそうですが、その後も順調に出るとは考えられません。おそらく不作でしょう。
そんな異常な風景の山中を歩いて我が家の山に戻ると、去年30センチ近いコフキサルノコシカケ(写真最上部)を採った後にすぐに出てきたものが、12センチぐらいになっていました(写真下三枚)。しかも二段で出ています。このコフキサルノコシカケなんですが、近年低山や里にあるものはオオミノコフキタケといって別種であるということが分かりました。北海道にしかないという報告もありますが、真偽のほどは不明です。問題は、その薬効成分です。コフキサルノコシカケは、その高い制癌作用から非常に高価で取引されています。オオミノコフキタケにそれと同等の作用があるかどうかです。あれば問題ないのですが、なければ詐欺まがいの商品ということになります。早くどこかの研究機関で調べて発表して欲しいものです。
前の記事で書きましたが、今年は春の低温で蜂が以上に減少しています。蜂は非常にデリケートな昆虫で、異常気象や農薬(ネオニコチノイドなど)に弱く、全世界的に蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder:CCD)が大問題となっていますが、それ以上にものいわぬキノコ達も、無言の警告を発しているのではないかと危惧します。信州の山では松食い虫対策として、農薬の空中散布をしているところがありますが、その生態系に対する影響を詳しく調査したという報告はどこにも見られません。 健康被害が出て中止した自治体もありますが、松食い虫対策がなされないと、それはそれで松枯れ病を引き起こし、甚大な生態系の破壊が起きるので、非常に悩ましい問題です。国産松茸も食べられなくなります。
そんな時に山仕事仲間のKさんと久しぶりに出会いました。山の情報交換をしていると、妻女山山系で月の輪熊が出没したということです。麓のリンゴの樹に登りリンゴを食べて帰ったようです。この辺りに出る熊は、約7、8キロ先の鏡台山から来るもので、充分活動範囲なのですが、例年ならば冬眠直前の12月頃と、冬眠あけの三月に集中するのですが、今の時期に来るのは異例です。それだけ山に木の実などの食料がないのでしょう。これから観光やキノコ狩りのシーズンですが、要注意です。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。
★【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】夏の信州のトレッキングに、四阿山カルデラ周回トレッキングをアップしました。米子大瀑布とカルデラのパノラマ写真、蝶や高山植物の写真がご覧いただけます。
「葎這ふ いやしき屋戸も 大君の 座(ま)さむと知らば 玉敷かましを」
万葉集の選者のひとりともいわれる左大臣 橘諸兄(たちばなもろえ)の一首ですが、「ムグラのはう粗末な家ですが、大君がおいでになると知っていたら、玉を敷いてお迎えしたのですが」のムグラとは、八重葎ではなく鉄葎(金葎)のことだろうといわれています。山深い山村に行くと、鉄葎に覆われた廃屋を目にすることがあります。
休憩を兼ねてキノコの様子を見に行きました。例年ならばハタケシメジが出てジコボウ(ハナイグチ)もぽつぽつとで初めている頃です。しかし、一本も出ていませんでした。普通は、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、チチタケなどの夏キノコの後にチチアワタケが出て、ザラエノハラタケが出るとハタケシメジが出て、まもなくジコボウが出るのですが、その順番が全くおかしなことになっています。山にはキツネノカラカサの大群落がありました。雨は降りましたが、猛暑の影響でまだ地温が高いのでしょう。今年は松茸も不作の様です。発生が一、二週間遅れそうですが、その後も順調に出るとは考えられません。おそらく不作でしょう。
そんな異常な風景の山中を歩いて我が家の山に戻ると、去年30センチ近いコフキサルノコシカケ(写真最上部)を採った後にすぐに出てきたものが、12センチぐらいになっていました(写真下三枚)。しかも二段で出ています。このコフキサルノコシカケなんですが、近年低山や里にあるものはオオミノコフキタケといって別種であるということが分かりました。北海道にしかないという報告もありますが、真偽のほどは不明です。問題は、その薬効成分です。コフキサルノコシカケは、その高い制癌作用から非常に高価で取引されています。オオミノコフキタケにそれと同等の作用があるかどうかです。あれば問題ないのですが、なければ詐欺まがいの商品ということになります。早くどこかの研究機関で調べて発表して欲しいものです。
前の記事で書きましたが、今年は春の低温で蜂が以上に減少しています。蜂は非常にデリケートな昆虫で、異常気象や農薬(ネオニコチノイドなど)に弱く、全世界的に蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder:CCD)が大問題となっていますが、それ以上にものいわぬキノコ達も、無言の警告を発しているのではないかと危惧します。信州の山では松食い虫対策として、農薬の空中散布をしているところがありますが、その生態系に対する影響を詳しく調査したという報告はどこにも見られません。 健康被害が出て中止した自治体もありますが、松食い虫対策がなされないと、それはそれで松枯れ病を引き起こし、甚大な生態系の破壊が起きるので、非常に悩ましい問題です。国産松茸も食べられなくなります。
そんな時に山仕事仲間のKさんと久しぶりに出会いました。山の情報交換をしていると、妻女山山系で月の輪熊が出没したということです。麓のリンゴの樹に登りリンゴを食べて帰ったようです。この辺りに出る熊は、約7、8キロ先の鏡台山から来るもので、充分活動範囲なのですが、例年ならば冬眠直前の12月頃と、冬眠あけの三月に集中するのですが、今の時期に来るのは異例です。それだけ山に木の実などの食料がないのでしょう。これから観光やキノコ狩りのシーズンですが、要注意です。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。
★【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】夏の信州のトレッキングに、四阿山カルデラ周回トレッキングをアップしました。米子大瀑布とカルデラのパノラマ写真、蝶や高山植物の写真がご覧いただけます。