朝方はマイナス8度まで冷え込んだ長野市ですが、日中は気温は低いもののやや春めいた陽射しが眩しい日曜日でした。雪の残る陣場平から西面の堂平へ林道を登って行くと、右手から視線を感じました。見るとニホンカモシカのシロです。距離は15mぐらい。気をひきながら徐々に距離をつめるのですが、反転してゆっくりと立ち去りました。
それでも走って逃げなかったので、しばらく付かず離れず付いて行くと突然立ち止まり、脚を開いて腰を落としました。ありゃおしっこかなと思いました。以前そのシーンに出会ったことがあるので。太い赤松の樹の陰から観察していると、お尻から黒い玉がぽろぽろとたくさん出てきました。ありゃりゃ大きい方でした。糞の形は俵型。野生の場合は全てこの形で、それ以外の形状は見た事がありません。それが健康な印なのでしょう。
シロは私の気配に気づいて振り返ったのですが、用をたしている最中なので逃げる訳にもいかず、困った表情で見ていましたが、こちらがなにもしないと分かったのか、その後は終えるまで前を向いてきばっていました。普通ニホンカモシカは、早朝に寝床から出るとすぐ近くにある糞場で用をたしてから採食歩行に出るのですが、この日は朝は便秘だったのでしょうか(笑)。ずいぶんな量でした。冬は夏と違って水分の多い餌が少ないのも原因かもしれません。
糞場は通常寝床の近くにあるのですが、テリトリーの中にも何カ所もあって、餌を食べながら糞もします。それは場所が決まっている所と、したくなったからしてしまった所があるような気がします。なぜかというと糞の量が違うのです。決まっている場所は何回もするので糞の量が多く、古い糞と新しいものが混じっています。場所は森の灌木林の中や大きな木の陰です。糞をするときは無防備になるからです。反芻する場所も同様。但し、ニホンジカのように歩きながら脱糞はしません。糞場からはよくキララタケやヒトヨタケが発生します。
特に小用の場合、メスはお尻を低く落として、オスは割と高いままでします。そんなわけで、以前目撃した状況から、クロはオス、シロはメスと判断しているのですが、ニホンカモシカの場合オスメス共に角があるので見分けは困難です。この二頭は兄弟で、ニホンカモシカには大変珍しい双子か年子ではないかと思います。まもなくクロは秋の発情期になると他のメスを求めて別の尾根に遠征し、他のオスがシロに求愛に来るはずです。彼らの母親が大きなオスに追い掛けられているのを目撃しているので、この秋が楽しみです。
以前、「冬のニホンカモシカは何を食べている」で書きましたが、尾行したところ、その時はヤマヤブソテツとリョウメンシダを食べていました。食料の少ない冬にはコケや地衣類、冬芽や針葉樹の葉なども食べます。スギとヒノキを枝打ちしておいたら、ヒノキの方を食べていました。冬でも緑の葉が残るミツバアケビも貴重な餌。春になると蕗の薹(ふきのとう)やカタクリなども食べます。薬草として作られた貝母(ばいも)の新芽も食べていました。タラノメの低いものも食べます。初冬に出たシイタケとヒラタケも食べますが、いずれも一種類を食べ尽くすということはせず、少しずつ齧って非常に多くの種類を食べる様です。単一の餌に頼らないことが、氷河期から生き延びて来た理由のひとつかもしれません。
日の出とともに起きて寝床の近くの糞場で用をたし、採食歩行に出かけ、だいたい9時過ぎまで食べ歩いてから決まった場所で反芻をします。午後はまた採食歩行に出かけ、夕方寝床に戻るのですが、妻女山のクロとシロの場合、採食歩行は単独ですが、朝と昼と夕方は一緒にいることが多い様です。去年まではそこに母親もいたのですが、今年はまだ見ていません。子供達が大きくなったので奥へ移ったのか、亡くなってしまったのか・・。
シロはその後、近くの木に眼下線でマーキングして、ゆっくりと森の奥へ消えてゆきました。あとひと月足らずで冬毛がゴソッと抜け落ちます。それは遅い信州にもやっと春が来る印です。
それでも走って逃げなかったので、しばらく付かず離れず付いて行くと突然立ち止まり、脚を開いて腰を落としました。ありゃおしっこかなと思いました。以前そのシーンに出会ったことがあるので。太い赤松の樹の陰から観察していると、お尻から黒い玉がぽろぽろとたくさん出てきました。ありゃりゃ大きい方でした。糞の形は俵型。野生の場合は全てこの形で、それ以外の形状は見た事がありません。それが健康な印なのでしょう。
シロは私の気配に気づいて振り返ったのですが、用をたしている最中なので逃げる訳にもいかず、困った表情で見ていましたが、こちらがなにもしないと分かったのか、その後は終えるまで前を向いてきばっていました。普通ニホンカモシカは、早朝に寝床から出るとすぐ近くにある糞場で用をたしてから採食歩行に出るのですが、この日は朝は便秘だったのでしょうか(笑)。ずいぶんな量でした。冬は夏と違って水分の多い餌が少ないのも原因かもしれません。
糞場は通常寝床の近くにあるのですが、テリトリーの中にも何カ所もあって、餌を食べながら糞もします。それは場所が決まっている所と、したくなったからしてしまった所があるような気がします。なぜかというと糞の量が違うのです。決まっている場所は何回もするので糞の量が多く、古い糞と新しいものが混じっています。場所は森の灌木林の中や大きな木の陰です。糞をするときは無防備になるからです。反芻する場所も同様。但し、ニホンジカのように歩きながら脱糞はしません。糞場からはよくキララタケやヒトヨタケが発生します。
特に小用の場合、メスはお尻を低く落として、オスは割と高いままでします。そんなわけで、以前目撃した状況から、クロはオス、シロはメスと判断しているのですが、ニホンカモシカの場合オスメス共に角があるので見分けは困難です。この二頭は兄弟で、ニホンカモシカには大変珍しい双子か年子ではないかと思います。まもなくクロは秋の発情期になると他のメスを求めて別の尾根に遠征し、他のオスがシロに求愛に来るはずです。彼らの母親が大きなオスに追い掛けられているのを目撃しているので、この秋が楽しみです。
以前、「冬のニホンカモシカは何を食べている」で書きましたが、尾行したところ、その時はヤマヤブソテツとリョウメンシダを食べていました。食料の少ない冬にはコケや地衣類、冬芽や針葉樹の葉なども食べます。スギとヒノキを枝打ちしておいたら、ヒノキの方を食べていました。冬でも緑の葉が残るミツバアケビも貴重な餌。春になると蕗の薹(ふきのとう)やカタクリなども食べます。薬草として作られた貝母(ばいも)の新芽も食べていました。タラノメの低いものも食べます。初冬に出たシイタケとヒラタケも食べますが、いずれも一種類を食べ尽くすということはせず、少しずつ齧って非常に多くの種類を食べる様です。単一の餌に頼らないことが、氷河期から生き延びて来た理由のひとつかもしれません。
日の出とともに起きて寝床の近くの糞場で用をたし、採食歩行に出かけ、だいたい9時過ぎまで食べ歩いてから決まった場所で反芻をします。午後はまた採食歩行に出かけ、夕方寝床に戻るのですが、妻女山のクロとシロの場合、採食歩行は単独ですが、朝と昼と夕方は一緒にいることが多い様です。去年まではそこに母親もいたのですが、今年はまだ見ていません。子供達が大きくなったので奥へ移ったのか、亡くなってしまったのか・・。
シロはその後、近くの木に眼下線でマーキングして、ゆっくりと森の奥へ消えてゆきました。あとひと月足らずで冬毛がゴソッと抜け落ちます。それは遅い信州にもやっと春が来る印です。